異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

ルパン三世の映画をいくつか観てみた

 今年はルパン三世アニメ化50周年とかで、WOWOWプラスでルパン三世のアニメをいろいろ放送している。
 そういえば評価の高い劇場映画の第一作、第二作を除けば観たことなかったよなー、と気づいた。
 とはいえ、劇場用とTVスペシャルを合わせると当然かなりの数に上り、とても観切れない(しかも観ようと思えばかなり観ること自体はできるのが現代の恐ろしさ)。
 なので、ランダムに(たしかWOWOWプラスじゃないのもあるはず)録画して観てみた。ちなみに感想は観た順ではなく時代順(備忘録なので)。
ルパン三世 バビロンの黄金伝説(1985)』(劇場映画)
 ルパン映画としては山田康雄の最後、というのことだが、その後もTVスペシャルでルパンをやっているのでその辺は特に感慨はない。コミカルなのはともかく、ところどころの描写に時代とのズレがあるね。謎解きは意外と豪快。なにはともあれ、メインキャラクターに普通の俳優やタレントが入っていてそれが質を低下させているのが問題(ちなみに塩沢ときの事ではない。キャラクター自体多少変なところがあるが、演者としては健闘している印象)。五右衛門が一目惚れしてしまうチンジャオは『燃えよ斬鉄剣』の桔梗をどことなく連想させる(こちらが原型的なキャラクターかも。あるいはもっと古くからあるのかな)。
ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』(1990年)(TVスペシャル)
 出崎統監督(あしたのジョー、ガンバなどの名監督)でこれまたキャラが独特な顔つきで不二子が誰?となる。全体に軽妙で、旧世代の自分としてはある意味イメージ通りのルパン作品。
ルパン三世 ルパン暗殺指令』(1993)(TVスペシャル)
 検索してみると、そんなに評価は悪くないようだが、うーむ自分にはイマイチだったなあ。冒頭原子力潜水艦を奪う話は、さすがに操縦は無理ではないかということもあるが、全体にストーリーなどあまりにも既存の枠組みや声優の力頼みというマンネリ感が。リフレッシュが元々必要だったんだろうなあという印象。それからクライマックスのところは911および311前なのだなという感じ。今ではあれで盛り上がることはないだろうね。あと、キャラクターデザインの江口寿志という江口寿史ではない人がいることを知る。
ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994) (TVスペシャル)
 ルパン暗殺指令より後にこれを観たんだが、この作品の方がより荒唐無稽なんだけどこっちは別に気にならないんだよなあ。むしろこっちの方が「正しく」主要キャラクターたちを継承しているから問題なく思えていたりするのかもな。ルパン三世の長年のファンはどういう風に楽しんでいるんだろう?1995年に亡くなった山田康雄のルパン遺作となる作品。
ルパン三世 ワルサーP38』(1997年)(TVスペシャル)
 栗貫ルパン、まだ慣れないせいか抑え気味かなあ。アクション中心、話はまあいつものといった感じかな。
ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』(2002年)(TVスペシャル)
 主要キャラクターの最初の出会いが描かれるという、ググると批判があり、それもわかるが、なかなかいい企画だと思う。ちょっと考えた感じのオチも個人的には嫌いじゃない。コロンボでいえば「かみさんよ、安らかに」。
ルパン三世 お宝返却大作戦!!』(2003)(TVスペシャル)
 新味はないが、アイディアや展開は気が利いてるし、シリーズの楽しさが良く出ている作品。栗貫もキャリアを経て余裕が感じられる。
ルパン三世vs名探偵コナン』(2009年) (TVスペシャル)
 コナンに関してはちゃんと観たことがない疎さなのだが、これとTHE MOVIE既に10年ほど前なのか。THE MOVIEの方をうっかり先に観てしまった。アニメ的な飛躍がストーリーをうまく盛り上げているし、二つのシリーズの融合も自然。例えばルパンがコナンに自己紹介するところから音楽とかの流れも気持ちいいテンポだったり、峰不二子がカッコよかったし。とにかく全体によく出来ていて面白かった。さらにカリオストロの城との関連も連想させるファンサービスもあるのも巧い。
ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』(2013年)(劇場映画)
 そういうわけで、うっかり上記の2009年の「ルパン三世vs名探偵コナン」と順番逆に観てしまったので、ちょっとわからないところもあった。それでも、それぞれのキャラクター総出の賑やかさが楽しく面白かった。次元がコナンにパパといわれるところがツボ。中盤出てくるバーのマスターがトニー・レヴィンで笑った。

 で、まとめて観た感想は<ルパン三世>というフォーマットの偉大さ。絵柄やテイストが違っても、メインのキャラクターたちにカッコいい見せ場があれば、観客は<ルパン三世>の世界を楽しむことができるのだ。これはもちろん原作者の凄さであり、TVアニメのスタッフ(キャラクターと一体となってキャリアを送った声優陣たちの貢献度は熱心なファンではない自分にもわかる)らの築き上げてきたいわば地盤の固さあるいは強さといったものに負うところが大きいと思う。