異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

シミルボン再投稿

<シミルボン>再投稿 『タイムラインの殺人者』アナリー・ニューイッツ

ランキング参加中読書~真のパンク精神に満ちた、歴史改変SFの傑作~タイムラインの殺人者 (ハヤカワ文庫SF)作者:アナリー ニューイッツ早川書房Amazon 2022年からの時間旅行者テスは、1992年カリフォルニア州のアーヴァインで行われるライブを目の当たりに…

<シミルボン>再投稿 『翡翠都市』フォンダ・リー

ランキング参加中読書~特別な力を持つ”翡翠″をめぐり、血で血を洗う抗争が繰り広げられる傑作任侠小説~ 翡翠城市 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:フォンダ リー早川書房Amazon それを持つ者に特別な力を与える”翡翠”。そんな”翡翠”によって、人々ひい…

<シミルボン>再投稿 『文字渦』円城 塔

ランキング参加中読書~見たこともない難読漢字や異体字にあふれた誰にも真似のできない奇想小説~文字渦(新潮文庫)作者:円城塔新潮社Amazon デビューから類まれな発想と論理で独自の世界を築き上げたてきた円城塔が漢字を中心とした文字による言語表現の…

<シミルボン>再投稿 『 天界の眼 切れ者キューゲルの冒険』 ジャック・ヴァンス

ランキング参加中読書~サイテー男が次々とやってくる難題をテキトーに乗り切る抱腹絶倒の冒険ファンタジー~ 天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険 (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)作者:ジャック・ヴァンス国書刊行会Amazon 鋭い批評眼でSFファン・ミステ…

<シミルボン>再投稿 グラビンスキを読んでみた

ランキング参加中読書 2015年から3冊の短編集が刊行されたポーランドの作家グラビンスキ。 1887年オーストリア=ハンガリー帝国領ガリツィア生まれで20世紀前半に活躍したこの作家「ポーランドのポー」「ポーランドのラヴクラフト」の異名をもち<ポーランド…

<シミルボン>再投稿 『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド

ランキング参加中読書~奴隷を解放する<地下鉄道>の走るもう一つの合衆国を描くずしりと読み応えのある作品~ 地下鉄道 (ハヤカワepi文庫)作者:コルソン ホワイトヘッド早川書房Amazon タイトルの<地下鉄道>Underground Railroadは19世紀半ばの合衆国で…

<シミルボン>再投稿 『迷宮1000』ヤン・ヴァイス

ランキング参加中読書~時代を超え英米の空想科学小説とはひと味もふた味も違うユニークな傑作~迷宮1000 (創元推理文庫)作者:ヤン・ヴァイス東京創元社Amazon 1987年初版、2016年東京創元社復刊フェアで刊行された作品。 本屋でなんとなく気になって購入し…

<シミルボン>再投稿 『隣接界』クリストファー・プリースト

ランキング参加中読書~作者の世界に存分に浸る幸福感が味わえる傑作~ 隣接界 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:クリストファー プリースト早川書房Amazon ファン待望クリストファー・プリースト最新翻訳長編の登場である。 やや耳馴染みのない言葉がタイ…

<シミルボン>再投稿 『虚ろなる十月の夜に』ロジャー・ゼラズニイ

ランキング参加中読書~オールスターキャストでお届けする最後まで予測不可能なゲーム小説~ 虚ろなる十月の夜に (竹書房文庫)作者:ロジャー・ゼラズニィ竹書房Amazon ロジャー・ゼラズニイといえば神話をベースにしたSFやファンタジーで知られ、一時代を形…

<シミルボン>再投稿 『猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選』中村融編

ランキング参加中読書~読めば読むほど謎が深まる不可思議な存在~猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる (竹書房文庫)作者:シオドア・スタージョン,フリッツ・ライバー,他竹書房Amazon 空前の猫ブームだそうである。 ま、結構なんだが、猫だけ別格に人気がある感じ…

<シミルボン>再投稿 『三美スーパースターズ最後のファンクラブ 』パク ミンギュ

ランキング参加中読書~全ての弱小チームファン・関係者に捧ぐ青春小説~ 三美スーパースターズ 最後のファンクラブ (韓国文学のオクリモノ)作者:パク・ミンギュ晶文社Amazon 2017年は記念すべき年となった。 われらが横浜DeNAベイスターズが2年連続クライマ…

<シミルボン>再投稿 『盗まれた細菌/初めての飛行機』ウェルズ

ランキング参加中読書~SFの父ウェルズの多才な顔を伝えてくれるバラエティに富んだ短篇集~ 盗まれた細菌/初めての飛行機 (光文社古典新訳文庫)作者:ウェルズ光文社Amazon 時間旅行、火星人による侵略、人造生物などなど現在のSFへいまだに大きな影響を与…

<シミルボン>再投稿 『せどり男爵数奇譚』 梶山季之

ランキング参加中読書~ちょっと気になる古本の世界を垣間見せてくれる連作短篇集~ せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)作者:梶山 季之筑摩書房Amazon ある本に出会うきっかけは様々である。 紀伊国屋書店新宿本店スタッフが文学フェアのために創ったPickwick cl…

<シミルボン>再投稿 品揃えを見ているだけで飽きない現役の<町の本屋さん>たらば書房

ランキング参加中読書※これは #I LOVE BOOK STORES! という本屋さんについてのコラムやレビューを募集した際に書いたもの。幸いにも「たらば書房」は現役で今も利用しています(元投稿にあった写真等は削除し、その分少し文章を修正しました。以下本文です)…

<シミルボン>再投稿 『泰平ヨンの未来学会議』スタニスワフ・レム

ランキング参加中読書~薬物による人間のコントロールを描いたディストピアSF~ 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)作者:スタニスワフ レム早川書房Amazon 泰平ヨンはコスタリカで開かれる人口増加問題についての世界未来学会議に参加するが、…

<シミルボン>再投稿 『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』マイクル・ビショップ

ランキング参加中読書※追記:昨年11/13に逝去。これを書いた後に『時の他に敵なし』が翻訳、こちらも大傑作であった。『樹海伝説』を読みたいと思っているのだが、今や古書サイトですら入手難しくなってきてしまったなあ。技量の高い作家であった。 ~SF界の…

<シミルボン>再投稿 『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー

ランキング参加中読書~あらかじめ失われたものを甦らせようとする困難な試み~素晴らしきソリボ作者:パトリック シャモワゾー河出書房新社Amazon 第二回日本翻訳大賞受賞作(もう一作はキルメン・ウリベ『ムシェ 小さな英雄の物語』)。 日本翻訳大賞発起人の…

<シミルボン>再投稿 コラム「敵と味方をわけるもの」

ランキング参加中読書 <シミルボン再投稿シリーズですが、<シミルボン>では投稿を盛んにするためにお題の提供も定期的に行われていました。数は少ないのですが、そうした企画に合わせて書いたものもありました。以下のコラムのお題は「#おしえて、せんそ…

<シミルボン>再投稿 『夢幻諸島から』クリストファー・プリースト

ランキング参加中読書~技巧派SF作家が誘う、終わりのない旅~ 夢幻諸島から作者:クリストファー・プリースト早川書房Amazon 時空が歪み正確な地図の作成出来ない世界。南北の大陸に挟まれたミッドウェー海に浮かぶ<夢幻諸島>。 不思議な島々の風土、文化…

<シミルボン>再投稿 『第六ポンプ』パオロ・バチガルピ

ランキング参加中読書~閉塞した未来社会でもがく人々を描いた俊英のパンクな短篇集~第六ポンプ作者:パオロ バチガルピ早川書房Amazon 1972年生まれ、日本では2011年に「ねじまき少女」で紹介がはじまったばかりのバチガルピ。 現在のところ唯一の短篇集。 …

<シミルボン>再投稿 『洋梨形の男』ジョージ・R・R・マーティン

ランキング参加中読書~人気作家による抜群のリーダビリティを誇る傑作集~ 洋梨形の男 (奇想コレクション)作者:ジョージ・R・R・マーティン河出書房新社Amazon 今や≪ゲーム・オブ・スローンズ≫の原作者といった方が通りやすいのではないかと思われるジョ…

<シミルボン>再投稿 『泰平ヨンの航星日記』スタニスワフ・レム

ランキング参加中読書~唯一無二の想像力を有するレムによる規格外のユーモア短篇集 スタニスワフ・レムのユーモア宇宙SFもの主人公“泰平ヨン”シリーズを代表する短篇集。~ 泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF レ 1-11)作者:スタニスワフ・レム…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第8回『千の脚を持つ男 怪物ホラー傑作選』

ランキング参加中読書千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)東京創元社Amazon~海からやってくるものたちに気をつけろ!~ The Monster Bookという英題もついている、中村融編の怪物アンソロジー。当然面白くないわけがない。あとがきも心なしかお…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第7回『 天来の美酒/消えちゃった』コッパード

ランキング参加中読書天来の美酒/消えちゃった (光文社古典新訳文庫)作者:アルフレッド・エドガー コッパード光文社Amazon~一度はまると癖になる、ユニークな短篇作家の幻想短篇集~ 1878年イングランド生まれの幻想文学作家の短篇集。貧しい生活の中で様々…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第6回『ゴッド・ガン』バリントン・J・ベイリー

ランキング参加中読書ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫SF)作者:バリントン J ベイリー早川書房Amazon~SF界屈指の鬼才の魅力がコンパクトに提示された、入門に最適の短編集~ ニューウェーヴ世代の作家ながら、荒唐無稽なアイディアが作品のコアになるあまりに独…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第5回『金剛石のレンズ』フィッツ・ジェイムス・オブライエン

ランキング参加中読書~19世紀生まれの先駆的作家による傑作短篇集~ 以前はサンリオSF文庫で刊行されていた知る人ぞ知る名短篇集の復刊。とはいえ再刊されるまで本書のことはあまりよく知らず、19世紀中頃の早世した作家であることもこの本を通じて知った。…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第4回『エステルハージ博士の事件簿 』アヴラム・デイヴィッドスン

ランキング参加中読書~異能作家のなんとも不思議な傑作~ なんとも不思議な本なのである。 19世紀と20世紀の変り目の東欧、架空の小国スキタイ=パンノニア=トランスバルカニア三重帝国が舞台。 多岐に渡る分野の博士号を有する上に(なぜか)私兵を雇う資格…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」 第3回『カリブ諸島の手がかり 』T・S・ ストリブリング

ランキング参加中読書カリブ諸島の手がかり (河出文庫)作者:T S ストリブリング河出書房新社Amazon ~驚愕の異色ミステリ「ベナレスへの道」が収録された連作短篇集~ 1929年に出版された作品で、舞台は同じ時代の植民地の状態から脱していないカリブ諸島。 …

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」第2回ミステリマガジンのロアルド・ダール特集を読む

ランキング参加中読書 ロアルド・ダールの『キス・キス』を再読しているうちに、ミステリマガジン2016年9月号を積みの山(罪の山?)から発掘した。 このミステリマガジンを読むとダールという作家への理解が深まる。 有名作品もちゃんと収録されているし、…

<シミルボン>再投稿 連載「奇妙な味を求めて」第1回異色作家短篇集ベスト

ランキング参加中読書 さて<シミルボン>に投稿した書評の再投稿ですが、今回からもう一つ連載形式にした「奇妙な味を求めて」の方に入ります。 第1回として異色作家短篇集の自分なりの楽しみ方を自己紹介のようなつもりで書いて、その後は異色作家短篇集好…