異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

令和版うる星やつら「愛と勇気の花一輪」

 さて令和版「うる星やつら」もいよいよ終了のようだ。
 ブログには書いていなかったが、ずっと観ているし、期待は裏切られていない。
 終了してから書こうという気もしていたが、重要なエピソード「愛と勇気の花一輪」が放送されたので、一回書いておくことにした。
 以前にも書いたが、原作者高橋留美子の頭を悩ませていたのがしのぶの扱いである。

funkenstein.hatenablog.com
 今回の放送時にも、そのことがXの公式アカウントで投稿された。


 このエピソードの初のアニメ化だが、非常に素晴らしい出来であった。
 今シーズンのクライマックスとなる「ボーイミーツガール」は再アニメ化であることを考えると、むしろ「愛と勇気の花一輪」が一つのピークともいえるかもしれず、長年のファンとして感慨を覚えずにはいられない。
 「全てのキャラクターに幸せであって欲しい」と思っていた高橋留美子が『うる星やつら』完結の道筋で最難関だったのが、ヒロインだったはずのポジションを完全に奪われてしまったしのぶであった。
 キャラクターは生き物で、作者のコントロール外の部分が生じる(そもそも主役ではなかったラムが主役となってしまったように)。しのぶはヒロインの座を奪われたものの、消えることもなく、徐々に<らしさ>を形成していく。
 その中で、しのぶの持ち味を失わせない中で、幸福な着地点を見出すのに貢献したのが因幡くんである。
 キャラクターは生きている。
 最後に「うれしいの」を繰り返すしのぶはあくまでも架空であるキャラクターにも関わらず、人格を持って作者やファンに感謝をしているかのようにも思えてしまう。「私の幸せを考えてくれてありがとう」とでもいうように。
 これがフィクションのマジックだろうか。
 因幡くんは、しのぶの行く末を案じた読者と高橋留美子の思いが具現化したキャラクターだろうか。
 フィクションの実に幸福な瞬間がここにある。
 素晴らしいアニメ化をありがとう。
 スタッフ・声優の皆さんには感謝しかない。