異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2024年5月に行った美術展

 5月はいろいろ美術展に行きました。
橋本治展、6/2で終了してしまいましたね。
www.tokyoartbeat.com
 橋本治の活動は幅広いのだが、小説・古典現代語訳・評論・エッセイなどの文筆関連に留まらず、絵画や舞台演出や編み物など幅広い分野で長期にわたって活動を行ってきた。まずは仕事量と幅に驚かされた。古典への造詣の深さの一方で、体当たりするかの如く同時代の事物に対峙した姿勢は、時に文体が経年で違和感を生じることも厭わなかった。誰にも似ていないそのアプローチは、非常に難しい面もあるだろう(おそらく自身も後世に「偉人」として祀り上げられるのも良しとしないに違いない)。何はともあれ当ブログ犬は若い時代に影響を受けたのは間違いないし、今後も橋本治とは何だったのか考えることになるだろう。その意味で千木良悠子『はじめての橋本治論』は読もうと思っている。

 あと著作で自分がおすすめのものをちょっと。
 三島由紀夫の解説本。明晰かつ腑に落ちるものだった。
 5巻以降は未読(窯変源氏も双調平家も途中までという中途半端ぶり失礼)。西洋美術以上にとっかかりを得られない感じだった日本美術を鑑賞する手がかりを与えてくれた。1巻だけ妙に安いんだな。ちなみに5-7巻を揃えたい一方で密林のあまりの高額ぶりに、ネット詐欺にあったのも実はそんな昔ではない。まさかこんな古本で詐欺にあうとは思わず、あっさり引っかかってしまった。皆様気を付けて。
〇鎌倉の廃寺展、こちらは6/29まで。

www.city.kamakura.kanagawa.jp
 廃寺ってなんかそそられるんですよね。簡単にはなくなりそうにないお寺ですが、いろんなことがあるようで面白かったです。ちなみにひどい理由での廃寺もありました(ヒデエ)。

〇北欧の神秘展、6/9まで。
www.sompo-museum.org
 フモさんの「メモリの藻屑、記憶領域」(いつも参考にさせていただいてます!)の記事で知って、時間があったのでのぞいてきた。
globalhead.hatenadiary.com
 空気の冷えきった青色が印象的な風景画も良かったが、やはり2章の魔力の宿る森が楽しかった。ポスターにもある≪トロルのシラミ取りをする姫≫なんかタイトルも素敵だった。
デ・キリコ展、8/29まで

dechirico.exhibit.jp
 様々な傾向の絵画作品があり、彫刻や舞台衣装まであって、あまり詳しくない身としては感想がまとまらない。ただ、子ども時代の水浴や外に出た家具の光景、有名な広場での啓示など驚きの感覚を大事にしてきた人で、それが古典と結びついたことによって普遍性を得、時代を超越し今なお新しく感じられるのではないか。ちなみにJ.G.バラードは好きだったはずと思い、この間『千年王国ユーザーズガイド』をパラパラとめくったんだけど、ちょっと触れていたぐらいだったな。
 こちらも当ブログよりしっかりとしたフモさんの「メモリの藻屑、記憶領域」の記事をどうぞ。

globalhead.hatenadiary.com