異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

大ヒット上映中!映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト

 従来全くマッドマックスな人ではなかったのだが、えらく評判がいいので観てきた。
 ああなるほどコレか!こういうことならオレも分かる。迷うことなく諸手を上げてリスペクトだ!

 核戦争で文明の後退した世界、イモータン・ジョーは数少ない資源を牛耳り独裁者として君臨している。しかし大隊長のフュリオサが妻5人を引き連れて逃亡を企てる。一方、元警官ながらトラウマと放浪の果てに倒れイモータン・ジョーの支配する砦に監禁されたマックスは、フュリオサを追う兵士たちの一人で輸血によって命を保っているニュークスの供血用「輸血袋」として車にくくりつけられ大追走に巻き込まれる。

 乗り物や兵器に興味がないので評判の良い「マッドマックス2」もTV視聴ではピンとこず(饐えた70年代臭漂う第1作の方がむしろ好き)、総じてポストアポカリス・アクションものやいわゆるヒャッハーな感じのものは同世代で好きな奴はかなり多いものの自分としては縁遠いものだと感じていた。しかし冒頭からハイテンションでトップスピードでぶっ飛ばす展開に圧倒され、なんといっても一際異様なギタリスト装甲車!
Mad Max Fury Road Guitar Guy (Full Scenes) Good ...

 腹を抱えて笑った!なるほどコレはメタルの世界観なんだと納得。80年代音楽育ちの当ブログ主にとって、それこそ中2時代にいきなり目の前に現れたへヴィメタルの衝撃を追体験させてくれるものだった!特にこの過剰かつ無駄なエネルギーが解き放たれいき過ぎのためについつい笑いを誘ってしまうもので印象として一番近かったのはRaven+UDOによるBorn to be wildのカヴァーバージョン。
Raven with U.D.O. "Born To Be Wild" (Steppenwolf ...

コレだと気づいたらあとは一気呵成。好きな女優であるシャーリーズ・セロンも大活躍でまさしくオレ得な作品であった。ありがとうマックス!ありがとうフュリオサ!そしてありがとうジョージ・ミラー!

 とまあそういうわけな映画で、長年追ってきたジャンルではなく他作品とのつながりも把握できていないのでその辺りについてはもっと書くのに適任の方がいると思うが少々雑感めいたものを。個人的には頭のイカれた装甲車のみならず小道具・衣装その他もろもろ一貫した美術センスが感じられ、さらにはそれらがアクションと一体化しているところがなにより凄いと思った。どう考えても無駄としか思えない高跳びの棒のようなものにつかまりながらの攻撃など辻褄の合わないことは多々あるのだが、それらも(特に一つの映像的な動きの中で)<マッドマックス世界>としてむしろ必然性すら感じられるのだ。これは製作においてスタッフに<マッドマックス世界>のイメージが細部に至るまで共有されているおかげではないかと思う。第1作公開から36年、「マッドマックス」が浸透し影響を受けしっかりそれを骨肉のものとした世代が監督と共同して作り上げた一つの成果ではないかと想像する(勝手に)。


 さてついでのCSで以前録画した第3作『マッドマックス サンダードーム』も観た。これは(ファミリー向けなどいろんな理由はあるかもしれないが)変にSFとしての理屈合わせようとする側面が悪い方に出てしまったパターンのように思われた。緑や水にあふれた世界に安住することもできるシチュエーションはあまりこのシリーズにはそぐわないだろう。やたらとテイストの違う見せ場(緑の多い世界、機関車、未来都市のイメージや失われた文明の道具)が未整理に並び、製作にあたり登場した意見の調整がなされなかったのではないかと勘ぐってしまう。ティナ・ターナーが叫ぶ時には迫力を感じたが(笑)