異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

読書(海外文学)

『ポー詩集』ポー

NHKカルチャーラジオ文学の世界でボブ・ディランの歌詞がテーマになった。本格的に解説したものを聞いたり読んだりするのは初めてで大変面白かった。ブルースとの関係や過去の詩人の影響などもよく分かりポピュラー音楽での歌詞の進化という視点でいろいろ知…

『歩道橋の魔術師』呉明益 『流』東山彰良

去る8月19日丸善&ジュンク堂渋谷店で行われた<豊崎由美さんの読んでいいとも!ガイブンの輪>第40回に参加した。今回はアジア文学特集ということでブログ主はまだあまり読んでいないジャンルの貴重なお話をうかがうことができた。中でも2012年に旅行をした…

『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが・・・』フィリップ・ロス 『ユダヤ警官同盟』マイケル・シェイボン TV映画『ヒットラー』

ナチスのユダヤ人差別をテーマにした歴史改変ものを続けて読んでみた。 もしも第二次大戦時に元飛行士で反ユダヤ主義者リンドバーグが大統領になっていたら・・・。 7歳の少年の目線で差別にさらされる恐怖と家族・民族・国家を描く、ロス最高傑作とも評され…

『幻獣辞典』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス

ボルヘス凄いなあ、と思いつつも実はまだちょっとしか読んでいない。これも以前から興味があったのだが、ついつい後回しになってい早20年余(苦笑)。とうとう文庫になったので購入し読んでみた。 幻獣といっても一角獣や竜のようないわゆる獣らしいものだけ…

『ニューヨークの世紀末』 巽孝之

ニューヨークが描かれている小説やフィクションに興味がある。ニューヨークがテーマとなると、ともすると都会的・ソフィスティケイトといった方向に話題がいってしまうかもしれないが、もっと多様な面があるのではないかと思っている(例えば当ブログ主が好…

『LAヴァイス』 トマス・ピンチョン

サンリオ文庫版『競売ナンバー49の叫び』を読んでいまいちピンと来なかった当ブログ主はほぼ初ピンチョンに近い。 1960年代が過ぎたLA。しがない探偵ドックは昔の恋人から頼みごとをされて・・・。 女に目のないドックは肝心なところでトリップして気を失っ…

『宇宙飛行士 オモン・ラー』ヴィクトル・ペレーヴィン

初ペレ―ヴィン。 宇宙飛行士への憧れを抱くソ連の少年が月の裏を目指す。ソ連の宇宙開発の歴史が戯画化され寓話的に描かれた作品。冷戦時代の宇宙開発競争のため、駒のように命を粗末に扱われる飛行士らのエピソードが哀れにも可笑しくも感じられ(しょぼい月…

『ガリバー旅行記』 ジョナサン・スウィフト

言わずと知れた名作中の名作で当ブログ主の好物であるSFにも多大なる影響を及ぼした作品。 現在NHKラジオで解説番組をやっている。 で、これが興味深い内容だったので(このカルチャーラジオのシリーズはポーや怪奇幻想ミステリーとか扱っていてハマる率が高…

『売女の人殺し』 ロベルト・ボラーニョ

久々のバーチャル世界旅行(まだ一応あきらめてないシリーズ(笑) チリ生まれでクーデターに遭遇するなどメキシコやヨーロッパを放浪した作家。今回初読。特に面白かったものに○。 「目玉のシルバ」○ 中南米からヨーロッパを転々とする主人公は同じく転々と…

『罪と罰』 ドストエフスキー

たまには文学の古典を読もうのコーナー。 「鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその…

SFファン交流会゛徹底解剖! サンリオSF文庫”に参加してきた

毎月行われているSFファンの集まりSFファン交流会。プロの方々や様々な読書好きの方々が中身の濃いお話をフランクにたっぷりしていただける楽しい場で、時々参加させていただいている(若い方も結構多い)。今回は『サンリオSF文庫総解説』(以下『総解説』)が…

『残念な日々』 ディミトリ・フェルフルスト

ベルギーの作家による自伝的連作短篇集。 母親はとうに家を飛び出し、祖母と飲んだくれてばかりいる父親と右に同じく叔父たちに囲まれ暮らす少年の「残念な日々」のお話。 それぞれ単独の短篇として成立してはいるが基本的には一つの長篇と言えるだろう。(以…

『悪魔の涎・追い求める男』コルタサル短篇集

名前は前から知っていたが、読むのは初めて。特に面白かったものに○「続いている公園」切れ味の鋭いショートショート。 「パリにいる若い女性に宛てた手紙」○ 本当は君のアパートに越したくなかったんだ、という私信から始まる驚愕の兎小説。金井美恵子の「…

『外套・鼻』 ゴーゴリ

外套・鼻 (岩波文庫)作者: ゴーゴリ,平井肇出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/02/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (69件) を見る読書する余裕と意欲をどちらも欠いているので、短い古典を読んだ。「外套」 真面目だけが…

『人形の家』 イプセン

人形の家 (岩波文庫)作者: イプセン,原千代海出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1996/05/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (32件) を見る 名作として知られる戯曲。1879年の作品のなのね。 病気の夫に内緒でよその男から金を工…

『夢宮殿』 イスマエル・カダレ

夢宮殿 (創元ライブラリ)作者: イスマイル・カダレ,村上光彦出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/02/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (15件) を見る「そこには、選別室、解釈室、筆生室、監禁室、文書保存所等が扉を閉ざ…

『バベットの晩餐会』 イサク・ディーネセン

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)作者: イサクディーネセン,Isak Dienesen,桝田啓介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1992/02メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 30回この商品を含むブログ (21件) を見る「女中バベットは富くじで当てた1万フランをはたいて、…

<ビートニク映画祭>三回目は山形浩生トークショー

さて非常に楽しかったビートニク映画祭東京では本日で終了。 当ブログ主は昨日2回目の『キング・オブ・ザ・ビート』観て山形浩生氏のトークショー聞いて来た(お相手は金子遊氏)。まず映画をもう一度観た感想としてはケルアックの人生はなかなかに苦渋に満ち…

<ビートニク映画祭>再び

平日は仕事の一般人なので、3/23も行って3本(「キング・オブ・ザ・ビート」は昨日観たので4引く1)。 「スウィンギング・ロンドン 1&2」 なんと残念、この回は手違いで2の方は字幕なしがかかってしまったorz。こういうインタビュー系のものはニュース読みみ…

<ビートニク映画祭>行ってきた

<ビートニク映画祭>行ってきた。 当ブログ主は映画祭などへは小規模なものでも全く行ったことはなく、今回初めて。ビートニクにちょうど興味が出たこと、柳下毅一郎氏に山形浩生氏のトークショーがあること、ディランの「ノー・ディレクション・ホーム」「…

『裸のランチ』 ウィリアム・バロウズ

裸のランチ (河出文庫)作者: ウィリアム・バロウズ,鮎川信夫出版社/メーカー: 河出書房発売日: 2003/08/07メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 42回この商品を含むブログ (61件) を見る「一九五〇年代に始まる文学運動は、ビート・ジェネレーションを生み出し…

『アルゴールの城にて』 ジュリアン・グラック

アルゴールの城にて (岩波文庫)作者: ジュリアン・グラック,安藤元雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログを見る「20世紀フランス文学において特異な存在感を誇るジュリアン・グラック(1910‐2007)のデビュー作。…

『カリブ海偽典』 パトリック・シャモワゾー

カリブ海偽典 (最期の身ぶりによる聖書的物語)作者: パトリック・シャモワゾー,塚本昌則出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2010/12/24メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (8件) を見るさてボリューム十分読みでのある本作を読むのに時…

『月光浴』ハイチ短篇集

さてバーチャル世界旅行の方はドミニカの隣、イスパニューラ島を東西に分けあってる西側の方であるハイチに移動。今回は小説の方もハイチがテーマのアンソロジー。「ほら、ライオンを見てごらん」エミール・オリヴィエ 祖国の混乱から放浪生活を余儀なくされ…

『こうしてお前は彼女にフラれる』 ジュノ・ディアス

新しいブログになるに当たって、新たな企画をやってみることにします。題して「読書でバーチャル世界旅行」。ある国や地域に関連した小説を読んで、そこにちなんだ音楽・スポーツ(まあまずは野球とサッカーが多くなるだろうなあ)についてのことにも触れると…