2015-01-01から1年間の記事一覧
『神聖代』 著者の代表作とされている。遠未来と思しき宗教的な宇宙世界を舞台にヒエロニムス・ボス(本文中ではボッス)の「快楽の園」をコアイメージにした<ボッス星>の謎を追う幻想的なSF。錬金術、シュルレアリスムの題材がふんだんに盛り込まれ、SF的な…
2012年に初紹介された1976年生まれの中国系米作家。帯にあるようにヒューゴー賞・ネビュラ賞・世界幻想文学大賞を受賞している注目の新鋭の日本オリジナル短篇集。予想以上に面白く多彩な内容。かなりの大物が登場した感じだ。 (以下多少内容に触れるので未…
やや長さが気になったもののシリーズ2巻目『監視機構』までは謎の解明がないことにさほど不満はなかったのだが・・・。より複雑な語りを持ちこむことによって読みにくさが増し、どういったことを描きたいのか読んでいる身としてうまくシンクロすることができ…
先日読了した『LAヴァイス』の映画化作品。 『LAヴァイス』の解説を読むとピンチョンの小説は、舞台である時代の事物を微細に執拗に取り込んでいきストーリー・構造共にパラノイアックであるのが特徴で、独特の文体に架空の曲の歌詞まで入ってくるから映画化…
科学者のイメージってどんなだろう。世界がよくなる理想を追い日夜寝る間を惜しんで研究する高潔な人物だろうか。はたまた不気味な発明を密かにすすめ自らの研究のためなら他人の命すらなんとも思わない冷徹な人物だろうか。フィクションの中ではしばしばそ…
行ってきましたよ!G. Clinton詣で! ブログ移転してからP-Funkネタは少ししか書いていなかったが、ほぼ30年来のP-Funkerである(まあそりゃ<さあのうず>なんていう名前を名乗ってるわけで。ちなみに現在の<放克軒>もP-Funkね)。 前のブログの記事をは…
CSだったかなBSもあったかな。とにかく備忘録。『スタートレックⅡ カーンの逆襲』(1982年) レナード・ニモイ追悼で放送。これ2009年の『スター・トレック イントゥ・ダークネス』とわざとオーヴァーラップさせてるみたいだね。詳しいファンだと細部が楽し…
<公式>映画『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』オフィシャルサイト|大ヒット上映中imitationgame.gaga.ne.jp コンピュータの元となるチューリング・マシンの生みの親であり、人工知能か人間かを判断するテストのチューリングテスト…
幻想文学にはそれほど明るくない当ブログ主でヴァ―ノン・リーのことも全く知らなかったのだが、翻訳や大変面白い評論で幻想文学の紹介者として自分にとっては良い道案内となってくれる中野善夫さんの選・訳の本で、装丁もまた素晴らしいので購入し読んでみた…
ランキング参加中読書 当ブログ主はオサーンSFファンでファン歴は長いのだが個人としてイベントを見聞きするといったパターンが長く続いていたので、読書会に参加するのはわずか。読書会、と銘打ったものははじめて(ということで名古屋SF読書会もはじめて)…
「舞台は、とある惑星の都市アルカナル。地球から800年ほど遅れ、中世ルネッサンス期を迎えているかのようなこの地に、地球から科学者・歴史家らの調査団が派遣された。しかし彼らが目にしたのは、権力を持った商人たちによる圧政、殺戮、知的財産の抹殺であ…
順調に消化しています(笑)『2001年宇宙の旅』(1968年) 毎回感心させられるねえ猿の演技、というのはともかくとして。いわずとしれた映画史上に燦然と輝く名画、だがあらためてどんな内容かといえば割合説明しにくいような。人類の待ち受ける未来を科学技術の…
サンリオ文庫版『競売ナンバー49の叫び』を読んでいまいちピンと来なかった当ブログ主はほぼ初ピンチョンに近い。 1960年代が過ぎたLA。しがない探偵ドックは昔の恋人から頼みごとをされて・・・。 女に目のないドックは肝心なところでトリップして気を失っ…
またまた備忘録。『サブウェイ123激突』 2009年。なんとなくCSザッピングして、デンゼル・ワシントンは好きな俳優なので観始めたらなかなか面白かったに指名されてしまうという話。ニューヨークで地下鉄ジャックが発生、地下鉄司令部の一介の職員である主人…
引き続き備忘録。『ナイル殺人事件』 イマジカBSのアカデミー賞特集で放映。1978年の衣装デザイン賞。莫大な遺産を相続しエジプトに新婚旅行に出かけたりネットが豪華客船の中で殺害される。有名なポアロもの。話の早々で犯人が分かってしまった(あるいは筋…
例によって備忘録(観た時期はバラバラ)。『ザ・フライ』 1986年の作品。もうそんなに経つのかあ。物質転送装置を発明した科学者の悲劇。観るのは3回目ぐらいかな。あらためて観ると理知的に構築された人物配置、肉体や五感を人工的に解析したような表現、雑…
引き続いて観ているキューブリック特集。 時代順に放送されているが、この辺りになると自分の感じるキューブリックらしさがはっきり出ている。それは美意識に裏打ちされた空間描写、人間の根底に潜むエゴイズムや冷酷さを余すところなくクールな視点といった…
初ペレ―ヴィン。 宇宙飛行士への憧れを抱くソ連の少年が月の裏を目指す。ソ連の宇宙開発の歴史が戯画化され寓話的に描かれた作品。冷戦時代の宇宙開発競争のため、駒のように命を粗末に扱われる飛行士らのエピソードが哀れにも可笑しくも感じられ(しょぼい月…
用事があって大阪に行った。観光するほどの時間はなかったので、本好きの方から秘密情報を得て古本屋回りをすることに。大阪の古本屋は初めて。 早速収穫の方から これを出先から持って帰るんだから、我ながら酔狂者だ(苦笑)。いやー予定外なんだけど。でも…
『清須会議』 三谷幸喜監督。2013年作。織田信長が暗殺され、その後継を決めることになった安土桃山時代の大きな節目となった会議を扱っている。戦国時代なのに戦闘というよりは個性的な人物たちの入り組んだ駆け引きの話としてユーモラスに描くというのは(…
映画も観た。原作の主要キャラクターの面白いところや下ネタなどちょっとエグみのあるネタを中心に商業映画としてOKな程度にソフィスティケートして分かりやすく組み直したといったところか。 (以下内容に触れますので映画未見・原作未読の方は御注意を) …
今のところ全部観ているキューブリック特集。続き。 (一部内容に触れているので未見の方は御注意)『非情の罠』 1955年の作品。商業映画としてはこちらがデビュー作とのこと。キャリアの晩年にさしかかったボクサーがマフィアの情婦を救ったことから起こる…
30年も前に存在していた文庫のまさかの解説本『サンリオSF文庫総解説』が登場して驚かされたが、それからほどなくして飛び込んできたのがこのモルデカイシリーズの刊行のニュースだった(ジョニー・デップの映画化の話はその一年前に知っていた。ちなみにtwi…
言わずと知れた名作中の名作で当ブログ主の好物であるSFにも多大なる影響を及ぼした作品。 現在NHKラジオで解説番組をやっている。 で、これが興味深い内容だったので(このカルチャーラジオのシリーズはポーや怪奇幻想ミステリーとか扱っていてハマる率が高…
渋谷UPLINKは昨年末に観逃した作品のアンコール上映をやっていて気になった映画館だったが、今回利用してみた。 小さいハコで椅子も持ち運べる簡易式のもので少々驚いたが(上記2本とも同じ場所だったがROOMというのかな。Xはどうなんだろう)、まあ上記2本…
謎の領域<エリアX>を監視機構<サザーン・リーチ>が調査するという<サザン・リーチ>三部作の2作目。 1作目『全滅領域』では<エリアX>の謎を解き明かそうとする調査隊の姿が描かれていたが、今回はそれを送りだした監視機構<サザン・リーチ>の話。 …
例によって備忘録 (多少ネタばれもあるのでご注意) 『インモータルズ 神々の戦い』 ギリシア神話をベースにした2011年の作品。映像や衣装は美意識が感じられなかなか良かった。石岡瑛子なので兜が蟹のハサミだったり和風的センスもあるのね。まあ一瞬ハイ…
イマジカBSを観るようになったが、総力特集「キューブリック全部。」で長編全13作をやるようだ。未見の作品を中心に出来るだけ多く観ようかなあと思っている。『スパルタカス[復元版]』 1960年の作品。ローマ時代の剣闘士ということで背景の時代は違えど「…
話題の『ベイマックス』観てきた。 (以下内容に触れますので未見の方はご注意ください) (いつも飄々としていてでも鋭い指摘のある)中野貴雄監督のツイートで https://twitter.com/galshocker/status/540406802559426560 とあったので、ある程度事前に日…
TVに観た映画の感想のまとめ(例によって備忘録で、一部内容に触れているのでご注意)『ロボット』 2010年のインド映画。インド映画は久々だが、恋あり笑いありダンスありの娯楽性でたっぷり長時間に美女とむっちりしたおっさん主人公といった印象があり、ま…