随分更新していないままだった丸屋さんトークイベント備忘録。もちろんもう終わってしまってるのだが…。2月、4月、6月、8月分。例によって※部分以外はイベントの広告文のコピペ。
◎2026年2月は<旧正月アジア祭2026:イヤー・オブ・ザ・ホース!中華圏R&B TONIGHT/世界史スーパースター列伝/アジア言語地図/中華世界の風習 feat. いんちき番長/カンフー映画 feat. LL BROTHERS TAKANORI>
~また新年がやってくる。
今回の午年/馬年は開始が遅め。2026年2月17日から始まるのだ。
なんにせよ、旧暦年始シーズンは丸屋九兵衛のアジア意識が最高の盛り上がりを見せる、年に一度のクライマックス。
というわけで、今回の旧暦フェス【旧正月アジア祭2026:イヤー・オブ・ザ・ホース!】は2月初日から2月末日までの4週間で5回。ちょうど1ヶ月にわたってアジア(主に東アジア)を語るシーズンなのである〜
内訳は
① 旧暦アジア音楽フェス
② 世界史スーパースター列伝! 中華編その6
③ アジア言語の深淵
④ 中華世界の風習 feat. いんちき番長
⑤ カンフー映画 feat. LL BROTHERS TAKANORI
①2026/02/01(日)【ASIAN MUSIC REVIEW 2026】
旧暦アジア音楽フェス! R&B TONIGHT 旧正月アジア祭2026
旧暦フェスの幕開けは恒例のオンライン音楽祭!
今シーズンに限って「R&B TONIGHT」と題したのは、かける曲のほとんどがR&BもしくはR&Bテイストのラップ曲となりそうだから。
これは選曲者自身の趣味の変化によるものか、それとも昨今の音楽界の風潮を反映したものか。それはリスナー諸氏の判断に任せたい。
とにかく「馴染みの皆さんの新曲」「昨年初紹介組の動向」「この1年で発見したアーティスト」「EXO-M組の現在」等のコーナーに分けてお届けする2時間(もしかすると3時間)。もちろん、恐るべきチャーシュー・ギャングに関しても忘れていない。
②2026/02/07(土)【Q-B-CONTINUED vol.146】
世界史スーパースター列伝:中華編6! 魏晋南北朝と五胡十六国はケイオスだ! 旧正月アジア祭2026
ダースレイダーとの「牛歩ブラザーズ」シリーズよりも歩みが遅いぞ!
中華圏の歴史を彩った偉人・超人・怪人たちを語り倒すシリーズ!
ついに混沌の魏晋南北朝へ! ……まだ3世紀です。
③2026/02/15(日)【Q-B-CONTINUED vol.147】
アジア言語の深淵を求めて! 北京語から小笠原語まで。旧正月アジア祭2026
ここアジアは広く大きい。我々の東アジアだけで6カ国16億人以上、文化的に近い東南アジアは11国で6億7千万人。
これだけ多くの人口を抱えるアジアでは、当然ながら多種多様な言語が飛び交っている。
最もメジャーなのはもちろん北京語だが、その覇権に対して巻き返しを図る広東語や福建語も忘れてはならない。
チュルク(トルコ)、モンゴル、満州、朝鮮半島&日本列島を含む「アルタイ語族」という伝説の検証。
そして今は亡き共和語と横浜ピジン日本語(〜するよろし)。さらに、小笠原諸島という魅惑の言語的ケイオスにも想いを馳せ。
……等々、言語学も通ってきた丸屋九兵衛によるアジア言語散歩である。是非おつきあいを。
④2026/02/22(日)【Q-B-CONTINUED vol.148】
中華世界の風習! 人間万事おたがいエイリアン feat. いんちき番長 旧正月アジア祭2026
カルチャー・ショックはどこでも起こる。どんな外国に行っても。チップがマストだったり、日曜はほとんどの店舗が閉まっていたり、ある種のドラッグが堂々と流通していたり。
しかし、我々日本人が中華圏で体験するカルチャー・ショックは、より深く、より大きい。彼らも我々も同じ漢字文化圏に属しているし、共通する語彙もたくさんあり、食事は白米中心で、外見だって似ているだけに。
だが考えてみれば、どんな人間も自分にとってはとてもエイリアン(異質)な存在であり、異文化は互いにとてもストレンジなものではないか?
そして、それを認めることこそ、相互理解と多文化共生への第一歩なのではないか?
アジア文化の達人「いんちき番長」を招いて、中華圏を旅する中で驚いた現地の風習を語り合い、彼我の差異を噛み締める夜。
⑤2026/02/28(土)【Q-B-CONTINUED vol.149】
カンフー・フリック・フリークス! feat. LL BROTHERS TAKANORI 旧正月アジア祭2026
ここ東アジアの映画産業を長らく牽引してきたのは香港。
その香港の映画界がほとんど専売特許のように作り続け、我々の心を躍らせてきたのがカンフー映画というものではなかろうか?
そこで! この旧正月アジア祭ではカンフー映画に特化した2時間を! ショウ・ブラザーズやゴールデン・ハーヴェストのクラシックを再訪すると共に、最近の動向も確認してみたい。
ゲストはブルース・リーを心から敬愛するLL BROTHERS TAKANORI。彼の肉体を鍛え上げたのがブルース・リーへの憧れ(と空手修行)だったことを知れば、このトークの重要性も伝わろうというもの。心して目撃されたい。
◎4月は<全員春季補習! NO TIME 4 SPRINGBREAK 黒人音楽の思想 feat. ダースレイダー/SF感想 feat. 松原始/差別 feat. Kilara Sen/世界史列伝:中華編>
~人生とは勉強であり、勉強には休息などない。
特に春休みなどという贅沢は言語道断だ!
というわけで今回は、なかなか終わらないトピックばかりを集めた春休みシーズン。
今年もやっぱり「卒業なんかできない」系の企画なのであった……。~
内訳は
① 黒人音楽の思想と政治 feat. ダースレイダー
② 差別の諸相 feat. Kilara Sen
③ SF限定感想文 feat. 松原始
④ 世界史スーパースター列伝:中華編
①2026/04/04(土)【Soul Food Assassins vol.56】
黒人音楽の思想と政治と宗教と。クリントンの時代 feat. ダースレイダー 全員春季補習
ソウル! ファンク! ヒップホップ! R&B! 綿々と続くアメリカ黒人音楽の系譜と、米国政治・経済・思想・宗教との関係を追う「牛歩ブラザーズ」が帰ってきた! 音楽的にはニュー・ジャック・スウィングの大流行の終焉後、政治的にはビル・クリントン大統領の時代である90年代が今回のテーマである。
②2026/04/05(日)【Q-B-CONTINUED vol.150】
21世紀・差別の諸相 feat. Kilara Sen 全員春季補習
レイシズム、セクシズム、対アジア系ヘイト。ホモフォビア、イスラモフォビア、トランス・ヘイト。嫌韓、反中、クルド人差別。反Black Lives MatterとしてのAll Lives Matter。21世紀の差別は、まだまだたくさんある。NY在住のスタンダップ・コメディアン「Kilara Sen」と共に展開する差別比べ大会。
③2026/04/11(土)【Q-B-CONTINUED vol.151】
SF限定感想文GoGoGo feat. 松原始 全員春季補習
君たちに春休みなどない。でも読書感想文マターは存在する。
とはいえ、オーディエンス諸氏は提出義務なし! ただただ、カラス先生こと松原始と丸屋九兵衛によるSF小説プレゼンテーションを聞くのだ〜
④2026/04/12(日)【Q-B-CONTINUED vol.152】
世界史スーパースター列伝:中華編7! 君よピンクの河を渉れ 全員春季補習
ダースレイダーとの牛歩ブラザーズよりも歩みが遅いことで知られる、中華圏の歴史を紀伝体で語る本シリーズ。ようやく五胡十六国を踏み越え、5世紀の南北朝に突入だ! しかし、この時代も往々にして「国家の寿命が人間の一生より短い」のであり、つまり国の数がやたら多く、消化するのが大変だ。「ピンクの河」こと淮河によって南北に分断された中国が統一されるのは589年。今回、我々はそこまで到達できるのだろうか……。
◎6月分(7月もあり)<BLACK MUSIC MONTH 2026/LGBTQ+多様性フェスト ラッパー名とシンガー名/宗教と性的少数派/ファッション変遷/マンガ界の多様性/私家版ライナーノーツ/特異点1980s/同性カップルたち/生物学と性/黒人音楽の思想と政治>
~6月は黒人音楽月間!
そして6月はプライド月間でもある!
というわけで。
この2026年6月(少しだけ7月に食い込みます)も、【BLACK MUSIC MONTH 2026】も【LGBTQ+多様性フェスト】も同時進行で開催だ!
内訳は
【BLACK MUSIC MONTH 2026】は
①ラッパーたちの命名センス3
②ファッション変遷史 feat. LL BROTHERS兄
③私家版ライナーノーツ2 feat. 松尾潔
④ブラック・ミュージック転換点としてのミッド80s
⑤黒人音楽の思想と政治と宗教と feat. ダースレイダー
【LGBTQ+多様性フェスト】は
①『教皇選挙』を振り返って考える宗教とジェンダーとセクシュアリティ
②少女マンガの男たち、少年マンガの女たち feat. トミヤマユキコ
③世界史ボニー&クライド、ただしボニー&ボニーまたはクライド&クライド
④生物学で考える性の多様性
【BLACK MUSIC MONTH 2026】①6/6(土)【Soul Food Assassins vol.58】
ラッパーたちの命名センスを読み解く:MCとDJの彼方に 黒人音楽月間2026
本名使用者がほとんどいないジャンルがヒップホップ。そこではラッパーやDJやプロデューサーが思い思いに工夫を凝らした通り名を使うのだ。彼らの名を「カンフー系」「ブランド名」「アメコミ起源」「マフィア/犯罪者系」「リル(リトル)とビッグ」「独裁者由来」「動物系」「民族」「イニシャル」等に分類して語ってきた丸屋九兵衛。そんなラッパー名シリーズの最終回(たぶん)たる今回は、このジャンルの王道中の王道たる「MC/DJ」を極める予定! さらに、特殊化が進行するR&B界の芸名も分析する。今や、ラッパーよりシンガーの方が名前が読みにくいかも……。
【BLACK MUSIC MONTH 2026】②6/13(土)【Soul Food Assassins vol.59】
ヒップホップ・ファッション変遷史 feat. LL BROTHERS TAKANORI 黒人音楽月間2026
歌は世につれ、世は歌につれ。そして、忘れてはならないファッションも世につれ、歌につれ! というわけで、1980年代から今に至るヒップホップ/R&Bファッションの移り変わりを語ろう! オーバーサイズとスリム化のせめぎあい、地域別傾向の妙味、4大スポーツ系アイテムの地位の変化、ヒップホップ・ブランドとハイ・ブランドの関係、デニムに対する美的感覚、等々。ゲストは、それらの流行を観察しつつ大いに実践してきたLL BROTHERS TAKANORIだ!
もう一つの「チェンジング・セイム(変わりゆく同じもの)」たるヒップホップ/R&Bファッションに迫る(or die trying)2時間強。ぜひお付き合いを。
【BLACK MUSIC MONTH 2026】③6/19(金)【Soul Food Assassins vol.60】
託されなかったライナーノーツは続く feat. 松尾潔 黒人音楽月間2026
発端は、松尾潔(KC)が2025年に出した好著『メロウなライナーノーツ』の出版後トークで繰り返し語った「ライナーノートの執筆はレコード会社からの依頼があって初めて成立するもの」という当たり前の真理。それを聞いてSFマインデッドな丸屋九兵衛(QB)は、「what if」と自問したのだ……。
本トークは、昨年秋の第一弾『託されなかったライナーノーツをめぐるいくつかの空想』の続編。KCとQBが「もしわたしが依頼されていたら、あのアーティストのあのアルバムのライナーはこう書いただろう」を各々に空想し発表し検証する試み、その夢の続きである。
【BLACK MUSIC MONTH 2026】④6/21(日)【Soul Food Assassins vol.61 / MusiqAlien】
Run DMC“Walk This Way”から40年! ブラック・ミュージック転換点としてのミッド80s 黒人音楽月間2026
ある日、丸屋九兵衛と話した後でDJ JIN(RHYMESTER)は言った。「レディ・フォー・ザ・ワールドという固有名詞を聞いたのはひさしぶりだ」と。1980年代マニアというわけでもない丸屋九兵衛が繰り返しその時代——80年代半ば——を語るのは、それがブラック・ミュージック史の一大転換点であり、以前は想像だにしなかったいくつかの現象が起きたからである。ただし、それは一つの「終わりの始まり」でもあった……。ジャンルも人種も超越した真に偉大なコラボレーションであるRun-DMCとエアロスミスの“Walk This Way”がシングル・カットされた1986年7月から40年が経とうとしている時期にお送りする、黒人音楽ヒストリー回顧録。プリンスを超絶スターダムに押し上げる『Purple Rain』が封切られた1984年夏からキース・スウェットの"I Want Her"がリリースされる1987年9月まで、その3年強から重要曲を勝手に選りすぐってプレイし説明する会である。
【BLACK MUSIC MONTH 2026】⑤7/4(土)【Soul Food Assassins vol.62】
黒人音楽の思想と政治と宗教と。Y2Kを超えて feat. ダースレイダー 黒人音楽月間2026
ソウル! ファンク! ヒップホップ! R&B!
【BLACK MUSIC MONTH 2026】を締めくくるのは、綿々と続くアメリカ黒人音楽の系譜と米国政治・経済・思想・宗教との関係を追う「牛歩ブラザーズ」のオンライン歴史トーク。今回のテーマは、ビル・クリントン大統領の任期も終わりに近づいた時代である90年代末、「ニュー・ミレニアム」が語られ「Y2K」が叫ばれた時代である。それは同時に、南部ヒップホップ絶頂期の始まりでもあった……。
【LGBTQ+多様性フェスト】①6/7(日)【Q-B-CONTINUED vol.157】
レオ14世就任から1年! 『教皇選挙』を振り返って考える宗教とジェンダーとセクシュアリティ LGBTQ+多様性祭
英語圏での封切り(2024年秋)から半年近く遅れて映画『教皇選挙』が公開され日本で予想外のヒットを記録した2025年3月。そして、「差別と陰謀論にまみれている」と評判の出版社から邦訳が出たのが2025年11月。奇しくも同映画で描かれた通り、超リベラルな教皇の死からコンクラーヴェに突入し、アメリカ人枢機卿ロバート・フランシス・プレヴォストがレオ14世として新教皇になったのは、映画公開と邦訳出版に挟まれた2025年5月8日。
その『教皇選挙』でも指摘されていた、カトリック教会での制度的な男尊女卑は(あるいはノンバイナリーな人々への扱いは)これからどうなるのか。一方、アメリカのLGBTQ+層の一部は「イスラム教は同性愛嫌悪だから」と、2024年の大統領選挙でアンチ・ムスリム的なドナルド・トランプに投票して、結果的に自分の首を絞めたとか。では、マイルド系ホモフォビアが根強い日本は、むしろアンチLGBTQ+(?)なムスリム移民を歓迎すべきなのか? 和製J・K・ローリングのような「トランス憎悪系フェミニスト」はどう出る? というわけで、文化人類学(宗教重視系)出身で「#LGBTQB」と異名をとる丸屋九兵衛が、宗教と性(と政治)にまつわるあれこれを考えるのだ。
【LGBTQ+多様性フェスト】②6/14(日)【Q-B-CONTINUED vol.158】
少女マンガの男たち、少年マンガの女たち:異性の墨客 feat. トミヤマユキコ LGBTQ+多様性祭
少女マンガ史を辿るトークを展開してきたトミヤマユキコと丸屋九兵衛が魔夜峰央を語るうちに気づいた、「少女マンガ界における男性作家」という異端。いや、それは異端ではないのかも……では、少年マンガ界における女性作家はどうだろう? ドラマ・映画界や音楽界とは事情が違うにせよ、男女の役割の非対称性は否めないのか? というわけで、少女マンガの世界で活躍する男性マンガ家、少年マンガ界で人気を集める女性作家たちの歩みと作品傾向を通じて、日本のマンガ業界における女性と男性の在り方を考える会。
【LGBTQ+多様性フェスト】③6/27(土)【Q-B-CONTINUED vol.159】
世界史ボニー&クライド、ただしボニー&ボニーまたはクライド&クライド。有名同性カップルたちの足跡を追って LGBTQ+多様性祭
ボニー&クライド、つまりボニー・パーカーとクライヴ・バロウは1930年代前半のアメリカで悪名を馳せた犯罪者カップル。だがいつからか、その二人の名は「互いに信頼しあう運命共同体のような恋人たち」というニュアンスに昇華している。例えば"03 Bonnie & Clyde"はビヨンセとJay-Z。そして「怪奇映画界のボニー&クライド」、それはフランケンシュタイン(の怪物)とザ・花嫁。では、LGBTQ+界にボニー&クライドはいないのか? もちろん存在する! ただし「ボニー&ボニー」あるいは「クライド&クライド」だが。神話時代から現代に至る数千年の人類史の中から、有名同性カップルを独断と偏見でチョイス&コンパイル、彼女たちと彼らの足跡を紹介する2時間である。
【LGBTQ+多様性フェスト】④6/28(日)【Q-B-CONTINUED vol.160】
生物学で考えても性はDIVERSE! LGBTQ+多様性祭
かつてアメリカの有名ゴスペル一家に属する姉妹がホモフォビックな曲を発表した。題して"Not Natural"。つまり「同性愛は不自然だ」という主張である。だが、本当にそうだろうか?
人類史をどこまで遡っても同性愛者はいる。それどころか、ホモ・サピエンスの近縁種であるボノボ(aka ピグミー・チンパンジー)はバイセクシュアルを超越したパンセクシュアル状態の動物だ。そして動物界には、そのボノボ同様に両性愛率が高い種も多々いるのだ……。
さらに生物学に少し興味を持てば、「男と女」「メスとオス」という区別も絶対ではないことは明白だ。メスでもあるオス個体。オス化するメス個体。メスかオスか、よくわからない個体。メスであることは間違いないが繁殖に関与しない、つまり「生産性がない」個体、等々。
結局のところ、不自然なのは「自然界にはオスとメスしかいない」「同性愛は不自然だ」という発想の方では……。というわけで、科学の観点から性の多様性を証明せんとする試み。
◎8月は<万物評論家と仲間たちの夏休み:SCIENTIFIC LOVE 2026アフターマン以降の人類進化/m-floとテクノロジー変遷/とにかく宇宙の話/脱力のアメコミ・スーパーヒーロー/生物を模倣する工学>
~夏休みを謳歌する年頃をとうに過ぎても、夏はなぜか海と山と自然と野生と科学と自由研究と読書感想文に思いを馳せるのが人情というもの。
というわけで(去年は休んだが)今年も!
8月に丸屋九兵衛がお届けするのが、サイエンス&テクノロジー&SF寄りのオンライン会5本シーズン【万物評論家と仲間たちの夏休み:SCIENTIFIC LOVE 2026】である!~
内訳は
①未来の人類進化史 feat. 松原始
②m-floデビュー以降のテクノロジー変遷 feat. ☆Taku Takahashi
③脱力のアメコミ・スーパーヒーロー
④宇宙の話 feat. コスモさん
⑤生物を模倣する工学
①8/1(土)【Q-B-CONTINUED vol.161】
マンアフターマンアフターマン! ポストヒューマンたちの長い午後 feat. 松原始 夏休み2026
思弁進化と架空生物学の金字塔にして徒花といえば、1990年のドゥーガル・ディクソン著『マンアフターマン』。それまで「いま人類が滅びたら、未来の地球の動物相はどうなるだろう」「絶滅しなかったら、恐竜はどのように進化しただろう」と問うてきたディクソンが突如として描き出したディストピアンな人類未来予想図に困惑した読者も少なくなかったとか……。そんな同書が出版されてから35年以上。このジャンルの決定打的な傑作、我らが「謎のトルコ人」ことC. M. Kosemenの『All Tomorrows』が(オンラインでの公開から20年を経て)ようやく書籍として出版された今こそ、人類を超えた人類の進化、ポストヒューマンたちの未来を考えてみたい。『マンアフターマン』以降にイマジンされた人間たち、つまり「マン・アフター・マンアフターマン」の姿を。
C. M. Kosemen公認!
②8/7(金)【Q-B-CONTINUED vol.162】
m-floと同時代を歩んだテクノロジー変遷記! feat. ☆Taku Takahashi 夏休み2026
m-floにとって10作目のオリジナル・アルバムにして25周年記念作でもある『SUPERLIMINAL』がリリースされたのは今年2月。「been so longは1998年末リリースだから、25年と言うより27年以上では?」という声もあったが、些細なことにこだわるのはやめよう。5形態で発売されたその『SUPERLIMINAL』には受注生産限定のExclusive Editionという超豪華盤があり、そのブックレットには1998年から2026年に至るm-floヒストリーと(主に音楽に関わる)テクノロジーのライズ&フォールをまとめたものが掲載されていた。それを書いたのは丸屋九兵衛である。読者像として☆Taku Takahashiを想定して。
というわけで、発注提案者にして想定読者である☆Taku Takahashiと執筆者である丸屋九兵衛が同ブックレットの「テクノロジーのライズ&フォール」部分を再訪し、この四半世紀以上のテクノロジーの変遷に想いを馳せる約2時間。ぜひお付き合いを。
③8/15(土)【Q-B-CONTINUED vol.163】
最弱超人大集合! 脱力アメコミ・スーパーヒーロー図鑑 夏休み2026
きみ知るや、かつての日本ではスーパーヒーローもの映画が「SF」ジャンルに分類されていたことを……。それをご隠居の印籠のごとく振りかざし、サイエンス&テクノロジー&SF寄りのシーズン【SCIENTIFIC LOVE 2026】の中でアメコミのキャラクターたちを語ってしまおうという勇み足企画! もちろん正統派ヒーローの話はしない、一切しない。あまりに弱く、あまりに情けなく、あまりに意味がなさすぎて逆に愛おしくなる、そんなスーパーヒーローたち(少しだけヴィランも)の系譜を語る夜。
④8/22(土)8/23(日)【Soul Food Assassins vol.61 / MusiqAlien】
真夏の夜の宇宙論! 再びファイナル・フロンティアへ feat. コスモさん 夏休み2026
もちろん夏といえば、星空を見つめて想いを馳せる時期でもある。そこで今年も! コスモクリナビの宇宙ナビゲーター「コスモさん」こと村木祐介(JAxA)を招いて、我々のファイナル・フロンティア——それはとりもなおさず宇宙——の話をしようではないか!
⑤8/29(土)【Q-B-CONTINUED vol.165】
いつだって自然が先生だ! 生物を模倣する工学「バイオミメティクス」の世界 夏休み2026
「鮫肌(さめはだ)とは、サメの皮のように皮膚が乾燥してザラザラになり、細かなブツブツができる状態を指す俗語です」とグーグルAIは言う。我々も、「サメといえば肌が荒れている」と記憶してきたはずだ。そんなサメの肌の表面構造が、水中を泳ぐ際の抵抗を減らすスムーズな切り札として競泳用パンツに応用されていると知った時の驚きたるや! このように「生物の構造や機能から着想を得て物造りに活かす科学技術」をバイオミメティクス(biomimetics)と呼ぶ。もちろん、バイオミメティクスが生み出したのは競泳用サメ肌パンツだけではない。マジックテープから撥水加工まで、鄭和の船から新幹線まで、我々の生活(?)のそこかしこで活用されているバイオミメティクスの面白さ、そして自然の偉大さを今こそ学び直そう。
※どれも面白かったのだが、8月の④だけ。コスモさんのお話で最後に宇宙望遠鏡の原理について解説が行われたんだけど、ゴリゴリのハードSFみたいですごかった。
2026年8月に読んだ本
積読消化に努める日々。
◆『遺す言葉、その他の短篇 』アイリーン・ガン
「中間管理職への出席戦略」 出世のために人体を変容させる技術が当たり前となった未来。しかしそこには副作用もあって。昆虫への変化に関する細かい描写が印象的な諷刺要素の強い作品だが、巻末の付記によれば作者のマイクロソフトでの勤務経験が反映されてるとのことで、なかなか恐ろしくもある。
「アメリカ国民のみなさん」 ニクソンが大統領にならず、テレビ司会者となった世界線を描いた改変歴史SF。なかなか興味をそそる設定だが、短篇という限られた分量であり、ニクソンや当時の政治状況に明るくない身としては、ポイントがつかみかねるきらいがあった。
「コンピュータ・フレンドリー」 1990年ヒューゴー賞にノミネート。人間の脳機能が搾取される(?)ディストピア、子供たちを篩い分けする学校の様子が描かれる。少女が主人公の可愛らしいハッカー小説。面白い。
「ソックス物語」 奇妙な味系とはいえ、さすがに短く印象は弱い(一日で書かれたそう)。
「遺す言葉」 私淑していたというアヴラム・デイヴィッドスンオマージュ作品。淡い幻想性により、個性的な作家の暮らしが見えてくるかのような好編。
「ライカンと岩」 民話風味のSF、というよりはSF風味の民話かな。
「コンタクト」叙情的なファーストコンタクトもの。
「スロポ日和」1978年のデビュー作。エロ本を文化的に探求する異星人、というコミカルなタッチが楽しいが50年代からの諷刺SFの伝統も感じさせる。
「イデオロギー的に中立公正なフルーツ・クリスプ」センスは感じさせるがタイトルから予想される範囲内の小品。
「春の悪夢」ホラー。ニューロティカルな色が濃く、小品だが着地点も独特。
「ニルヴァーナ・ハイ」超能力者たちの通う学校を描いている。タイトル通りでニルヴァーナがネタとして出てくるが、ドゥイージル・ザッパが出てくる小説は相当珍しいのではないか。付記のコロンバイン高校云々は正直よくわからなかった。
「緑の炎」付記によるとアンディ・ダンカン、パット・マーフィー、マイクル・スワンウィックとのリレー小説。とっちらかった感じがあるのはそのせいか。アシモフ、ハインラインが1943年にフィラデルフィア海軍基地に実際に配属されていたことと同年の"フィラデルフィア・エクスペリメンタル"を題材にしており、スプレイグ・ディ・キャンプまで登場する楽しい作品ではあるのだが。
正直マイナーSF作家にあたるとは思われるが、七戸優による装画・挿画も美しく、出版にあたっての作家への愛情が伝わってくる一冊である。総じての感想として、出版や文学以外の他業種からの視点やバラエティに富んだ短篇作家という共通項もあり、ティプトリージュニアがもしかしたらだとったらこんな作品を残していたかもしれないということだ。世代も随分違うのだが。
◆『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』マンリー・W・ウェルマン&ウェイド・ウェルマン
ウェルズの『宇宙戦争』を舞台にドイルの名探偵ホームズとチャレンジャー教授がタッグを組んで地球の危機に立ち向かう話。ならば金森達の表紙(持っているのは古い版)のようにコメディ路線でいって欲しいのだが、割と人がしばしば亡くなったりリアル寄りで進行し全体に重い。ただ第4章からワトソンも加わっての科学的なディスカッションが始まって俄然SF味が強くなり良くなってくる。少し著者たち(合作なので)がやりたかったことが見えてきた。丁寧にウェルズやドイルの作品をふまえたファンフィクションのお手本であることは解説でも指摘の通り。さらに1975年作ということで、古典であるもののさすがに科学的におかしな点が気になる時代となり、古典を批評的に読み直す試みが必要となったのだろう。とはいえ、そもそもドイルをまともに読んだのがわずかだったので十分には楽しめなかったのが正直なところ。
◆『青い花』ノヴァーリス
紹介文だと美しい少女のイメージが出てくるが、実際には多様なイメージが登場する。例えば第1部第5章では洞窟内の何かの生き物の骨について想像の広がりが描かれているが、これは恐竜発見前の時代で、その時代の地面から発掘された骨に遭遇し地下の怪物を夢想する場面があったりして面白い。
途中ハインリヒとマティルデのバカップルっぽい会話も笑える(そんな風に読む人はいないかな(苦笑)。
◆『ソフトマシーン』ウィリアム・バロウズ
解説を読んで驚いたがこれは長編なのか。相変わらずよくわからないが文体には少し慣れたかもしれん。マヤ文明がネタになっている。
◆『緑の館』ハドソン
1904年の作品。副題に「熱帯林のロマンス」とあるように、当時のヴェネズエラを舞台に政治的な混乱の中で冒険の旅に出た青年と野生の少女と悲恋を描いている。なんとなく予想と異なる内容だったので、最後まで波長が合わず集中出来なかった。割合念の入った描写も実はアルゼンチンの草原育ちの作者は作品の舞台の地域には行ったことがないという。一方で解説などを参照すると、作者は鳥類に詳しいなど博物学的な著書も複数あり、自然描写の技量も高いそうだ。結局相当資料を読み込んでさらに想像力を膨らませ本作の執筆にいたったようである。ということで様々な意味でどうとらえたらよいのかわからない作品であった。ちなみにティプトリーの伝記にちょっとだけ登場した記憶があるが、確認しても見つからない。記憶違いか?
◆『ナボコフ短篇全集 1』
現在は1冊になっている全短篇本の以前の版。沢山作品があるので超長年の感想の書き溜め。参加している若島正先生のナボコフ読書会でのお題になったものは、示唆に富んだ指摘やディスカッションのおかげで、現在の感想と大きく違ったり。なので、古い感想も混淆したものになっているが、とりあえず備忘録として。
「森の精」森の精(と称する)者が語り手のもとへやってくる。時代の移ろいで失われゆくものの象徴なのだろうか。灯りがすっと消えるような結末、現実と幻想の間が魔術的に語られる。
「ロシア語、話します」亡命ロシア人のベルリンでの話。いきなり暴力的な展開になり笑う。
※その後再読。「いきなり」てもない事にやっと気づく。とはいえ暴力の背景が今ひとつ分からず謎が多い。
「響き」これもフィアルタの春と同じような入りくんだ男女の話といえるか。
「翼の一撃」これもまたうまくいかない色恋沙汰の話だが、スキー小説でもある。ナボコフうまそうだな。
「神々」現在と歴史と幻想が錯綜する中で一つの悲しい出来事が浮き彫りになる。しかしそこに差し込むのは希望の光なのだ。
「偶然」すれ違いを描いたものだろうか。コカインが登場する。
「港」舞台は南フランスの港、スケッチの様な作品だろうか。解説によると実体験に基づくらしく、貴族らしくない経験もしていたのかなと思わせる。
「復讐」妻の浮気を疑う夫。しかし、きっかけとなった妻の手紙は想像の人物に宛てたものだった。怪奇幻想趣味でデ・ラ・メアの名がでてくる。
「恩恵」瞬間に訪れる福音のごとき世界の美しさ。
「ある日没の細部」これもなかなか難しいが、アイロニカルな話に怪奇趣味がまぶされ、ドッペルゲンガーテーマ的な部分も見られる印象もある。
「雷雨」聖書のモチーフだろうか。短く、やや直截的に題材が扱われている気もするが、それでもナボコフらしくつかみきれないところがある。
「ラ・ヴェネツィアーナ」招待した友人の夫人に手を出した息子に怒る大佐という貴族の暮らしぶりが背景にある人間ドラマだが、息子の友人である庶民ぽさのあるシンプソンの視点で、読みやすく感じられる。絵画に入り込む乱歩めいた描写があり、幻想的な趣を持っている。テニスの描写も興味深い。
「バッハマン」傲慢な演奏家に破滅に追い込まれる様子が描かれる。芸術志向とアイロニーに作者らしさが感じられる。これも面白かった。※再読すると、この演奏家の異常とも思える行動の背景にもナボコフだからなんかあったりするか。あるいはオチになんらかの引用だとかがあるのか…。
「ドラゴン」そのままドラゴンが登場する、ナボコフらしからぬ直球のファンタジー。まあもちろん単純ではないのだが。
「クリスマス」息子の死を乗り越える小さな光を描いている。ナボコフらしい鱗翅類のイメージが美しく重ねあわされている。
「ロシアに届かなかった手紙」架空の手紙の中にスケッチのような描写でベルリン亡命時のナボコフ の心情が垣間見える。ふいに死と輝かしい生が交錯するところが、らしい。
「けんか」とある酒場で店主と娘、娘の彼氏が織りなす人間模様。これまたスケッチのようだが・・・。若島読書会で読み直し。夏のベルリンの湖での水浴、というシチュエーションであることにようやく気づく。
「チョールブの帰還」妻の死を義理の両親に伝えられない夫。余韻を残す結末。
「ベルリン案内」2020年代、などという言葉が出てきて、どうやら未来からの当時のベルリンを見た視点があるようだが、解説によると大変手のこんだ作品らしい(しかしよくわかっていない)
「おとぎ話」悪魔の約束という出来合いの形式を使った、ちょっとナボコフとしては珍しいタイプの小説ではないだろうか。悪くないが。これもドイツの街とあるからベルリンなのかもしれない。
「恐怖」ナボコフによるホラー小説といってよいだろう。実存的な不安を描いているもので、なかなか面白い。
「剃刀」志賀直哉の小説に同じモチーフがあった気がするが、こちらは亡命ロシア人の世界が感じられる小品。
「乗客」ちょっとメタミステリめいた小品。
「呼び鈴」生き別れの息子が母親を訪ねて・・・。いわゆる巧い短篇といった感じ。
「名誉の問題」妻と友人が密通していることを知り、有人に決闘を申し込んだ主人公が死を恐れ逡巡する心理が描かれる。一見ストレートな筋立てで把握しやすくみえるが、読みどころは違うのかもしれない。
「クリスマス物語」 若手作家の合同批評を、評論家と共にすることになった主人公。批評家の提案でクリスマスストーリー考えることになった。クリスマスを題材にしてメタフィクショナルな構成になっている。
「じゃがいもエルフ」サーカスの舞台に出演する小人が主人公で周囲の人々との関わりや出来事が描かれていく。思いがけない終幕に戸惑う。あまり関係ないがポー「飛び蛙」ケレット「前の前の回におれが大砲からブッ放されたとき」とか他にもいろいろあるけどサーカスものは記憶に残る作品が多いね。
「オーレリアン」 商店を営む蝶採集マニアが金持ちのマニアに標本箱を売るチャンスを得る。蝶の蛇目柄のイメージが記憶に残る一冊でこれもアイロニカルさが出ている。(俗物っぽい客が標本箱を買うシーンはなんどなくシャーリー・ジャクスン「曖昧の七つの型」を連想)。
「さっそうたる男」 鉄道の中でナンパを試みる男が主人公。「フラウ・ベルクマン」のフラウは名前なのか「ミセス・ベルクマン」の意味なのかどっちなのかな。まずは碌でもない男を描いた小品に見えるが女性も訳ありっぽくある(それを割り引いてもひどい男なのは間違いない)。<透ける>イメージが繰り返し登場するのはなぜか。
「悪い日」 子どもの日常が描かれる作品で、この系統のものは切ないんだよね。これも好きな女の子に冷たくされたり、かくれんぼの様な遊びの鬼になったがちょっとしたきっかけで置いてきぼりになるとか、もうね。でも傑作。「響き」に出てきたゴロトキがここにも登場。
「博物館への訪問」 雑感になってしまうが博物館をめぐる幻想みたいな作品。
「忙しい男」 死におびえる男の心理が美しい情景描写と共に時間を越えてひとつながりで表現される。短い分テクニカルさが際立つ。
「未踏の地」 シチュエーションとしては探検の旅にあり、隊は苦境に遭遇しているといったもの。過酷な状況を、悪夢か現実か混乱に陥った語り手の視点から描かれている。
「再会」 交流の薄い兄弟の久しぶりのぎこちない再会。お互い気をつかいながらも噛み合わない会話、そしてなんとか着地点を見出そうとするのが昔の知人の飼い犬の名前という瑣末事だったりするあたりの情けなさ、なんとも可笑しい。
「重ねた唇」 なにやら甘く官能的なタイトルだが、このタイトルを冠した小説を書き発表しようとしている作家の話である(ナボコフらしいともいえる)。内容は実に苦い話だが、作家の高揚と落胆がよく出ているものでもある。(「ツルゲーネフを誤読して」という一節が気になる)
◇SFマガジン2022年10月号
スタジオぬえ特集。世代ではあり懐かしいものの詳しい方はもっといそうなのでスルー。
○フィクション
「八〇〇〇メートル峰」ジェイスン・サンフォード
山SFというより山ホラー、登山に魅せられた冒険家の心理が奇抜な発想で描かれている。面白かった。
「金属は暗闇の血のごとく」T・キングフィッシャー
宇宙に進出した機械たちのたどる運命がお伽話風に語られる。なんというかまともというか普通で印象は薄かった。
○ノンフィクション
「戦後初期日本SF・女性作家たちの足跡」第4回仁木悦子、藤木靖子、戸川昌子ー推理作家の挑戦
伴名練
この回は戸川昌子。作家の経歴とはやや違うが、貧しい育ちからバーのホステス含め職業を転々とする中でシャンソンのコミュニティと出会い歌手になっている。こうした経歴をみるとシャンソンはロックやフォーク以前のカウンターカルチャーだったのかという思いを強くする。結局タレント的な存在感で作家としての知名度もあった人で、シャンソン文化が拾い上げた人材ともいえそう。
「SFのある文学誌」第84回小酒井不木⑥ー特等訊問法と科学探偵 長山靖生
ランダムに読んでしまっている連載。引用が多いのでやや斜め読みになっているのだが面白くて、この時代のミステリ作家の科学に対す流布考え方が興味をそそるんだよね。
「乱視読書の小説千一夜」第77回爆発した世界 若島正
欠かさず読んでいる連載。内容上、未訳の作品が中心なので感想を書きづらいこともあり、ブログではほとんど言及していないが。何はともあれこの回はディレイニーだ!待ってましたというしかない。見開き2頁で、若島正とディレイニーが幻想・SF文学の視座が交錯する醍醐味!オレの世界も爆発!(是非読んでみてください。いやAmazonの古書価格もぬえ特集だから高めかあ…)。
◇SFマガジン2026年8月号
巨大ロボットSF特集は詳しくないのでスルーで(まあスルーばかりですな。いやホントに詳しいといえるものがないのだよね)
〇フィクション
「郷愁」塩崎ツトム
謎の物体をめぐる未来の宇宙クルーたちの話。紹介文のアンチ『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の煽り文句は多少大げさにしても、ロシア宇宙思想をモチーフにして一種ダークさがあって返答的な側面はあるだろう。なかなかユニークな作品。
○ノンフィクション
「SFのある文学誌」 第107回夢野久作11 長山靖生
すごいね。107回になるのか。ランダムに読んでしまってるんだけど夢野久作のシリーズは面白いね。今回は美少年がテーマ。能楽との関連とか幼童天皇の話だとか非常に示唆に富む。世阿弥は美童で足利義満からも寵愛を受けたのか。興味が出てきてしまうな(笑)。
2026年7-8月に観たミュージカル、映画
まずはですよ。8月21日に憧れの『シカゴ』のミュージカルを観ることができたのですよ!!ヤッタ~!!

実は若干誇張がありまして。元々映画版の『シカゴ』は好きだったんだけど、あらためて観直したのは2年位前だったかなあ。そこから急にミュージカルが気になりだして、言及が増えてきた。
funkenstein.hatenablog.com
funkenstein.hatenablog.com
funkenstein.hatenablog.com
funkenstein.hatenablog.com
『オール・ザット・ジャズ』の記憶がどこかにあって、ボブ・フォッシーのイメージが自分の中のどこかに染み込んでいるのだろう。肉体ごと迫ってくるショウビズの光と闇、それを苦いユーモアでくるんだ舞台は「これだ!」と思わせるものだった。最高としかいいようがない。迷っていたが結局プログラムもTシャツも買ってしもうた(笑)。
・「パリに咲くエトワール」(2026年)
青の零号さん(Biting Angle)のおすすめがあって観た。アニメは詳しくないのだが、20世紀初頭のパリという舞台設定がユニークで、特にクライマックスのあたりアニメ表現の進歩に驚かされました。ストーリーも非常によく構成されていましたね。
・「パプリカ」(2006年)
初見なんだが、もう20年前の作品なのか。イマジネーション豊かな映像と比較的シンプルな人物配置で楽しめた。古びた印象が少ないのはセンスのいい音楽のおかげもあるだろう。『インセプション』を連想したが、詳しい比較はできないので識者に。
・「愉快なリズム」(Rhythm on the River)(1940年)
ビング・クロスビーの映画なんだな。92分なんだけど、テンポよくあれこれと起伏に富んだストーリーが詰め込まれている。黄金期らしい楽曲による高揚感ですすむのも素晴らしい。ラストは価値観の異なる現代では違和感があるものの、ゴーストライターというショービズの裏側をチクリとやっており、さすがビリー・ワイルダーという感じだ。ちなみにロングフェローという詩人について言及があって不勉強ながら初めて知ることができた。
ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー - Wikipedia
2026年最近の近郊文学散歩など
備忘録兼ねて。
(慢性的に)長く休みが取れなかったり、体力的な弱さもあり、最近は近郊で文学散歩。
5月16日は小田原文学館・白秋童謡館へ(写真なし!)。昔行ったことがあるんだけど、展示もたぶん変わっているし少しは古い時代の知識が増えてもいるので今回の方がより楽しめた。古い家や庭も好きなので旧松本剛吉別邸にも寄った。そっちだけ写真。


5月23日は神奈川近代文学館で吉屋信子展へ(この後にダイアナ・ロスのコンサートに行ったんだったわ)。

7月3日、池袋周辺。旧江戸川乱歩邸や雑司ヶ谷の辺りへ。土蔵見て。旧宣教師館、著名人が多い雑司ヶ谷霊園も通った(雑司ヶ谷霊園は大きいので散歩していくと自然と通ることになるのよね)。文学館的な場所って宗教関係のものもよくある気がするな。地域的なこともあるせいなのかな。



7月18日は中野善夫さんのサイン会(読書仲間の皆さんとも再会!いやあうれしかったあ。皆さんまたどこかで!)で鶯谷に行ったついでに子規庵へ。晩年の子規の息づかいが感じられるようなところである。また目の前にあったので区立書道博物館も入った。書道は全くの門外漢なのだが拓本とか奥深い世界をいろいろ垣間見ることができて楽しかった。



shikian.or.jp
www.taitogeibun.net
7月31日は区立森鴎外記念館や弥生美術館・竹久夢二美術館へ。エリートの典型と思っていた森鴎外の苦悩弥生美術館・竹久夢二美術館は基本的に弥生時代とは関係なく(地名)、女性文化的なものを主に紹介してきた特徴ある美術館の様だ。今回は1979年に創刊された『My Birthday』を中心とした少女占いカルチャーの特集。これも知らない世界で少女たちをエンパワーしていた部分がそういった雑誌にあったということで目から鱗だった。面白かった。足を伸ばして最後は印刷博物館にも。これは印刷会社TOPPAN本社にあるものなんだけど、印刷に関する展示は充実していて、夕方行ったから見切れなかったほど。また行きたい。




moriogai-kinenkan.jp
www.printing-museum.org
8月11日は用事のついでに大田区尾崎士郎記念館へ(無料。旧尾崎士郎邸を外から見るかたち。でもいろいろ展示あります)。こうした日本の文豪の文学館へ行くと高い確率で宇野千代が登場するのだが、この人は3番目の夫。以上文学館ばかりいってないで小説の方をちゃんと読まんとなあ。


www.city.ota.tokyo.jp
2026年7月に読んだ本
◆『ハドリアヌスの長城 』ロバート・ドレイパー
◆『モンテ・クリスト伯』上中下 アレクサンドル・デュマ(岩波少年文庫版)
作品の長さに恐れおののき、岩波少年文庫版を購入したがそれもかなり昔。それでもそれなりのヴォリュームで、積んだまま年月が経ち、このままでは読まずに終わりそうと思い、ついに着手。読んでみると、現代的な内容がふんだんに盛り込まれていて驚かされた。基本骨格が復讐劇でサスペンスフルなのだが、他にざっと見渡しても(ややネタバレになるが)エキゾチズムあり、残虐要素を含む煽情性あり、トリップや同性カップリングまで登場するにいたっては予想の斜め上だった。もちろん順番が逆で、デュマが後世に大きく影響を与えたということなのだろう。原典にはあたっていないので、どの程度取捨しているのかは不明だが、この少年対象の文庫でも、際どい表現が入っているので、まずはそこに感心した。
◆『夢の国』ジェイムズ・P・ブレイロック
十二年に一度の不思議なカーニヴァル<夏至(ソルステイス)>がやってくる町の話。設定は魅力的なのだが、やや登場人物が多く、関係が入り組んでいて、うまく入り込めなかった。どうやら伏線の回収がある作品とは感じられたので機会があれば再チャレンジしたい。
◆『90億の神の御名 ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク2』アーサー・C・クラーク
「前哨」 『2001年宇宙の旅』の原型として知られる作品。不毛な月の大地に現れる人工物というアイディアや描写の巧みさに唸らされるものの、提示される自己肯定感に満ちた誇大妄想的ヴィジョンは後世への影響として罪深いものがある気がしてならない。ただこうしたヴィジョンは人類の習い性みたいなもので、クラーク固有の問題ともいえないだろう。
「月面の休暇」 未来の月生活を描いたもので、とりあえず科学的にずれが生じているのはさておき、印象的なイメージはあるもののどこか少年向けの科学雑誌を連想させる。で、その辺は解説にいろいろ事情が書かれていて納得。別名義で書かれた幻の作品で本書が本邦初訳、どうやら若い女性向け雑誌の掲載だったようで、「宇宙開発の啓蒙家としての面が色濃く出た作品」と解説に書かれている紹介そのものでまあそういう小説。
「おお地球よ‥‥‥」 終末観が背景にある作品はSFに多いが、クラークの場合は少し意外。
「時間がいっぱい」 1952年の作品で、解説にあるようにクラークらしからぬクラシカルかつざっくりめのアイディアによるもの。オチは時代らしい終末への恐れを反映している印象。
「90億の神の御名」 基本骨格はアイディアショートショートで既視感は強い。ただこの作品がプロトタイプ的なものだろうし、コンピュータの利用と宗教テーマの融合など先進性は間違いないだろう。
「木星第五衛星」 シンプルでわかりやすいハードSFミステリ。貴重な木星人による彫像をめぐっての駆け引きが楽しい。むしろアシモフあたりが書きそうな感じの作品で意外でもある。
「夜明けの出会い」 ファーストコンタクトテーマだが、ラストの処理は当時としてはなかなか斬新なものだったろう。さすがオリジネーター。
「海底牧場」 残念ながら大昔に読んだ長篇の方の内容が思い出せないがとにかく未来の海でのクジラの放牧の話である。古代文明からの系譜を意識する場面が科学の人クラークらしさである。
「密航者」 途中でネタが割れてしまったが、イングランド人であるクラークがアメリカ人を視点者にして王室へのアンビヴァレンツな心情を反映させている部分がなかなか面白い。
「星」 詩情あふれる宇宙探査SFの短い作品だが、キリスト教がかけあわされているところがポイントで、解説によると当時はかなり衝撃的な内容だったようだ。しかしキリスト教者ではないのでピンとこないところが正直ある。
「月に賭ける」 これも啓蒙系らしく、こういったものはやはり楽しめないなあ。
「究極の旋律」 『白鹿亭綺譚』で既読。こういうのは楽しい。
「天の向こう側」 これまた啓蒙系で今ひとつ。ただ小説云々は別として、クラーク本人自体が歴史的人物で興味があるので、小説内の細部の人間関係(主人公と女性の恋人との微妙な間、主人公と父親の関係)は気になるところがある。もちろん主人公と作者を同一視してるわけではない。が、クラーク作品のコアであるテクノロジー的なアイディア・描写の狭間に日常的な<人間>が彼にどう見えていのかが現れている気がするからである。
「遥かなる地球の歌」 宇宙飛行士と宇宙進出前の星の娘のロマンスといったところか。やはり描写は素晴らしいがなんとも図式はオールドスタイルだよねえ。
「幽霊宇宙服」 ホラー風味なのはクラークにしては意外な気がする。これは楽しめた。
「ベツレヘムの日」 エッセイ。聖書の記述を元に科学的検証を加える。こういうのはぼんぼん書けたんだろうなあ。「前哨」 『2001年宇宙の旅』の原型として知られる作品。不毛な月の大地に現れる人工物というアイディアや描写の巧みさに唸らされるものの、提示される自己肯定感に満ちた誇大妄想的ヴィジョンは後世への影響として罪深いものがある気がしてならない。ただこうしたヴィジョンは人類の習い性みたいなもので、クラーク固有の問題ともいえないだろう。
「月面の休暇」 未来の月生活を描いたもので、とりあえず科学的にずれが生じているのはさておき、印象的なイメージはあるもののどこか少年向けの科学雑誌を連想させる。で、その辺は解説にいろいろ事情が書かれていて納得。別名義で書かれた幻の作品で本書が本邦初訳、どうやら若い女性向け雑誌の掲載だったようで、「宇宙開発の啓蒙家としての面が色濃く出た作品」と解説に書かれている紹介そのものでまあそういう小説。
「おお地球よ‥‥‥」 終末観が背景にある作品はSFに多いが、クラークの場合は少し意外。
「時間がいっぱい」 1952年の作品で、解説にあるようにクラークらしからぬクラシカルかつざっくりめのアイディアによるもの。オチは時代らしい終末への恐れを反映している印象。
「90億の神の御名」 基本骨格はアイディアショートショートで既視感は強い。ただこの作品がプロトタイプ的なものだろうし、コンピュータの利用と宗教テーマの融合など先進性は間違いないだろう。
「木星第五衛星」 シンプルでわかりやすいハードSFミステリ。貴重な木星人による彫像をめぐっての駆け引きが楽しい。むしろアシモフあたりが書きそうな感じの作品で意外でもある。
「夜明けの出会い」 ファーストコンタクトテーマだが、ラストの処理は当時としてはなかなか斬新なものだったろう。さすがオリジネーター。
「海底牧場」 残念ながら大昔に読んだ長篇の方の内容が思い出せないがとにかく未来の海でのクジラの放牧の話である。古代文明からの系譜を意識する場面が科学の人クラークらしさである。
「密航者」 途中でネタが割れてしまったが、イングランド人であるクラークがアメリカ人を視点者にして王室へのアンビヴァレンツな心情を反映させている部分がなかなか面白い。
「星」 詩情あふれる宇宙探査SFの短い作品だが、キリスト教がかけあわされているところがポイントで、解説によると当時はかなり衝撃的な内容だったようだ。しかしキリスト教者ではないのでピンとこないところが正直ある。
「月に賭ける」 これも啓蒙系らしく、こういったものはやはり楽しめないなあ。
「究極の旋律」 『白鹿亭綺譚』で既読。こういうのは楽しい。
「天の向こう側」 これまた啓蒙系で今ひとつ。ただ小説云々は別として、クラーク本人自体が歴史的人物で興味があるので、小説内の細部の人間関係(主人公と女性の恋人との微妙な間、主人公と父親の関係)は気になるところがある。もちろん主人公と作者を同一視してるわけではない。が、クラーク作品のコアであるテクノロジー的なアイディア・描写の狭間に日常的な<人間>が彼にどう見えていのかが現れている気がするからである。
「遥かなる地球の歌」 宇宙飛行士と宇宙進出前の星の娘のロマンスといったところか。やはり描写は素晴らしいがなんとも図式はオールドスタイルだよねえ。
「幽霊宇宙服」 ホラー風味なのはクラークにしては意外な気がする。これは楽しめた。
「ベツレヘムの日」 エッセイ。聖書の記述を元に科学的検証を加える。こういうのはぼんぼん書けたんだろうなあ。
◇SFマガジン1998年3月号
1997年のヒューゴー/ネビュラ賞特集。
〇フィクション
「消えた」ジョン・クロウリー
スターリング「自転車修理人」は既読なので、『古代の遺物』収録作品ながら、本含め未読の本作を読んだ。30年前
の作品になるのでいわゆるスリップストリーム、現在であれば一般文学に属するような作品。なんらかの目的で宇宙から「エルマー」といわれる物体がやってきて、日常の手助けをしてくれるようになる、善意チケットというものにサインをさせて。短い作品でSF的な仕掛けが用意されているわけではないが、奇妙で切ない味わいがある。







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