異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

読書(日本文学)

<シミルボン>再投稿 『せどり男爵数奇譚』 梶山季之

ランキング参加中読書~ちょっと気になる古本の世界を垣間見せてくれる連作短篇集~ せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)作者:梶山 季之筑摩書房Amazon ある本に出会うきっかけは様々である。 紀伊国屋書店新宿本店スタッフが文学フェアのために創ったPickwick cl…

2023年ベストブックス、他いろいろ年間まとめ

映画も観ていない、本も新刊1冊のみと散々な状態だが、やるか(割と美術展には行ったか)。 ◎新刊 『MOCT「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』青島顕 唯一の新刊が同級生の本というのも誤解を招きそうだが、ホントに面白いので多くの人に手に取って欲しい…

<シミルボン>再投稿 コラム「敵と味方をわけるもの」

ランキング参加中読書 <シミルボン再投稿シリーズですが、<シミルボン>では投稿を盛んにするためにお題の提供も定期的に行われていました。数は少ないのですが、そうした企画に合わせて書いたものもありました。以下のコラムのお題は「#おしえて、せんそ…

2023年10月に読んだ本とオンラインで聞いたイベント

ランキング参加中読書 今月も量はもう一つですなあ。 ◆『エデンの黒い牙』ジャック・ウィリアムスン エデンの黒い牙 (創元推理文庫)作者:ジャック ウィリアムスン東京創元社Amazon 人狼伝説をベースにし、人類史の影に隠れた闇の一族の秘密をめぐる攻防が描…

シミルボン、サービス終了

ご縁があり、開始当初から利用していたシミルボンが今年10月1日24時で終了するとのこと。 https://shimirubon.jp/columns/1711228 うーむ残念。 第3回シミルボンコラム大賞もいただいたりして、単なる読書好きながら、非常にモチベーションを高めてくれる読…

2023年3月に読んだ本、と怪奇幻想読書会

◆『輝く断片』シオドア・スタージョン 再読。 「取り替え子」 遺産相続のため、赤ん坊の世話をして家庭的なところを親戚に見せなくてはいけない夫婦。偶然現れた赤ん坊はで、というコメディ。切れの良い会話が楽しい一作。 「ミドリザルとの情事」 冒頭いき…

2022年ベストブック

ベストブックを昨年から選ぶようにしたけど、いきなりつまずいて、なかなか読書がはかどらず。特に今年は新刊を積んでばかりという有様。 まあ自分でもまとめとして整理できるので今年もやるか。 ◎新刊 ・『血を分けた子ども』オクテイヴィア・E・バトラー …

2022年9月に読んだ本

諸般の事情でしばらくは低調が続きそうです。 ◆『気分はもう戦争』矢作俊彦・大友克洋 昔読み逃していた作品。改変歴史ものの系統になんとなく最近興味が寄っていて、どうかなと思って初読。一時、享楽的な80年代のノリで戦争が描かれていたら残念だという迷…

2022年4月に読んだ本と参加した読書イベント

◆『九(ここの)』岩田宏 ブラッドベリなどの翻訳で名高い小笠原豊樹(の方が本名らしい)、小説家・詩人として名である岩田宏によるオムニバス型の長編。プロローグから推測するに、終戦から20年ほど、1960年代半ばくらいが舞台。鎌倉の空き家に一人暮らしを…

第2回みんなのつぶやき文学賞に投票しました。あとこれまでのTwitter文学賞~みんなのつぶやき文学賞の投票内容

ベストブック選びとかをしていると、過去のベスト投票のこととかを振り返ってみたくなる。 当ブログ主だと森下一仁さんのSFガイドに毎年投票しているが、そういえばTwitter文学賞にも投票をしていた。 現在は「みんなのつぶやき文学賞」に移行している。 twi…

2022年1月に読んだ本と聴いたトークイベント

古い雑誌ばかり読んでましたね。 あとちょうど先ほどオンラインイベントを聞いたのでまずそれから。 ・【月刊ALL REVIEWS】牧 眞司 × 豊崎 由美、アドルフォ・ビオイ=カサーレス『英雄たちの夢』(水声社)を読む 小説の紹介者として大変信頼すべき(しかも息…

2021年12月に読んだ本と参加したトークショー

あけましておめでとうございます。今年もボチボチですが、ブログ継続しますのでよろしくお願いいたします。 さて新年一発目は12月に読んだ本と読書関係で参加したトークショー。 まずはトークショーの方から。 最近訳書が連続して刊行されたシルビナ・オカン…

2021年11月に読んだ本と聴いたイベント

イベントの方から。ヨーロッパ文芸フェスティバルというのが11/17~11/26オンラインで開かれていることを知り、またレムの企画もあったのでちょっと聴いてみた。いろんな大使館が協力している企画のようだ。 eulitfest.jp ◎日常の亀裂~恐怖を描くこと – ヨ…

2021年10月に読んだ本など

そうそう、まずは読書会とイベント参加について。 まずは名古屋SF読書会。 www.ne.jp お題は劉慈欣『三体Ⅲ』。何度かお邪魔しているが、このご時世にオンラインでやっていただけるのはありがたい! 大長編のあらすじがまとまっている労作のレジュメに従って…

2021年9月に読んだ本と読書会など

なんとなく数年来(苦笑)たまっていた雑誌などを消化することが多いです。雑誌は全部読むのは大変なので、創作などそこそこ読んだものという感じ(それから、感想も随分前に読んだものが結構含まれてる)。 ◇群像 2019年1月号 ○フィクション 「命日」瀬戸内…

2021年4月に読んだ本、と近況報告

現在体調を崩し、連休中ということもあり自宅療養中です。 まあ以前にもかかった病気で、いわゆる重篤なものではないのですが、経過がいまひとつ芳しくないので、ちょっと生活を見直すことになりそうです。 とりあえず備忘録的に4月の記録だけ書きます。 『…

THNo.85にレビューを書きました。あと2021年1月に読んだ本

TH No.85 特集:目と眼差しのオブセッション 特選品レビューでマイケル・ドズワース・クック 『図書室の怪 四編の奇怪な物語』のレビューを書きました!よろしかったら読んでみてください! athird.cart.fc2.com さてTH、私のレビューなんかは置いておいて、…

2019年4月に読んだ本、参加した読書イベント

大型連休、諸事情で長期間の旅行までは出来ないものの幸いかなり休みが取れたので第14回名古屋SF読書会に参加。課題本は山田正紀『宝石泥棒』。 (さすがに有名な作品なのでそのまま書いてしまうが)全体の構成としては異世界ファンタジーのように見えて実は…

2019年2月に読んだ本

『セルジュ・ゲンズブール バンド・デシネで読むその人生と音楽と女たち』フランソワ・ダンベルトン shimirubon.jp『飛ぶ孔雀』山尾悠子 比類ない美しい文体、そして異世界の構築性という点で追随を許さない作家だが、これまで描かれる世界は西洋的な印象の…

2019年1月に読んだ本

『ドラゴン・ヴォランの部屋』J・S・レ・ファニュ 「ロバート・アーダ卿の運命」ある人物の呪われた運命が二つの視点から描かれる。話自体の出来もよいが、ジャンルの分化が進んでいない時代の書き方としても興味深い。 「ティローン州のある名家の物語」裕…

2018年5月に読んだ本、とSFセミナー

今年もSFセミナーに参加。 最初の新進作家パネルではマイペースに独特な奇想から創作をしていくような石川宗生さんの作家というより現代アーティストといった佇まいとオタク文化とアイディアの組み合わせから創作をしていく草野原々さんのハイテンションなキ…

2018年3月に読んだ本

『鉄の夢』ノーマン・スピンラッド 途中まで読んだ状態で数年放置していたがようやく読了。アメリカに渡ってB級SF作家になったアドルフ・ヒトラーが書いた「鉤十字の帝王」とその解説からなる、改変歴史ものの入れ子構造で有名な作品。もちろんこの「鉤十字…

2018年2月に読んだ本、と観た映画・美術展

2月はとりわけあっという間に過ぎてしまったので(当然)、全部まとめて。『横浜駅SF』柞刈湯葉 失礼ながら意外にもアイディア豊富で話のバランスも取れていて面白かった。ちなみに昨日も現実の横浜駅はまだ工事を続けていた(笑)。『誰がスティーヴィ・クライ…

2017年12月に読んだ本

うーん今月も多くないなあ。 今月も怪奇幻想読者会に参加させていただいた。 奇妙な世界の片隅で 怪奇幻想読書倶楽部 第11回読書会 開催しました今回は吸血鬼特集ということで『吸血鬼ドラキュラ』はまだ読了できていないが、下記のように吸血鬼関連を読んだ…

2017年7月に読んだ本

『黒檀』カプシチンスキ 長期間に渡りまた非常に広範囲に及ぶアフリカのルポルタージュ集。危険をおかすことも厭わず外からの視点を超え現地に踏み込み記録し得ぬものを記録しようとする情熱と筆力がすごい。残した作品が世界各地にも広がっていたことにも驚…

2017年4月に読んだ本

4月はいろいろ忙しくて少なかったなあ。反省(積読ばかり増えていく傾向がさらに加速しておる・・・)。 『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀 19世紀ポーランドの農村を舞台にした重厚な『吸血鬼』から一転、今度は第二次大戦中のドイツ都市部で監視の…

2017年3月に読んだ本

昔買って積んでいた文芸誌を結構拾い読みした。 『新潮』2015年9月号 川上未映子「苺ジャムから苺をひけば」 腹違いの姉がいることを知った少女。技巧的には文句なしだが、手堅過ぎるのと子どもたちが妙に大人びているのが気になりいまいち。 金井美恵子「孤…

『ぶるうらんど 横尾忠則幻想小説集』 横尾忠則

“生と死のあいだ、此岸と彼岸をただよう永遠の愛の物語(短編連作『ぶるうらんど』第36回泉鏡花文学賞受賞作)に、異国(スペイン、アマゾン、カシミール)を旅する極彩色の幻想奇譚集『ポルト・リガトの館』をあわせて傑作幻想小説集。”(amazonの紹介より) 美…

『向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ』向井豊昭著 岡和田晃編

新進気鋭の評論家として多方面でに活躍の場を広げている岡和田晃さんとは当ブログ主は以前からやり取りをさせていただいておりSF関係のイベントなどでもお会いしているが、その岡和田さんが再評価に尽力をされているのが向井豊昭である。本書はその著作の一…

『11』 津原泰水

11の不思議な世界に誘ってくれる圧倒的な短編集。ひとつひとつけっして長くはないのにバラエティ豊かで濃密な作品ばかりで、しかもどれをとっても著者ならではと感じさせる。 「五色の舟」 再読。やっぱり傑作。この一家の存在感がすごくて、是非また登場さ…