- 作者: パトリック・シャモワゾー,塚本昌則
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/12/24
- メディア: 単行本
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フランスの海外県にあたるマルティニークの作家の長篇。
主人公バルタザール・ボデュール=ジュール氏は世界各地の植民地独立運動で長年活躍した兵士であるが、現在は死の淵にある。そして語り手である<私>はその彼が「身ぶり」により伝える生涯の記録を行うことになる。
九百頁となかなかの大部で様々な事物と共に語られるのは抑圧された植民地の歴史であろう。基本的には主人公やその幼少時からの庇護者及び主人公に取り憑く女悪魔らの比較的少ない主要登場人物の運命が描かれるというのが話の骨子だが、題材は非常に多岐にわたり、エピソードはカリブ海のみならず世界各地に及ぶだけではなく、主人公は透明人間になるは蛙にななるは、男装の共産主義者の妹はゾンビと子どもが出来ていしまうわ、織物になったり怪物になったりする人物がいるわで、まさに奇想天外。しかし鬼面人を威すような筆致ではなく、むしろ寄せては返す波のようにゆったりとした心地よいリズムが保たれている。
解説にもあるが、この「身ぶり」による語りというのは、言語的に伝達し得ない歴史の手触りのようなものをも伝えていこうということなのだろう。豊かな想像力と表現で世界そのものを描くという大きな力を持つ傑作。
さて本作にはカリブ海の音楽がいろいろ出てくるのだが、マルティニークはビギンやズークや格闘技と共に行うダミエなどがあるが、ベレール(bel air)という音楽もあるようだ。ダミエは結構作品によく登場して
Ladja/Damier, Martinique.wmv - YouTube
こんな感じのようだ。
一方、ビギンは40周年を迎えたというグループのマラヴォワが有名
Malavoi - La Filo - YourZoukTv - clip officiel ...
リズミカルなんだけどストリングスの柔らかな持ち味が特徴かな。
こんな動画もあったビギンから途中で
Biguine and Bel Air, Caribbean dance Birmingham ...ベレールになるというもの。ベレールってよく分からなかったんだけど、これを信じるとリズムの激しいタイプの音楽なのかなー。
スポーツについてはさほどひっかかって来ない。まあ小さいところだからなあ。サッカーはFIFAには所属していないがカリビアンカップの3位に入ったことがあるらしい(どのくらいのことなのかよく分からんけど)。