異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2019年10月に読んだ本


まだまだ低調だな・・・(好調になるときはくるのだろうか)。
『三体』劉慈欣
 現代中国社会を反映した部分とある意味今時珍しいほど大風呂敷なファーストコンタクトSFが融合してユニークな作品になっている。ただ訳すのが大変だった事情はよくわかるところはあるものの、翻訳のタイムラグが10年以上で、微妙にちょっとずれのようなものを感じるところもある。
『なめらかな世界と、その敵』伴名練
 斬新なアイディアとツイストの多い意外な展開、SFのある意味コアであるロマンスとがかみ合っている傑作揃いで質の高い作品集だった。
翻訳家の山岸真さんからtwitterで教えていただいたのだが、巻末の「ひかりより速く、ゆるやかに」ではバリー・N・マルツバーグの「ローマという名の島宇宙」からの引用があってびっくり。ビル・プロンジーニとの共作ではバカミス方面で知られるマルツバーグだが、一方単独作での評価は正直いまいち。しかしこの作品は書けない作家の苦悩が描かれていて当ブログ主偏愛の一作である。新潮文庫のSFアンソロジー『スターシップ』に収録されている。

パラドックス・メン』チャールズ・L・ハーネス
 なかなか豪快なアイディアSFで楽しかった。未来なのに時代錯誤な決闘とかがあったり、トンデモ科学があったりして、いかにもワイドスクリーンバロック!といいたいところだが、どことなくべスターやベイリーとは違う気がするんだよね。もうちょっとユーモアよりというか。
『銀河の果ての落とし穴』エトガル・ケレット
 この作家、初読だが様々なタイプの短編が収録されていて、非常に面白かった。