大分間が空いてしまったなあ。でもやるよ!(それにしても「ファンク(など?)」とはなんだ)
自分の中ではここからが<本編>。一番よく聴いておすすめしたいものを揃えているのが今回の名盤選。
前回書いたように1970年以降。で、1990年代あたりまでかな、とにかく出たとこ勝負だが。
(ちなみになるべく高いレアCDなどは避け、現在聴きやすい音源などをリンクしようとしていますが、どうもAmazon商品紹介とうまくリンクできないことがあったりサブスクがあるのにCDが表示されることがあったりして、リンクはiTunesを混ぜてみたりで未整理な状態です。万が一本ブログがきっかけて音楽を購入する際にはサブスクがあるかどうかはどうかご確認をお願いします)
ファンクや”いわゆる”ニューソウルについては、微妙にリアルタイムではなく遡って聴くことになったこともあってミュージックマガジン系のこのムックをガイドに聴いていた(基本的にはレコードコレクターズの各ミュージシャンの特集をまとめたもので、後から知るといい加減な記載もあり批判されるのも理解できる。ただ参考にしてきたのも事実)
①レジェンドたち(個人的観点)
・James Brown
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もちろん聴き始めにはもう大御所で、何を聴いていいかわからない。とにかくファンクの偉人として思い切って購入したのが4枚組のbox "Star Time"。ただもう入手困難で、James Brownの編集盤では定評のあるCliff Whiteなのでチョイスは素晴らしいのだが、思い出として選んだ。実際はそれを1枚に再編集した"20 All~”やサブスクの「はじめての~」とかでOK。この人の現代性はちょっと聴けばつかめると思う。
リアルタイムで聴いたのはこの2枚。前者が1984年、後者が1988年。当時最先端であったヒップホップや後輩からのリスペクトに応答して、コラボしていた時代。ヒットした"Living In America"は1985年だったんだなと確認したり。
・Sly Stone
Slyは正直ピーク期間が長くないので、ベストはどれでもあまり変わらないかな。でもそれで終わりにせず、是非"Stand"と”There's A Riot Goin' On"も通しで。この2枚の上昇と下降、高揚と挫折、その落差が時代そのものであることが伝わってくる(フラワームーブメントのような若者の新しい時代への期待感がほどなく絶望へと変わる時代)。
あと余談ながら"Stand"の中でやや地味な’Everyday People’の単調な繰り返しの中から盛り上がるところ、あるいは背後にある力の抜けた知性的なユーモアを指摘した中村とうようの視点には現在も影響を受けているかもしれない。
・Prince
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Princeは意外とすんなり決まった。やはり代表作はこの辺、初心者向けとしてもベストに差はあまり出ないように思う。売れすぎて長いこと背を向けがちだった"Purple Rain”も意識的ないびつさもある’Computer Blue’の斬新さなどポピュラリティと先進性を兼ね備えた作品だと近年ようやくわかってきた(基本squareな犬なので理解が遅い)。
・P-funk関連
さてP-funk。
P-funkは大好きかつそもそも大所帯なのでねえ。分けて選びますか。
1)Parliament
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P-funkそして総帥のGeorge ClintonそれからBootsyの評価自体は定まったものがありそうだが、例えばParliamentからはiTunesで「はじめての~」にすぐたどり着けなかったりするんだなー。出入りするメンバーが多いのとグループが複数なんでこうなっちゃうのか。凄腕メンバーが揃い(内実は大変だったようだが)異常なほどのテンションを見せつけた"P-Funk Earth Tour"はマスト。P-funkの魅力といえば、ブラック・ミュージックの伝統に根差したコーラスワークそしてエモーショナルなヴォーカルによるダンスミュージック、そしてサイケデリックロックの魅力溢れるギターミュージック、などレンジの広い音楽が、ウィットに富んだSFアイディアによる歌詞やユニークなコスチュームなどと合わせて提供されるという圧倒的なインパクトにある。なので、アルバムのジャケットも実に楽しい仕上がりになっているが、なんといってもライヴがその魅力をストレートに体感するのに最適。なので”Earth Tour"、音自体はあまり良くないのだが、それでも外せない。他によく聴いていたのは"Chocolate City"かな。ポジティブに黒人の社会進出をアジっていくフレーズが非常に上手いんだよね。
2)Funkadelic
ParliamentとFunkadelic、メンバーは同じで、契約問題から2つの名前を使うようになった。初期は原点であったコーラスグループの要素をベースにしたParliament、ギターを中心にしたサイケデリックロックのFunkadelicと使い分けていたところがあったが、だんだんFunkadelicがポップになっていく。ただちょうどよくバランスが取れた”One Nation Under Groove”はParliament”Mothership Connection”と並ぶ名盤。Parliament、Funkadelicは2010年代にも作品を発表し、これらも聴き応えがあるが、基本的にはGeorge Clintonのソロプロジェクトという要素が強い印象。
3)George Clinton
定期的に来日するなど個人的にP-funk熱が盛り上がっていたのは1990年代前半。1993年には名義はParliament/FunkadelicだったかP-funk All Starsだったか忘れたが、Bootsy前座で伝説の5時間ライヴを敢行、もう働いていて翌日の仕事があったので名曲Flash Lightが続く中で涙の帰宅をしたり(ちなみにその時のBootsyのライヴはDVD化された)。その時代の大傑作"Hey, Man, Smell My Finger"(1993年)と”Dope Dog”(1994年)がサブスクになっていないというのは個人的に許せないのでここに。その分、初期のソロ作品は外した。実は最初に愛聴したのは(たぶん不遇期)”The Cinderella Theory”(1989年)だったりするが。
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4) Bootsy Collins & Bernie Worrell
Bootsyは個人としてもスーパースターではあるが、いちおうこのくくりで。作品自体については選択が意外に難しい。上記の様に、P-funk系全般にスタジオではやはりライヴのインパクトをなかなか越えられない。なのでParliament/Funkadelicに比べ、年少者向けの伝説や可愛いキャラクターを意識した手法がうまく出ている"The One Giveth, the Count Taketh Away"、ジャケットなど地味ながら音的には充実している"Fresh Outta 'P' University"を挙げておく。個人的には新しく聴くリスナーは2000年以降、特に近年のものの方が聴きやすいのではないかと思う(ゲストが多過ぎてBootsy色が弱いという批判もあるが)。
②その他ランダムに
まとめるのも失礼なのだが、例えばファンクといってもいまだにOhio Playersのような大物でもピンとこないものもある。またファンクというジャンルの明確な基準も特にない。感覚としてはソウルやR&Bに比べ、リズム意識が強くビートが効いている感じだろうか。なのでブラック・ロック的要素も加わるかなあ。ということで「ファンク(など?)」となってしまったのもご愛敬(<自分でいうな)。ただ長くなりそうなので、ディスコ・ファンク(と犬が考えているもの)は除外した(ニュー・ソウルは別項目で)。ちなみに参考書はこれ。
・Earth Wind & Fire
やっぱいれとくか、というには失礼か。<ちゃんとしたP-funk>、といった印象で宇宙趣味や大所帯(ホーン・セクション)などP-funkといろいろ重なる分、逆に毒気の少なさが物足りなく思えるというか。ヒット曲やiTunes"はじめての"でもいいがアルバムではこれかな。’That's The Way Of The World"のスケールの大きさはこのグループならでは。
・Cameo
リアルタイムでマーケット的にも勢いを体験したのはCameoだなあ。BPMを落としたのが画期的で爆発的に売れた”Word Up"はもちろん、"Real Men... Wear Black”も充実しているのよ。
・Zapp & Roger
来日コンサートも行ったよ......。ファミリー色あふれる温かくて最高なライヴだけにいまだに胸が痛む。でも彼のトークボックスは永久に不滅です。
・Go-go
時代の徒花として忘れ去られようとしているワシントンD.C.のGo-go。たしかに音楽的に単調なきらいはあり、結局ローカルなダンス用の音楽にまた帰っていったのだろう。しかし初心犬にファンクを教えてくれた恩を感じるジャンル。なかでもTrouble FunkはBootsyプロデュースのアルバムも発表、来日コンサートも友人や兄と行った中野サンプラザで大いに盛り上がった思い出深いバンド。結局シーンの勢いを感じさせるサウンドトラックにしておく。Sly & Robbie、E.U.、Chuck Brown、Wally Badarouなんかも入っているのが当時らしいし。(ただ映画を未試聴なのが痛いが)
長く男性ミュージシャン中心に聴いてきてしまったことや元々男性ミュージシャンが目立ちがちなジャンルでもあり(上記の解説本『ファンク』でも女性ミュージシャンは少ないことが言及されていた)、結果的に最後になってしまったが、その中でも時代を先駆けて優れた作品を残してきた女性ミュージシャンがいた。ここで挙げておく。
・Labelle
この項目で一番に大きな存在であるのがLabelle。旧ブログでyoutubeのLabelleの動画を載せたりNona Hendryxについて書いたりした(動画のリンクはすべて切れているが)。
funkenstein0.hatenablog.jp
一般的には知っている人であっても、Patti Labelleが出たグループ、名曲’Lady Marmalade'のグループ、あるいはLaura Nyroとの共作とかそんな程度の認識だろうけど、実はロック~ソウル~ファンクをSF趣味でくるんだような<もう一つのP-funk>ともいえるグループ。これはフィーメール・ロッカーの草分けの一人でもあるNona Hendryx(実は大部分の曲をこの人が手掛けている)のセンスに負うところが大なのだ。ソロアルバム(特にファースト)ではロック指向がよりはっきりしているし、Labelleの方のタイトルで’Space Children’’Black Holes in the Sky’’Cosmic Dancer’とくればそのセンスのコアは明らか。また'A Man In a Trenchcoat (Voodoo)'はミステリ/怪奇趣味だし、'Who's Watching the Watcher?'なんていうのもグッとくる。それ以外の曲も抜群にソウルフルでファンキー。そこに最強のメインヴォーカルPattie Labelleが炸裂、サポートのNonaとSara Dashもテクニカルかつパワフル。当時の衣装もまたド派手で(時にスペイシー!)楽しい。ホント過小評価されていると思う。ということで(どうもamazonではデジタルミュージックも少なく冷遇され気味なので)Nonaのソロ含めitunesから4枚挙げておくが、是非(やや奇妙でもある)Pattiのアクションやメンバーが躍動する70年代のライヴ動画も見てほしい。(Nonaのソロはブラック・ロックともいえるが、ブラック・ロックはまた名盤選しようかなあ)
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・Pointer Sisters
80年代音楽育ちなので、Pointer Sistersといえばディスコヒットメイカーといった印象でそんなに興味はひかれなかった。しかし後から初期のライヴを聴いたらとんでもないパワーで驚かされた。こういうライヴなら観ておけばよかったな。
Live At The Opera House
・Betty Davis
この人の存在も後追いで知ったのだが、シャープなブラック・ロック的なアプローチとヴォーカル、Labelleと同時代性を感じさせるスペイシーな衣装と最高である。