引き続き低調(浮上しない)。
◆『ストレンジ・スターズ』ジェイソン・ヘラー
一言でいえば労作。1970-80年代のSF的なモチーフを扱ったロックを中心とした周辺のポピュラー音楽を片っ端から網羅しようという気概にあふれたノンフィクション。その分、全体を貫く理論や視点があるわけではなく俯瞰的。といはいえ、レゲエやブラックミュージック(そしてBいやC?級ディスコ)、ドイツやフランスあたりまで押さえられているなど情報量としては破格。以下ブログに書いたものを拾ってメモ
・クラフトワークの「アウトバーン」は一般表記とは異なり、「アオトバーン」これはなかなかの違和感。
・以前旧・新ブログで書いたが全く反響のなかった(パティ・ラベルのグループとして知られる)、ラベルの宇宙趣味に3ページも割いてあるのが素晴らしい。
ラベル関連の記事のリンクを並べておく。(まあyoutubeのリンクは切れてるんだが備忘録で)
funkenstein0.hatenablog.jp
funkenstein0.hatenablog.jp
funkenstein.hatenablog.com
・第4章でマルツバーグ『アポロの彼方』(積読)への言及がある。またアルビン・トプラー『未来の衝撃』がカーティス・メイフィールド「Future Shock」に影響を与えたことが触れられている。
・第5章でメロディ・メーカー誌のインタヴュアーがロバート・フリップの本棚の『高い城の男』に注目していることに言及。いかにもなオタクムーヴに苦笑するが、同年のNo Pussyfootingと関連しているらしい。
・P-funkとディスコの関係についてはアンビヴァレントのように匂わせる箇所があるがこれは首肯しづらい。ディスコ音楽はむしろ、知名度の低いブラックミュージシャンたちが切れ込む絶好の機会だし。真偽不明のUFO目撃談(いや連れ去られかけ談?)は自伝『ファンクはつらいよ』に出ていたかどうか失念してしまった。
・X-Pay Spexについてもちゃんと触れられていた。中心人物のPoly Styrene(ポリスチレンが由来)の奇妙な名前が意図的なのもよくわかった。
・サラ・ブライトマンの最初のヒットが"I Lost My Heart to a Starship Trooper"という宇宙ものディスコだったといのもちょっと面白い。
・リシャール・ピナスというフランスの電子音楽家のアルバム"Chronolyse"はミシェル・ジュリの作品から来ているとあるが、『不安定な時間』のことだろう。
◇SFマガジン2000年6月号
ディック特集。
○フィクション
「待機員」 故障する事のない人工知能の大統領には形式上設けられた人間の待機員が定められていた。待機員が死亡し、その後継が決まったが、エイリアンから太陽系が攻撃を受けて。ディックらしいガジェットがやや混乱気味に詰め込まれているが、それもまたらしい。
「ラグランド・パークをどうする?」 政治対立、宇宙からの侵略など、おやっと思ったら「待機員」の続篇なのね(そもそも大統領の名が同じで「待機員」の解説にも書いてあった(苦笑)。余談だが、黒人労働歌にハラーというルビがついている。歌手が登場人物の一人で歌詞がストーリーにからんでいく演出が楽しいし、「待機員」と共にメディアのハッキング合戦など実に予見的な内容だ。共にややごちゃごちゃしているが、二作揃うとなかなかいい連作に思えてくる。不勉強ながら初めて知ったのだがどうやらfield hollerという言葉があるようだ。
○ノンフィクション
「量と質ーフィリップ・K・ディックの短篇」ロバート・シルヴァーバーグ
初期の短篇からディックを評価していたというシルヴァーバーグによるエッセイ。論考部分もある。交友はあったが晩年は距離を置いていた様子がうかがえる。デーモン・ナイトは初期にはディックをきちんと評価できていなかった、と軽く非難しているのが面白い。
「電気羊飼い フィリップ・K・ディック」ロジャー・ゼラズニイ
ディックの特徴についてだが、特別なことは書かれていないかな…と思ったが1975年(のオーストラリアのSF評論誌別冊ディック特集序文)らしいので読み手としても優れていることがわかる。好きな三作の中に『銀河の壺直し』が入ってるので読まないとなあ。
「フィリップ・K・ディックー臆病な回想」ピーター・ニコルズ
"The Encyclopedia Of Science Fiction"の編者(日本ではSFマガジンで

