異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2015-01-01から1年間の記事一覧

『ロジ・コミックス:ラッセルとめぐる論理哲学入門』

『ロジ・コミックス:ラッセルとめぐる論理哲学入門』 アポストロス・ドクシアディス/クリストス・パパディミトリウ アレスコス・パパダトス=作画 アニー・ディドンナ=彩色 松本剛史=訳 高村夏輝=監修‛20世紀を代表する哲学者にして、数学者・論理学者…

『幽霊海賊』(ナイトランド叢書) ウィリアム・ホープ・ホジスン

美しいイラストに装丁と良質なホラー短篇小説を提供してくれる雑誌<ナイトランド>がアトリエサードから<ナイトランド・クォータリー>としてめでたく復活、さらには前回惜しくも刊行にいたらなかった≪ナイトランド叢書≫も復活となり喜んでいたのだが、実…

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム』『インサイド・ヘッド』

いわゆるファミリー向け映画を2本観た感想。『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム』(Shaun the Sheep Movie) NHKEテレで放送されているクレイアニメーション。牧場に住むちょっといたずら好きな羊のショーンが巻き起こすいろいろな騒動が描かれる…

『エクソダス症候群』 宮内悠介

若手ではあるが直木賞にもノミネートされ日本SF大賞もとっていて、発表するたびに作品が話題になる日本のSF作家では注目を集める一人。話題になるのも当然で毎回題材にインパクトがある。今回は火星の精神病院が舞台。おお今度はそれできたか! すべての精神…

丸屋九兵衛トークライブ「Q-B-CONTINUED」vol.2に参加したぞ!

敬愛する丸屋九兵衛さん(プロフィールはこちら。キモオタ界最期の希望て(笑)の単独トークライブがこの「Q-B-CONTINUED」。よく御存知ない方はプロフィールをお読みになっても????となるだけだと思うが、なにしろ網羅する知識の範囲の幅広さそして視点…

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

大ヒット上映中!映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト 従来全くマッドマックスな人ではなかったのだが、えらく評判がいいので観てきた。 ああなるほどコレか!こういうことならオレも分かる。迷うことなく諸手を上げてリスペクトだ! 核戦争…

『ゼンデギ』 グレッグ・イーガン

第一部2012年不安定な政治状況のイラン、取材を行う新聞記者の主人公マーティン。一方そんなイランからアメリカに亡命しゲーム会社<ゼンデギ>に努める科学者ナシム。そして第二部2027年、イラン女性と結婚し男の子の父親となったマーティン。一方ナシムら…

TVで観た映画いろいろ(備忘録)『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』『日本一の断絶男』『サンダーボルト』『コールド マウンテン』『サンセット大通り』『ウェスタン』

『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』(2009年) オーソン・ウェルズの舞台に参加することになった少年の青春が軽やかな30年代のスウィング・ジャズにのせて描かれる。予備知識なく観始めたが、よかった。オーソン・ウェルズのワンマンぶりをクリスチャン・マッ…

TVで観たSF・ファンタジー映画いろいろ(備忘録)『アルゴ探検隊の大冒険』『SF巨大生物の島』『スター・トレック3 ミスター・スポックを探せ!』『スター・トレック ネメシス』『ダーク・シャドウ』

『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年) 特撮で有名な巨匠ハリー・ハウゼンの映画の名作。冒頭欠けたけど観た。さすが名作で骸骨剣士もいいけど、質感のあるタロスやハーピーやトリトンのシーンなどよかった。黄金の羊毛がわかりやすく羊だったところにちょっと…

映画『ジェイムズ・ブラウン 最高の魂を持つ男』

書くのを忘れてた。 映画『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』 子供時代と成長してからが短い時間で何度も入れ替わる切れ味のよい中盤が、規格外れの男を自身のビートにシンクロして描かれカッコよかったな。スローもいいJBだが、センチメンタルとは違…

「ポピュラー音楽の世紀 中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」展を観てきた

武蔵野美術大学で行われている「ポピュラー音楽の世紀 中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」展を観てきた。ポピュラー音楽の世紀 | 武蔵野美術大学 美術館mauml.musabi.ac.jp 以前のブログで書いたことがあるが、当ブログ主は中…

『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが・・・』フィリップ・ロス 『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン TV映画『ヒットラー』

ナチスのユダヤ人差別をテーマにした歴史改変ものを続けて読んでみた。 もしも第二次大戦時に元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら・・・。 7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・民族・国家を描く、ロス最高傑作とも評され…

『豊﨑由美アワー 第39回読んでいいとも!ガイブンの輪』( ゲスト西崎憲)に参加してきた

海外文学のトークショーとしてはすっかりお馴染みの‛よんとも’だが、参加するのははじめて(のはず)。今回は小説家・翻訳家で日本翻訳大賞の発起人ツイッターでもアクティヴに情報発信をされているお馴染み西崎憲さんがゲストで怪奇小説の話で西崎さんのオー…

映画『コングレス未来学会議』

映画『コングレス未来学会議』公式サイト 『泰平ヨンの未来学会議』の映画化作品。とはいえ原作自体も様々な思考実験が魅力で、しかもテーマが現実の不確実性ときているので、ストーリーやプロットがどうのこうのという作品ではない。そこで監督は大胆かつ大…

映画『海街diary』観た

鎌倉で生活するようになって8年ほどになる。生粋の地元民ではなく実は熱心に歩き回る方でもないのだが、そこはそれさすがに地域のあれこれが分かるようにはなった。鎌倉の生活の期間はまだ10年も経っていないのだが、川崎や横浜で育ったので神奈川県での生活…

『聖なる侵入 [新訳版] 』 フィリップ・K・ディック

<ヴァリス>三部作が現在どのように受け止められているかわからないが、1980年代ディックの評価が急速に高まり初めて刊行された時代はいち読者の印象としては「かなり難解」あるいは「わけがわかならい」というあたり。当ブログ主は「SFファンやディックフ…

<「ヴァルカンの鉄鎚」刊行/P・K・ディックSF長編全作翻訳記念トーク>@Cafe Live Wire に参加

さて久しぶりのCafe Live Wire。ディックネタでは以前新訳「ヴァリス」のトークショーもあり参加したが、今回は「ヴァルカンの鉄鎚」でディックの長編全作が翻訳された記念のトークショー。で、主役は何といっても山野浩一さん!競馬評論家としても知られる…

『さよなら神様』 麻耶雄嵩

いちおう子供向け叢書であるはずのミステリーランドから出た『神様ゲーム』だが、お構いなしのオチで読者の度肝を抜いてその曲者ぶりをいかんなく発揮した著者の同じ設定による続篇。2015年本格ミステリ・ベスト10の第1位を獲得するなど各種ミステリランクの…

『ヴァルカンの鉄鎚』 フィリップ・K・ディック

ある意味ディックのマイナー作品の代名詞として有名な作品である。つまりマイナー作品なのに有名という変なポジションを獲得した一作でもある。で、結局これが最後の未訳作品だった(一部雑誌で訳されたり、アマチュア出版で出たりはあったようだ)。 核戦争…

イマジカBSでTVドラマ『ブライズヘッドふたたび』観た

『スクープ』が刊行されたイーヴリン・ウォーは辛辣なユーモアが特徴の作家ということらしく、まだ一作も読んでいないのだが気になっている。ただ読むにあたって何らかの手掛かりが欲しいかなーと思っていたら、ウォー原作で評判のよいTVドラマがありイマジ…

『幻獣辞典』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス

ボルヘス凄いなあ、と思いつつも実はまだちょっとしか読んでいない。これも以前から興味があったのだが、ついつい後回しになってい早20年余(苦笑)。とうとう文庫になったので購入し読んでみた。 幻獣といっても一角獣や竜のようないわゆる獣らしいものだけ…

映画『スライ・ストーン』

スライがファンクやロックを変えた革新的で偉大なミュージシャンであることに全く異論はないのだが、素晴らしい楽曲は短い期間に集中しており、近年のスライにあまり興味は覚えない(Funkadelicがらみの曲は悪くないが)。が、映画『スライ・ストーン』何やら…

イマジカBSキューブリック特集『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』

もうすっかり終わっちゃってるけどさ(笑) (以下内容に触れているのにご注意)『シャイニング』(1980年) 公開当時劇場で観て以来、通してちゃんと観るのは2回目だと思う。当時はぼんやりと撮影の凝ったシーンが多いなあと思った程度だが、あらためて観る…

『泰平ヨンの未来学会議』 スタニスワフ・レム

さて待望の復刊が登場、買ったら思ったより薄かったので早速読んでみた。いやーやっぱり(期待通り)変な作品だった。(以下内容に触れます) 泰平ヨンはコスタリカで開かれる人口増加問題についての世界未来学会議に参加するが、テロが勃発。さらに混乱の真…

『ニューヨークの世紀末』 巽孝之

ニューヨークが描かれている小説やフィクションに興味がある。ニューヨークがテーマとなると、ともすると都会的・ソフィスティケイトといった方向に話題がいってしまうかもしれないが、もっと多様な面があるのではないかと思っている(例えば当ブログ主が好…

TVで観た映画(備忘録)『処女の生血』『チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜』『宇宙人ポール』『インクレディブル・ハルク』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』

例によっていろいろ備忘録。『処女の生血』(1974年)2か月前に観てtweetしてたが、メモするの忘れてた。製作にアンディ・ウォーホル名がある(ググった感じだとあまり関与はしていない様子)。処女の生血でないと吐いてしまう吸血鬼ウド・キアの怪演ぶりが…

現代詩手帖2015年5月号 [特集]SF×詩

詩には疎いブログ主であるが、なかなか面白そうな特集で作家の顔ぶれもいいので買ってみた。予想以上に興味深い内容だった。 (目次とは入れ替えて並べてあります。またあくまでも今号の一部)鼎談 増田まもる×水無田気流×河野聡子 世界観を変える力 翻訳さ…

CSで映画『アルゴ探検隊の大冒険』視聴。

1963年の作品。前からハリー・ハウゼンの映画は観なきゃなあと思っていたが、ずるずる後回しになっていた。そしたら今日休みでぼんやりTVをつけていたらやっていたので(冒頭10分ほど欠いたが)これ幸いと慌てて観始めた。 たしかにこれは名作。(以下内容に…

『エデン』 スタニスワフ・レム

今月はハヤカワ文庫から『泰平ヨンの未来学会議』が再刊され、国書刊行会から『短篇ベスト10』も出る。前者については映画も公開されるというちょっとしたレム祭りがやってくるので肩慣らしに積んでいた『エデン』を読んでみた。 (短めの感想ですがいつもな…

SFセミナー2015

今年も行って参りました。去年は結局レポートを書けなかったが、今回はちょっとまとめておこうかな。 まず昼の本会から。 1.東山彰良インタビュー(聞き手 大森望) 『ブラックライダー』のタイトルだけは知っていたが、台湾生まれの方で子供の頃に日本に定住…