著者の代表作とされている。遠未来と思しき宗教的な宇宙世界を舞台にヒエロニムス・ボス(本文中ではボッス)の「快楽の園」をコアイメージにした<ボッス星>の謎を追う幻想的なSF。錬金術、シュルレアリスムの題材がふんだんに盛り込まれ、SF的なアイディアを結びつけるという作品でそのユニークなアプローチと豊かなイマジネーションの世界は40年ほど経った今でも古びることなのない魅力にあふれている。特に印象的なイメージが次々登場する「自動人形」、クライマックスにふさわしい異形の世界を表現した「快楽の園」の章がよかった。