『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』(2009年)
オーソン・ウェルズの舞台に参加することになった少年の青春が軽やかな30年代のスウィング・ジャズにのせて描かれる。予備知識なく観始めたが、よかった。オーソン・ウェルズのワンマンぶりをクリスチャン・マッケイが好演。こういった舞台ものは現実の世界と虚構の世界が重なって面白いのだが、厳しい影の面も描かれることが多い気がする。それだけ辛い目にあっている人がいるということかな。
『日本一の断絶男』(1969年)
断絶男って言葉がまずよく分からないんだよな(笑)若い頃の緑魔子、初めて観た。時代柄か任侠映画の部分が組み込まれてるのね。熊倉一雄や奥村チヨ二瓶正也も出てたりする。
『サンダーボルト』(1974年)
ややオフビート感のあるクライムもののロード・ムーヴィーで、雄大な自然と道路がいい感じ。70年代らしい映像の質感もうれしい。角川映画でお馴染みジョージ・ケネディもよかった。
『コールド マウンテン』(2003年)
南北戦争を背景にした人間ドラマで、ニコール・キッドマンにジュード・ロウにレネー・ゼルウィガーにナタリー・ポートマンにフィリップ・シーモア・ホフマンなどメジャーな俳優が沢山出てくるし、四季折々のロケが美しく脱走兵狩りなど陰惨な出来事も描写される立派な大作。賞もいろいろ取るほどで立派なんだが少々真面目過ぎて重たい印象もある。
『サンセット大通り』(1950年)
華やかなハリウッドの虚実を描いた古典的な映画というのは知っていたが、グロリア・スワンソンの鬼気迫る演技特にラストが凄い。検索してみると役は彼女本人を連想させるし(落ち目の女優で若づくりのためには何でもするが疎まれるなんていう役をよく引き受けたものだ)、本人役で出ているデミル監督のやり取りはじめかなりスキャンダラスな作品でもある。落ち目の女優の苦闘という意味では『コングレス未来学会議』(拙ブログ感想)とも共通する点があったりする。
『ウエスタン』(1968年)
西部劇に詳しくなくマカロニ・ウエスタンも初めて。ただ『ジャンゴ』『ローンレンジャー』を観てから西部劇も少し詳しくなりたいと思っている。この作品は今は評価が高いが公開当初はヒットしなかったらしく、たしかに独特の間があってゆったりしたところがあり人物の関係も多少わかりにくいが斬新で印象的なシーンが多く劇場で観たくなる。特に強烈な熱さと乾燥した空気の表現が素晴らしい。関係はないと思うが、クラウディア・カルディナーレが西部に来たばかりで男ばかりの汚い飲み屋みたいなところに入るシーンの閉塞した感じは『神々のたそがれ』をちょっと連想させた。
ところでダリオ・アルジェントがスタッフに加わってるんだなあ。