異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

『ロジ・コミックス:ラッセルとめぐる論理哲学入門』

ロジ・コミックス: ラッセルとめぐる論理哲学入門 (単行本)

『ロジ・コミックス:ラッセルとめぐる論理哲学入門』
アポストロス・ドクシアディス/クリストス・パパディミトリウ
アレスコス・パパダトス=作画
アニー・ディドンナ=彩色
松本剛史=訳
高村夏輝=監修

‛20世紀を代表する哲学者にして、数学者・論理学者でもあるバートランド・ラッセル。彼が自身の半生を振り返りながら、真理探究への飽くなき情熱を語り始める―。「混乱した世界を救えるのは科学だ」と信じ、数学のための論理的基礎を築くという目標に取りつかれた若き日々。フレーゲヒルベルトゲーデルといった個性的な思想家たちとの親交、師ホワイトヘッドとの妥協なき共同執筆、エキセントリックな天才弟子ウィトゲンシュタインとの相克。世界大戦へと向かう激動の時代、偉大な天才思索者たちは真理の探究のため、狂気のぎりぎりまで、果てしない情熱をそそいでいく。波乱に満ちた群像ドラマを追いながら、現代哲学・論理学の分かりやすい入門書として読むこともできる。洗練されたデザインも美しいオールカラーのグラフィック・ノベル。世界的ベストセラー、待望の邦訳。‛ amazonの紹介より。

 哲学関係の話はそれなりに興味があるのだが、言葉がやっぱり難しかったりどこから手をつけてよいかわからなかったりで結局手つかずになっている。ある程度知識があるとフィクションにしてもノンフィクションにしても頭の中で整理ができそうな気はするのだが。
 鎌倉のたらば書房に立ち寄ったら置いてあったのがこの本。小さい書店ながら海外文学やかなりシブい人文関係の本の棚があるユニークなところで時々利用しているが、こんな本まである。おそるべし。というわけでほぼジャケ買い(笑)
 内容は1939年9月イギリスがドイツに宣戦布告し世界が第二次大戦に突入しようとする時、反ナチスの立場をとるバートランド・ラッセルがアメリカの大学で行う講義が舞台背景になり、ラッセルの個人史や思想の基盤が語られていく。さらには(自己言及のパラドックスで知られるラッセルということをふまえてか)このコミックの製作過程も並行して描かれるというメタフィクショナルな構造をとっている。ラッセルやヴィトゲンシュタインの名をぼんやり知る程度の当ブログ主には、多くの哲学関連の人物の考え方の特徴や関係さらにはコンピュータの開発への影響などがコミックの親しみやすさで分かりやすく紹介されており、必ずしも史実に忠実というわけではないようだが(また精神異常と思索について多少図式化されていることは割り引いていも)大変興味深い内容だった。
 まあ多々難しいところはあったけどね。あまり一般的とはいえないこうした翻訳本を出版してくれた方々に感謝。こういうのが出てくるから海外コミックも見逃せないんだよなあ。