異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2019-01-01から1年間の記事一覧

2019年12月に読んだ本、参加した読書イベント、映画も

もう年内に読み終えられる本がなさそうなので。 『アメリカ怪談集』荒俣宏編 集中No.1は「牧師の黒いヴェール」。牧師が黒いヴェールで他人との間に障壁をつくってしまうというシンプルな話だけでなんでこんなに恐ろしいのか。原罪のイメージが重なられてい…

2019年11月に読んだ本、参加した読書イベント、観たドラマも

諸般の事情で読書は相変わらず低空飛行(映画も全く観ていない) 『カメラ・オブ・スクーラ』ナボコフ ナボコフの初期作品で、古典新訳文庫なので、解説が充実していて、本作の背景がよくわかるのだが、まだシンプルなつくりになっていて、ナボコフの好むモ…

2019年10月に読んだ本

まだまだ低調だな・・・(好調になるときはくるのだろうか)。 『三体』劉慈欣 現代中国社会を反映した部分とある意味今時珍しいほど大風呂敷なファーストコンタクトSFが融合してユニークな作品になっている。ただ訳すのが大変だった事情はよくわかるところ…

トン・ゼー(Tom Zé)@三鷹公会堂、行ってきた

1960年代ブラジルの音楽を中心とした芸術運動トロピカリア(Tropicália)。1990年代のカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)の再評価と共に知ったのだが、そのオリジナルの一員であるトン・ゼー(Tom Zé)がまさかの初来日。やや仕事場から遠いのだが10/…

2019年9月(や最近)に聴いたCD、観た映画、ドラマなど

Endrecheri(エンドリケリー)「Naralien」 予想以上のどFunkアルバム。Go-goを思わせる曲など世代的にツボなものがあるが、例えばI'm gonna show U how 2 FUNKにはGeorge Clintonのソロなんかのテイストがあるとこなどセンスがシブい。言葉遊びなどにもP-Fun…

2019年9月に読んだ本、読書関係イベント

なかなか読書の調子が出ない(諸般の事情もあり)。 『ピカルディの薔薇 幽明志怪』津原泰水 伯爵・猿渡コンビのオカルト探偵ものの傑作といえる『蘆屋家の崩壊』の続編だが、後書きに「似たようなものを書き続けることほど小説家を疲弊させる行為はない」に…

2019年8月に読んだ本

相変わらず低調(あっちこっち断片的に読んでるパターンが続いてる)。 『雪降る夏空にきみと眠る』ジャスパー・フォード 冬眠を中心にした社会というのをこれほど真正面から扱ったSFというのもなかなかないのではないか。ディストピア社会の状況、個性的な…

2019年8月の旅行

今月上旬に奈良旅行に行ってきたよ。 やっぱり大仏は大きかった。 鹿のみなさん。 そして夢殿!厩戸王子!日出処の天子!テンション上がりまくり!気温も上がりまくり!(暑かった・・・) 春日大社の鹿のおみくじも可愛い❤️ 興福寺の阿修羅像、生まれて初めて…

2019年7月に読んだ本

7月はいろんなつまみ読みが多くて、雑感としても書けるのはこの程度 『愛なんてセックスの書き間違い』ハーラン・エリスン SFアイディアがない分、エリスンのエモーショナルな面がわかりやすく出ていて面白い。自信満々に見えたエリスンだが、解説にある「自…

2019年7月に観た美術館、ライヴ、TVドラマなど

ちょっと早いがそれなりにいろいろあったので今月まとめ。いつにもまして身辺雑記風。 学会で岡山に行ったので観光もしてきた。岡山ははじめて(実は母方の祖父祖母が岡山出身でルーツの一つなのだが、二人とも結婚してすぐ神奈川県の川崎市に引っ越したので…

2019年6月に読んだ本

kazuouさん主催の第22回怪奇幻想読書会に参加、kazuouさんも書いておられる通り怪奇幻想色が特に強い会でいろいろ知ることができ楽しかった。 ということでまずは課題図書から。 『イギリス怪談集』 正攻法の怪奇幻想集だったので、個人的には異色作家短篇集…

TVシリーズもろもろ備忘録

最近昔のTVドラマシリーズばかり観ている。 理由はスーパー!ドラマTVでやっているスタートレックを片っ端から録画しているのと、夏にオスマン帝国外伝シーズン3が放送されるらしく、HDDの空きをつくらなきゃいけないので(HDDを複数にするのは面倒だから避…

2019年5月に読んだ本

『郝景芳短篇集』 郝景芳 「折りたたみ北京」の著者の短篇集が登場。1984年生まれで若い頃から文才に恵まれ物理学部に入学、経済学の研究者になったという万能型の天才といった印象の人だが、作風はその科学的な側面と温かな情緒を感じさせる面と両面がある…

2019年5月に観た美術展、TV番組など

・「トルコ至宝展」@国立新美術館 終わるといけないので行ってきた。オスマン帝国外伝にはまったのでこれは見逃せません。スレイマンの衣服もあったねえ。宝飾品が何よりも豪華で素晴らしかったが現在のイメージとは違う細長いチューリップの花が必ずといっ…

2019年4月に観た映画など

「天才スピヴェット」L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet (2013年)(TV録画視聴) 『T・S・スピヴェット君 傑作集』はグラフィックが入りレイアウトなど趣向の凝らされた良質の作品であったが、その意匠を映画のフォーマットに巧みに援…

2019年4月に読んだ本、参加した読書イベント

大型連休、諸事情で長期間の旅行までは出来ないものの幸いかなり休みが取れたので第14回名古屋SF読書会に参加。課題本は山田正紀『宝石泥棒』。 (さすがに有名な作品なのでそのまま書いてしまうが)全体の構成としては異世界ファンタジーのように見えて実は…

Eric Clapton@武道館

Eric Claptonというと大きな変化を続けてきたロックの世界でその時代時代に先駆けムーブメントをつくりながらしかもポピュラリティを獲得し続けた人物だが、その分なんとなく王道過ぎるようなところがあってちょっと当ブログ主は敬遠してきてこれまでライヴ…

クルムヘトロジャンはKrum Petrosyanではないかという仮説

クルムヘトロジャンがどこの出身であるか長年気になっていた。 非常に情報が少ない中で唯一の資料となる知香社のウロン文学全集11「へろ」も持っていない(まあ買おうにも価格的に無理だったが)ところで途方に暮れる中、幸いにもネットの時代ありがたいこと…

2019年のDeNAベイスターズ

長らく野球ネタをつぶやかないうちにDeNAは日本シリーズに進出するはイチローは引退するはどんどん時代が変わってしまった。 いつの間にやら息子2人も(よせばいいのに)DeNAベイスターズファンになってしまった。弱いチームを応援すると苦労するぞよ、君た…

2019年3月に観た映画・美術展

『恐怖の報酬』(Sorcerer)(1977年) William Friedkinのサスペンス映画ということで観に行ったが、実は1953年の作品Le Salaire de la peurのリメイクなのね。わけいありの男たちが高い報酬目当てにニトログリセリンの運搬を行うという筋立て自体がよい。…

2019年3月に読んだ本

もろもろあってかなり少なめ。 『渚にて』ネヴィル・シュート 破滅SFの中では静かに終末を迎える人々を描いていることで知られる。パニックに陥らず日常を送ろうとする主人公たちの姿は美しく切ないが全体的なトーンは古いハリウッド映画のように感じられて…

2019年2月に観た映画など

『悪霊島』(1981年)(TV視聴) 1月に観ていた。再見だったが、結構話を忘れてたのでそのままミステリとしても楽しめた。鹿賀丈史は金田一耕助この映画だけなのね。世代的にCM何度も見てたせいか何度かやってたかなと思っていた。古いインプットは強いものが…

2019年2月に読んだ本

『セルジュ・ゲンズブール バンド・デシネで読むその人生と音楽と女たち』フランソワ・ダンベルトン shimirubon.jp『飛ぶ孔雀』山尾悠子 比類ない美しい文体、そして異世界の構築性という点で追随を許さない作家だが、これまで描かれる世界は西洋的な印象の…

BEST SF2018投票

森下一仁さんのSFガイド恒例BEST SF2018に今年も投票。 『飛ぶ孔雀』山尾悠子 2点 火が燃えにくくなった世界、という着想が奇抜でそれを現出させる魔術的な手腕に唯一無二の作家であることを思い知らされる。 『竜のグリオールに絵を描いた男』ルーシャス・…

TH No.77「夢魔〜闇の世界からの呼び声」 に寄稿しました

アトリエサードから出ているTH No.77「夢魔〜闇の世界からの呼び声」 のTH特選品レビューでルーシャス・シェパード『竜のグリオールに絵を描いた男』、マット・ヘイグ『トム・ハザードの止まらない時間』の紹介を載せていただきました。 (不慣れで今頃ここ…

2019年1月に読んだ本

『ドラゴン・ヴォランの部屋』J・S・レ・ファニュ 「ロバート・アーダ卿の運命」ある人物の呪われた運命が二つの視点から描かれる。話自体の出来もよいが、ジャンルの分化が進んでいない時代の書き方としても興味深い。 「ティローン州のある名家の物語」裕…

2019年1月に観た映画など

「ど根性物語 銭の踊り」(1964年)(TV視聴) 若かりし勝新がその腕っぷしと気っぷの良さから正義のための殺し屋(現代の必殺仕事人)として闇の組織にヘッドハントされるという、なんとノワールもの。とはいえ、闇の組織はあっさり親分ともめ始めるし勝新ら…

<由紀さおり 50周年記念公演>を観てきた

ちょっときっかけがあって、さる1月11日に観てきた。 www.meijiza.co.jpもちろんこうしたいわゆる歌謡ショウは初めてである。かろうじて一番近いのは2013年の浅草公会堂の<横山剣 大座長公演>か。さすがにお客さんはかなりの高年齢層(笑)。 明治座はちょ…

2018年11月から12月に観た映画、展覧会、イベントなど

そういえば11月あたりから観た映画をつけてなかった・・・。(「ボヘミアン・ラプソディ」<アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ>以外) 「メアリーの総て」(Mary Shelley)(2017年) メアリー・シェリー本人とフランケンシュタイン創作の話は、バイ…

12月に読んだ本、怪奇幻想ベストと映画ベスト

『奪われた家/天国の扉』コルタサル コルタサルの「真の処女作」といわれる初期短編集。 「奪われた家」内面的には充足している兄妹で暮らす家に忍び寄る影。不安の描出が巧みで多様な解釈ができるわずか数頁の傑作。 「パリへ発った婦人宛ての手紙」『悪魔…