異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2022年3月に読んだ本と100分で名著ポー・スペシャル

◆『ニュー・ゴシック―ポーの末裔たち』鈴木晶・森田義信編訳
  1992年刊行の日本で編訳された本。「偉大なアメリカ小説(グレート・アメリカン・ノヴェル」の伝統から長編を中心としてきたアメリカ文学の歴史が、1960年代以降変質して短編小説が大きな潮流となった。描かれるものも日常的なものが多くなり、そのなかでリアリズムからはみ出すものも出てきた。というような流れで、編訳の鈴木晶氏がそういった「現実のなかの隠された部分」を「ニュー・ゴシック」と名づけ、アンソロジーとして成立させたという経緯のようだ。ちなみにこれは新潮社から出ているが、同じ年に福武書店から出た『幻想展覧会-ニュー・ゴシック』1・2はパトリック・マグラアら編集の本を翻訳したもののようだ。1992年は小ニュー・ゴシックブームだったのね。
「他者たち」ジョイス・キャロル・オーツ
 短い作品で、相変わらず導入が巧みでストンと落とす。やはり上手いね。
「監禁」パトリック・マグラア
 ベンサムが死後遺言に従い本当に剥製にされた話が出ていたが、検索したら事実らしくて驚いた。作品の方は、語り手の独白により歪んだ世界へと導いていくというマグラアらしい味わい。
「懐かしき我が家」ジーン・リース
 カリブ海と恐怖の結びついたリースもまた気になる作家で、これも小品ながら独特の空気感をたたえている。
「人類退化」T・コラゲッサン・ボイル
 退化を比較的ストレートに扱った作品だが、現代作品にも関わらず、先祖返りしたような怪奇色風味でしあげられてい。
「敵」アイザック・B・シンガー
 再会した旧知の人物から、船旅の時に自分だけに嫌がらせをしてきたウェイターの話を聞く。短いシュールな怪奇譚の背景にユダヤ文化の神秘志向や差別から逃れる生活が見られる。
「暗殺者の夜」ロバート・クーヴァー
 戯画的な要素があるのはわかるが、どうもゴシックそのものを把握できていないせいか、ポイントがつかめなかった。
「北へ」メイヴィス・ギャラント
 デラシネ(déraciné:根なし草)の人々を描く事が多い作家と解説にある。汽車内に偶然隣り合わせた男と母子のやり取りが描かれるなかで、そうした作者の感性がみえる。
「牢窓」ルイス・スタントン・オーキンクロウス
 博物館の展示物が毀損される怪現象を解くうちにアメリカの昏い歴史が浮き上がる。ニューヨークの上流社会の風俗、特にその衰退を郷愁をこめて描くと解説に書かれていてそうした資質が本作にも現れている。
「幽霊と人、水と土」チャールズ・ウィリアム・ゴイエン
 亡くなった夫の夢を見る女性の話。怪奇譚だが、境界域の現代文学といった風味がある。
「熱病」ジョン・エドガー・ワイドマン
 1793年フィラデルフィアでの黄熱病流行を材に取った作品との事だが、作者は黒人作家で、疫病による社会の混乱に奴隷制での黒人の苦悩が渾然一体となった様相が表現された傑作である。
「ブラック・ハウス」パトリシア・ハイスミス
 酒場で男たちが口々に語るブラック・ハウスの思い出。興味を抱いた若者が調べてみようとするが。ニューロティックで心がザワザワするような味わい。名高い作家だが数篇くらいしか読んでなくて、短篇集読まないとなあ。
◆『あいつらにはジャズって呼ばせておけ ジーン・リース短篇集』
 ”惑星と口笛ブックス”の本

p-and-w.sakura.ne.jp
 1890年ドミニカ国生まれ、"クレオール(植民地育ちの白人)"の作家ということで、昔のカリブ海に興味がある身としては以前から気になっていた一冊。
「心霊信奉者」怪奇、ホラーというよりは男女差を巧みに切り取った(キツめ)のジョーク小説といった趣。
「フランスの刑務所にて」囚人の面会者や看守の様子が描かれるスケッチのような作品だが、世の中の中心からはみ出してしまった人々の苦痛や不安が感じ取れる。
マヌカン」モデルたちの舞台裏というか生活スケッチみたいな感じ。筆は生き生きとしていて本人の体験のようなものが見えてくる印象がある。
「飢え」作者は起伏の激しい人生で困窮期も多く、飢えに関する体験もあっただろうと思うが、あまりにもなオチには笑った。
「アリヴェ通りにて」運命に翻弄されてきた女性の内面がこれまたスケッチ的に描かれるが揺れ動く様がなんともよく出ている。
「母であることを学ぶ」現代でいう産後鬱的な状況が表現されているのはなかなか斬新なのでは。
「灰色の日」詩人のシリアスな独白と現実の落差みたいなものにどことなくやるせないユーモアがみえる。
「シディ」これも刑務所のスケッチだが、囚人の生活そのものに焦点があたる。コーランの流れている場面など印象に残る。
「金色荘にて」これは裕福な家のスケッチ。これも体験が元になっているようだが、1920年代でも画家を抱えていたというのは本当なのかな。
「ではまた九月に、ペトロネラ」とりとめのない展開で男女の交流が描かれる作品だが、(作品の設定である)1910年代の人々の意識・偏見、生活スタイル、物言いなどがみえてなかなか面白い。
「あの人たちが本を焼いた日」ドミニカ国を舞台に周囲と馴染めない子ども同士の交感がなんとも切ない傑作。植民地生まれの白人である作者の幼少時代が反映されているのではないかと思われる。
「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」書かれた当時のロンドンの困窮した生活と思いがみえる作品。解説を読むと、音楽あるいは文化史上のジャズという言葉の複雑なニュアンスが反映されていることがわかり興味深い。タイトル的には(植民地育ちではない)'普通の"白人がいうところの<ジャズ>に対する、やや醒めた感覚が感じられるがどうだろう。
「虎のほうが見た目はまし」こちらもロンドン、これまた解説にあるように移民差別が背景にある作品。これも「あいつら…」と同じように当時の人々の思いや考えが生のまま残されているところが面白い。一方でこの作品では<スウィング>という言葉へのこだわりが強く感じられ、「あいつら…」での<ジャズ>との違いが興味深く思える。
「機械の外側で」こちらはパリの病院が舞台。やはり絶望や困窮に迫られた1日の姿が描かれるが、ほんのわずかいたわりの心が現れるのが救い。
ロータス」またロンドン。娼婦だったと噂される、小説を書いているアルコール依存の女性と隣人のやり取りが描かれる。これまたなんとも重いものが心に残る。そして度々作中に音楽が登場し、あまり直接に音楽への愛着は語られないが、作者の中で大きな要素であったことがうかがえる。
「堅固な家」ロンドン空襲が舞台だが、どんな時でもさほど変わらない人々のやり取りに作者の透徹した視野をみることができる。解説にあるようにタイトルの皮肉、また作中人物の扱いの斬新さとか才気を感じさせる作品。
「よそ者を探る」舞台は戦後、なのかな?この作品でも物を書く、世間とうまくやっていけない作者本人を連想させてしまう女性が登場する。作中作のなかに描かれる鬱屈した論理にはどうもわかりにくい面がどうしても否めない。ただ、一方そんな人物を客観視しているようで突き放した冷静な面も見えたりする。
「タン・ペルディ」3部構成でイングランド、ウィーン、カリブ海が舞台。ウィーンで日本人の事が面白おかしく書かれているのが面映い感じもあるが、当時の海外に出る階層の日本人の様子がフラットに描かれている点で大変興味深くもある。カリブ海のパートは"クレオール"と現地の人達の関係といった点でまた知ることが出来る。
 解説にも指摘があるように、登場人物には女性嫌悪的な発言がところどころにみられる。ただそこには構造的な抑圧で生じた歪みに対しての嫌悪感といった要素がある。なので「人間嫌いなのではないか」という解説での指摘が当を得ているだろう。実はカリブ海ドミニカ国出身ということで、植民地時代の文化などが反映された作品がもっとあると期待していたが、それは「あの人たちが本を焼いた日」と「タン・ペルディ」の一部で少なめであった。ただまあ(よく考えると意外でもないのだが)実際には作者は各所に移動していった人で当然ながらいろいろな土地が出てくる。むしろ<拠り所のない彷徨える魂>を描いているといえる作品群だ。その苛立ちにはややピンとこない部分もままあるが、突き放したようなある意味透徹した視線には変えがたいものがあり、印象に残る短篇集であった。解説も充実していてありがたい。
◆『光の王』ロジャー・ゼラズニイ
 長年の積読を経て、ゼラズニイの最高傑作ともされる作品を読了。場面場面に魅力的な部分はあったが、あらすじや解説を読んでも設定がどうしても頭に入ってこなかった。インド神話の知識が不足していることが原因が、正直なところよくわからない話だった。1967年刊行の作品らしく、カウンター・カルチャー的なセンスが感じられること、どうやら<加速主義>との関連の指摘もあることはメモしておこう。
◆『チャイルド44トム・ロブ・スミス
 今月読んだ中では一番の面白本。スターリン政権下のソ連で起きた連続殺人を追うミステリ。捜査のための手段が極端に制限された中で、体制側の必ずしも善とはいえない捜査官が様々な経緯から犯人探しに奔走する。全体を通じて実にエモーショナル、いわゆる「エモい」作品だ。中盤から後半にはアクションや冒険小説の要素も加わり、悪役のいやらしさも見事、熱く盛り上がる傑作だった。後半バディ物でもあるんだけど、ちょっとありそうでない組み合わせ(以下少しネタバレで色を変えます:夫婦がバディになるパターンは意外と珍しいのでは)だったり細部も巧い。翻訳の現代ミステリ超久々だが、出色の出来。
◇ナイトランド・クォータリーvol.28暗黒の世界、内なる異形
なんとエルリックもの2作!エルリック祭りじゃ!
〇フィクション
「メルミロ」ウォルター・デ・ラ・メア
 鳥の動きが妖精のダンスにむすびついていく静謐で美しい幻想詩。コアイメージはどこからきているのかなあ。
「漆黒の花弁」マイクル・ムアコック
 薬草を救いとしなければならないエルリックと王の救出に赴くチームが合流。いかにもこのシリーズらしいエルリックストームブリンガーのダークな魅力に、多彩な登場人物さらにモンスターまで登場する冒険ファンタジーの要素が加わって大満足。久しぶりのエルリックワールドを堪能した。Extra noteの情報も嬉しい。
「竜の心臓」ナンシー・A・コリンズ
 公式のシェアード・ワールドものらしい。シリーズ前半のスピンオフにあたる。エロティックな風味を加えているところが新鮮味があって、こちらも良かった。ナンシー・A・コリンズは短篇読んだくらいなんだけど、今度読んでみようかなあ。こちらのExtra note情報も嬉しい。書影の一つThe New Nature of the Ctastrophieは永遠の戦士もの、Jそれもerry Corneliusものを集めたアンソロジーで持っている。いちおう超遅読ではあるが、読み進めている(苦笑)。
「あのもう一人」ゲオルク・フォン・デア・ガーベレン
 1911年のドッペルゲンガー奇譚。ドッペルゲンガーものはそれなりに歴史があるのだなあ。
・「キーラ、インディアンの父無し娘」ユードラ・ウェルティ
 見世物小屋とマイノリティを扱った1940年の作品。今号は盛りだくさんだなあ。エルリック人狼に加え、こうした作品も載っている。どちらかというと一般文学寄りだろうか。戦前に現代にも通じる視点が光る。
「廃物たち」ティム・ワゴナー
 世の中から不要になったものを集める謎のものたちがいる。行き過ぎた効率化の進んだ社会への不安を反映したグロテスクユーモアの漂う好編。
「呪いの目」エラ・スクリムサワー
 1920年の女性オカルト探偵もの。たしかに最後は唐突で、バランスが悪かったりもするが、なかなか雰囲気はあり、執筆時代含め貴重な作品だ。
・隙間の心<精霊語彙集> 高原英理
 文学賞パーティを舞台に、都会の”隙間”をめぐる怪談。赤瀬川源平のアレと書くともう同世代にはネタバレかな(笑)。事物や社会に潜む狭間を巧みに切り取っていて好みの作品。後に解説がある『日々のきのこ』も面白そう。
・「赤鰯」壱岐津礼
 戊辰戦争の混乱を舞台に、遺体から物を奪う日々を送る二人組が出会う怪異が描かれる。虐げられた人々の現実が相も変らぬ世界の様相と重なるが、作者解説にもある「名刀ものの変形としての<なまくら刀>」のセンスが効果を上げている。
〇ノンフィクション
井辻朱美インタビュー
 さすがに著名な方だけに、翻訳作品の多彩さにまずはあらためて驚かされる。短歌の活動や経歴など興味深く、エルリックへの熱い思いには感動。
・疑似ダンピール奇譚 丸屋九兵衛
 いわゆる<傍流>にあたるものへの視点。ホラーにしてもSFにしても世界史にしても丸屋さんの見るところは変わらず、そこが示唆に富んでいる所以なのだなあと思う。
・「ナイトメア・アリーと「獣人」をめぐる解釈学 岡和田晃
 「ナイトメア・アリー」の名は耳に(目に)していたがトッド・ブラウニング「フリークス」の系譜だと知ると機会があれば観ないとなあ。チャールズ・G・フィニイトム・リーミイやキャサリン・ダンの名が挙げられていて一つの系譜を知ることができた。ただ『異形の愛』での<家族>の重さにはちょっとついていけないところが正直あったんだよな。
・<暗黒の世界>の浸食と顕現 岡和田晃
 異形のものをフィクションはどう描いてきたかがゲームまで幅広く言及されていて、疎い分野が多い上に新規ジャンルにもなかなか手が出ないくだびれたオサーンにはありがたい。
・虚実綯交ぜの闇の世界に蠢く者たち 深泰勉
 歴史上の人物をうまく取り込んだホラー系のドラマシリーズが紹介。ムムムどれも面白そうだぞう。特に「魔界探偵ゴーゴリ」気になるなあ。ヴィイゴーゴリの話は知らず、ちょっと掘ってみたくなる。
・<覚えておいて欲しいこと>第六回 井村君江
 幽霊と狼男についてそれぞれ書かれているが、キャリアから自然に紡ぎだされた文章になんとも滋味があり心地よい。
・<アンソロジーに花束を>第十回 ホラー年間傑作選の意外な歴史 安田均
 今回は各ジャンルの年間傑作選について。SF、ホラー、ファンタジー年間傑作選の歴史が俯瞰できる貴重な内容だ。、 
・現代魔術が目指すもの 軒端斎一
 アラン・ムーアも魔術師だし、現代の魔術師状況というのを知る上で大変興味深かった。
・あなたの隣にいる人狼の「闇」 浅尾典彦
・狼の駆ける世界を眺めて 深泰勉
 今号はノンフィクションについては人狼特集でもある。前者は歴史から始まり、主に映画での人狼の歩みが記される(大変充実した映画リストもある)。後者はより人文的観点から様々な文化においての人狼が開設されている。

 さて内容によって時々観ている100分de名著だが、今回は巽孝之先生によるエドガー・アラン・ポースペシャル!。いやこれはいいね。SFをはじめとする現代文学の潮流に対して造詣が深いポー研究者、これは見逃せない。ということで、全4回コンパクトに読みどころを提示してくれる期待通りの内容だった。
第1回「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」以前読んだときはなんだかやたらといろんなことが起こるが少し未整理にも感じた作品だが、ジャンルミックスの先駆と考えると納得できる。再読しないとなあ。
第2回「アッシャー家の崩壊」よく考えたら読んだのは随分前で、ラストくらいしか覚えてなかった(苦笑)。いろんなホラー系の作品に直接の影響を与えているのがよくわかる。映画の以前に先取りした表現をしていたというのが一番の驚き。
第3回「黒猫」これはシンプルなので筋は覚えていた、といいたいところだが、細部は忘れてた…。猫の模様のところとかほんとに怖い。魔女狩りや禁酒運動など社会の動きとの関わりの話も面白かった。
第4回「モルグ街の殺人」ミステリが都市に関する小説だというのはおぼろげには理解していたが、原型が観察小説「群衆のひと」なんだな。そこに事件の謎解きがくっつくことになった、実は探偵小説は偶然うまれたのかもしれないという巽先生の話が非常に示唆に富んでいた。
ポーは偉大な作家なのだが、さすがに150年以上前(そろそろ200年弱といってもおおげさでもなくなってきた)の作家なので、ある程度の補助線はあった方が良い。そういう意味で適切な補助線を引いてくれる素晴らしい企画だった。

丸屋さんトーク2-3月は【恒例! 旧正月アジアフェス2022】

旧暦主義者の丸屋九兵衛氏、2月が新年イベントとなる。

というわけで2-3月の【恒例! 旧正月アジアフェス2022】を例によって聴いた。

・【ASIAN MUSIC REVIEW】旧正月音楽祭! 越境アジア系R&Bとヒップホップの宴

 一向に現在のR&Bやヒップホップに明るくならない当ブログ主だが、ちょっとだけ最新チャートをチェックするようになり(とはいえTVKビルボード番組を時々観るくらいだが)、本イベントの「ザ・ウィークエンド以降」という切り口にも反応できるようになったのは進歩といえよう(<誰もほめてくれないので自分で高評価w)。このアジア系R&B/ヒップホップは以前から行われているが、丸屋氏のアジアン(ミュージック)シンジケート的なコネクションが感じられる面白さがポイント。いつか世界を牛耳る日がやってくることを期待して止まない。

・【Q-B-CONTINUED vol.69】めくるめくアジア映画の迷宮へ! 香港、韓国、タイ&MORE

 諸般の事情で、映画は音楽以上に縁遠くなってしまい…。時代もの、特撮もの、コメディといろいろあって楽しそうだ。現在の気分としては、旧正月映画の定番の明るい感じが一番観てみたいかも。世の中がパッとしないからね。(しかし、ああいうめでたしめでたし的な大団円はなるほどシェークスピアからなのか)

・【Q-B-CONTINUED vol.70】世界史スーパースター列伝:中華編パート2! 張良子房と後輩たち

 劉邦のブレイン張良冒頓単于匈奴と中国の関係(衛青や金日磾など)、宣帝

の話が面白かったね。中国歴史SFから中国史に興味も覚えてきたのでいろいろ読んでいければなあ(なかなか時間がないが)。

・【Q-B-CONTINUED vol.71】スーパーロボット大変! 機器人バトルはアジアの華! feat. いんちき番長

 アニメ・漫画には同世代の中では明るくないことは常々このブログでも言及してきたが、当然子供の頃ロボットアニメに親しんできたので、出てくる国内アニメのほとんど(とテコンV)の少なくともタイトルは聞いたことがある。しかしまあ意外といろんな敵味方のストーリーや設定があったのだなあ。様々な試行錯誤があってガンダム以降のアニメになっていったのね。それにしてもゲストいんちき番長の知識の豊富さと小さい時からの記憶が素晴らしいなあ。これぞ生きた知識といえるだろう。

・【Q-B-CONTINUED vol.72】我LOVE香港FOREVER! 愛しき混沌パワー都市の歩み]

 ロシアのウクライナ侵攻に暗澹たる気持ちになる昨今だが、一方中国から香港への弾圧もまた世界に影を落とす動きであった。そんな香港へのエールを送る企画。五棟のマンションに様々な文化背景や国からの4000人が暮らし(出入りする人々は120か国以上?)、アフリカからの携帯が大量に売られているという(個人的にはリアルサイバーパンクな世界を感じさせる)重慶大厦(チョンキンマンション)のことは知らなかったなー。

今年も森下一仁さんの「ベストSF2021」に参加。あと過去の投票結果も。

 今年も森下一仁さんのSFガイド「ベストSF2021」に参加しました。
nukunuku.michikusa.jp
 投票はこんな感じ。
『時の他に敵なし』マイクル・ビショップ 1.5点
『三体Ⅲ 死神永生〈上・下〉』 劉慈欣 1.5点
『人之彼岸【ひとのひがん】』郝景芳 0.667点
『移動迷宮』大恵 和実編訳 0.667点
『ポストコロナのSF 』日本SF作家クラブ編 0.667点

で、今回は過去の投票結果も振り返ってみることに。
投票方式をいちおう説明しておくと、各投票者が5点持っていて、5作品まで推薦可(1作でも可)。もちろん自由参加。
1996年から開始で、97年から参加していたんですね。体調が悪かったり、あんまり読めなかった時は不参加だったけど。
いやあ、やはりというか短編集ばかりですな(苦笑)
まあ自分の投票内容はともかくこのベスト、もう一つの歴史ですな。
2020年
『荒潮』陳楸帆 1.5点
『ライフ・アフター・ライフ』ケイト・アトキンソン 1点
『図書室の怪(四編の奇怪な物語)』マイケル・ドズワース・クック 1点
『砂漠が街に入りこんだ日』グカ・ハン 0.75点
『タイムラインの殺人者』アナリー・ニューイッツ 0.75点
全体の結果2020年
2019年
『息吹』テッド・チャン 2点
『方形の円』ギョルゲ・ササルマン 1点
『巨星』ピーター・ワッツ 1点
『なめらかな世界と、その敵』伴名練 0.5点
『黒き微睡みの囚人』ラヴィ・ティドハー 0.5点
全体の結果2019年
2018年
『飛ぶ孔雀』山尾悠子 2点
『竜のグリオールに絵を描いた男』ルーシャス・シェパード 1点
『半分世界』石川宗生 1点
『文字渦』円城塔 0.5点
『iPhuck10』ヴィクトール・ペレーヴィン 0.5点
全体の結果2018年
2017年
『隣接界』クリストファー・プリ―スト 1.5点
『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド 1.5点
『母の記憶に』ケン・リュウ 1.5点
『書架の探偵」ジーン・ウルフ 0.5点
全体の結果2017年
2016年
『エターナル・フレイム』グレッグ・イーガン 1点
『死の鳥』ハーラン・エリスン 1点
『宇宙探偵マグナス・リドルフ』ジャック・ヴァンス 1点
『ロデリック』ジョン・スラデック 1点
『ゴッド・ガン』バリントン・J・ベイリー 1点
全体の結果2016年
2015年
『クロックワーク・ロケット』 グレッグ・イーガン 1.5点
『紙の動物園』 ケン・リュウ 1点
『世界の誕生日』 アーシュラ・K・ル・グィン 1点
エクソダス症候群』 宮内悠介 1点
『ナイト』 ジーン・ウルフ 0.5点
全体の結果2015年
2014年
『ピース』ジーン・ウルフ 1点
『オマルー導きの星ー』ロラン・ジュヌフォール 1点
『新生』瀬名秀明 1点
『全滅領域』ジェフ・ヴァンダミア 1点
『リテラリ―ゴシック・イン・ジャパン』高原英理編 1点
全体の結果2014年
2013年
『皆勤の徒』酉島伝法 1点
ヨハネスブルグの天使たち』宮内悠介 1点
『夢幻諸島から』クリストファー・プリースト 1点
『言語都市』チャイナ・ミエヴィル 1点
アサイラム・ピース』アンナ・カヴァン 1点
全体の結果2013年
2012年
屍者の帝国』 伊藤計劃×円城塔 1点
『第六ポンプ』 パオロ・バチガルピ 1点
『青い脂』 ウラジミール・ソローキン 1点
全体の結果2012年
2011年
『ミステリウム』エリック・マコーマック 1点
『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス 1点
『11eleven』津原泰水 1点
『乱視読者のSF講義』若島正 1点
『ダールグレン』サミュエル・R・ディレイニー 1点
全体の結果2011年
2010年
『暗殺のハムレット(ファージングII)』 ジョー・ウォルトン 1点
『跳躍者の時空』 フリッツ・ライバー 1点
『NOVA3』 大森 望 編 1点(※これは瀬名秀明「希望」に対して)
『人生の奇跡』 J・G・バラード 1点
『ぼくらが夢見た未来都市』 五十嵐 太郎/磯 達雄 1点
全体の結果2010年
2009年
『バレエ・メカニック』津原泰水 2点
『あなたのための物語』 長谷敏司 1点
『壊れやすいもの』ニール・ゲイマン 1点
フロム・ヘル』 アラン・ムーアエディ・キャンベル 1点
全体の結果2009年
2008年
『限りなき夏』 クリストファー・プリースト 1点 
『夏の涯ての島』 イアン・R・マクラウド 1点
『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック 1点
20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル 1点
『ハーモニー』 伊藤計劃 1点
全体の結果2008年
2007年
『双生児』 クリストファー・プリースト 2点
虐殺器官伊藤 計劃 1点
『輝くもの天より堕ち』 ジェイムズ・ティプトリー・Jr 0.667点
『ゴーレム100』 アルフレッド・ベスター 0.667点
Self-Reference ENGINE』 円城 塔 0.667点
全体の結果2007年
2006年
『デス博士の島 その他の物語』ジーン・ウルフ 2点 
『ラギッド・ガール』飛浩隆 1.5点
『ベータ2のバラッド』若島正編 1点
『グラックの卵』浅倉久志編 0.5点
全体の結果2006年
2005年
ディアスポラグレッグ・イーガン 1点
『宇宙舟歌』R・A・ラファティ 1点
『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン 1点
『みんな行ってしまう』マイケル・マーシャル・スミス 0.5点
全体の結果2005年
2004年
『アジアの岸辺』トマス・M・ディッシュ 2.5点 
ケルベロス第五の首』ジーン・ウルフ 1点 
万物理論グレッグ・イーガン 0.5点 
『ふたりジャネット』テリー・ビッスン……0.5点
全体の結果2004年
2003年
『不思議のひと触れ』シオドア・スタージョン 1点
『海を失った男』シオドア・スタージョン 1点
『J・G・バラードの千年王国ユーザーズガイド』J・G・バラード 1点
『しあわせの理由』グレッグ・イーガン 1点
全体の結果2003年
2002年 不参加
全体の結果2002年
2001年
『ブラック・マシン・ミュージック-ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ野田努 1.5点
『コカイン・ナイト』J・G・バラード 1.5点
タクラマカンブルース・スターリング 1点
『ネバーウェア』ニール・ゲイマン 0.5点
『ゲーム・プレイヤー』イアン・M・バンクス 0.5点
全体の結果2001年
2000年 不参加
全体の結果2000年
1999年
『宇宙消失』グレッグ・イーガン 1.8点
順列都市グレッグ・イーガン 1.5点
『キリンヤガ』マイク・レズニック 0.7点
『クリスタルサイレンス』藤崎慎吾 0.5点
『星ぼしの荒野から』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 0.5点
全体の結果1999年
1998年
『ループ』鈴木光司 1点
ホーリー・ファイアー』ブルース・スターリング 1点
『スロー・リバー』ニコラ・グリフィス 1点
『ホログラム街の女』F・ポール・ウィルソン 0.5点
全体の結果1998年
1997年
『火星夜想曲イアン・マクドナルド 2点
花粉戦争ジェフ・ヌーン 1点
『グリンプス』ルイス・シャイナー 1点
『消えた少年たち』オースン・スコット・カード 1点
全体の結果1997年
1996年 不参加
全体の結果1996年

2022年2月に読んだ本

諸般の事情でまた低調気味。
まあ仕方ありませんな
◆『HHhH』ローラン・ビネ
 実際にあった、ナチス高官ハイドリヒ襲撃事件を題材にした小説。とはいえ通常の歴史小説とはやや趣が異なり、語り手が事件の取材を進めていく過程と実在の人物の歩みが重なるユニークな手法がとられている。つまり作者が、情報を欠く部分を安易に想像で埋めてよいのだろうか、といった創作論的な問いかけもあるメタフィクショナルな語りである。その分、時に滑らかに流れない事もあるが関連した人々の息づかいを伝えようという思いも感じられる、優れた作品だ。様々な表現の流れが集約するクライマックスは圧巻。また本文で、少し前に発表され同じくナチスをテーマにしたジャナサン・リテル『悲しみの女神たち』に対して厳しい指摘があるが、かえって読みたくなるね。
◆『移動迷宮』編訳 大恵和美
 中国の歴史SFを集めたアンソロジー。『時のきざはし』などで、どちらかというと歴史ものの方が面白かった身にはツボにくる企画の一冊。
孔子、泰山に登る」飛氘(フェイダオ)
 孔子が時空の深淵に遭遇する話。前半の弟子との会話と後半のSFパートのコントラストがちょっと面白い。
「南方に嘉蘇あり」馬伯庸(マーボーヨン)
 以前から一部で話題になっていた、中国偽コーヒー史SF。やはり面白かった。検索しやすいネタのところをちょっとだけ調べてみると、元の漢詩の一部を変えてたりする洒落のところもわかったりするのも、漢字文化圏読者の楽しみといえる。
「陥落の前に」程婧波(チャンジンホー)
 隋の時代の史実が背景にあるが、どちらかというと怪奇幻想風味でその辺りは現代との時間差を考えれば自然な表現といえるかもしれない。
「移動迷宮 The Maze Runner」飛氘(フェイダオ)
 タイトル作ながら実は短い小品。だが迷宮のイメージは壮大で、清と英国の関係が変わりつつある時代の哀感も備える味わい深い作品である。
「広寒生のあるいは短き一生」梁清散(リァンチンサン)
 先駆的な清代のSF作家を資料から追う、という「済南の大凧」(『時のきざはし』)の作者らしい歴史SF。気難しく孤高の人であったために、歴史に残らなかったという設定が心に残る。
「時の祝福」宝樹(バオシュー)
 歴史のやり直しがアイロニーをもって描かれるパートがメインたからタイムループもののバリエーションかな。苦い味わいがいいが、ちょっとわからないところもあって、ベースとなっている魯迅も読まないとなあ。
「一九三八年上海の記憶」韓松(ハンソン)
 本作の舞台は日本占領時の中国だが、時節柄戦時下の人々の姿が胸に迫る。解説では「時代・地域の異なる技術・概念・歴史がまじりあった世界を描く」タイプの作品は、改変歴史SF」(中国では「別史」)と分けて「錯史」とされ、日本でのそうした作品の例として高野史緒の作品が挙げられている。なるほど、これは中国の分類の方が丁寧で正確かも。本作では、大きな歴史・社会の変動における個人についての真摯な問いかけがみられる。
「永夏の夢」夏笳(シアジア)
 長大な時間を生きる<永生者>とタイムリーパーである<旅行者>の切ない交感がリリカルに描かれた作品。SFならでは情感で多くの読者を惹きつけるだろう。アンソロジーのトリにふさわしい。
 上記のように解説も丁寧で大変素晴らしい。編訳者の大恵和美氏は研究者であり、引用・注釈の記載もアカデミックな形式に則ってあり、今後このようなスタイルがスタンダードとなっていくのが望ましいだろう。
◇「長城」小田雅久仁(SFマガジン2015年1・2・4月号)
 3号連載の作品。<長城>によって戦いが行われている世界が背景にあり、選ばれた<戦士>はもう一つの日常で突然覚醒して敵を惨殺しなくてはならない。評価の高い長篇が未読という現況だが、以前読んだ「よぎりの船」でもそうだったように、日常から不気味な"向こう側"へ移行する生々しさの描写力が傑出している作家で、本作でもその特質が遺憾なく発揮されている。
◇ナイトランド・クォータリーvol.22 銀幕の怪異、闇夜の歌聲
 映画特集。
○フィクション
「十字架上のタンホイザー(ある白昼夢)」H・H・エーヴェルス
 ドイツ表現主義は全く疎く、今更ではあるが少しでも知っていきたいと思っている。そのような知識不足の中、イタリアやピエロの要素が入っているのはなかなか面白いことだと思える。
「シネマの幽霊」マージョリー・ローレンス
 映画館ものの小品だが、ちょっと心温まる映画愛の感じられる一編である。
「ムービー・モンスター」サマンサ・リー
 こちらはモンスター愛かな。これまた楽しい一編。
「映画製作者へのささやかなアドバイス」ロバート・ブロック
 映画業界と縁が深い著者らしく、興行優先のストーリー改変をネタにした皮肉の効いた一編。冒頭作品紹介で言及されている、ラヴクラフトとブロックの作品内でのお互いをモデルにしたキャラクターへの惨殺合戦にも笑いが漏れる(オマエら楽しそうが過ぎるぞ(笑)。
「最後のカーテン」エド・ウッド
 史上最低の映画監督、エド・ウッドの作品。訳者(柳下毅一郎)のおかげか、短いからかすんなり読めてしまった。解説にあるように怪奇趣味自体は本人の作家性にあるようで、そのあたりは本人のコアなのかなという感じもうけた。
モノクローム十二夜」クリスマス・クリアータ
 専業主夫の男が家族の外出の空いた性的妄想にふける…といった大枠から意外なほど静かで切ない余韻を残す幻想譚。モノクローム写真というレトロな道具立てが効果的。
「浮浪者つぶしと血の報復」スコット・ハーパー
 浮浪者を虐待し動画を撮るという現代的なおぞましい裏ビジネスが導入だが、後半には死のない世界に彷徨う魂の行く末が描かれる。コントラストが面白かった。
「イエロー・フィルム」ゲイリー・マクマホン
 こちらもインターネット動画が題材。不気味なタトゥーの男に興味を抱いた主人公に起こった事とは。内戦下のサラエボを背景に、チェンバース『黄衣の王』を取り入れた陰鬱な怪奇譚。タイトルはブルー・フィルムの語呂合わせだろうか。
「カユーガ湖の地底に潜むもの」リー・クラーク・ズンぺ
 本号は基本的に映画特集だが、TVの少々いかがわしい未確認生物ものも、怪奇幻想の近しいジャンル。というわけで商売気たっぷりのクルーとクトゥルーものが融合した楽しい一編。
「セレナアド」富ノ澤麟太郎
 映像的なイメージの連載で大正浪漫の空気感が伝わってくる。
夢魔の港町」<ミライ妖カイ幻視行>第三話 井上雅彦
 映画を題材に今回もレトロな怪異と先端的なSFアイディアが激突。お見事。
「UNDINE」徳岡正肇
 売れない映画監督が生来の演技者の女の子と出会い最高傑作を作り始めるが、という話。途中まで隠されていた背景状況が明かされ、終盤の意外な展開にあっといわされた。
○ノンフィクション
柳下毅一郎インタビュー
 多岐に渡る活動について質問があり、その歩みが俯瞰できる貴重なものとなっている。必読。
・血を浴びながら復活する、伝説のホラー専門会社 レジェンド・オブ・ハマー・フィルム 浅尾典彦
 古典ホラー映画の名門ハマー・フィルム(イギリスの会社だったのか、それも不勉強ながら知らず)の歩みを追っている。詳細なリストもついており、初心者にはありがたい資料だ。
・銀幕の向こうの響きー映画音楽を用意した、昔日の音楽感覚 白沢達生
 映画音楽を皮切りにクラシック音楽の歌と演奏の関係(クラシック音楽でも歌い手ぬきのコンサートが発達したのは18世紀以降)など思わぬ話の広がりがあってなるほどとなった。
・雪崩連太郎の幻視行を追え! 岡和田晃
 都筑道夫に伝奇ホラー(オカルト探偵っぽい?)シリーズがあるとのこと。この人は娯楽小説系で書いていないジャンルはないのではないか。ちょっと探してみよう。
・合理性をめぐる通念を揺るがす研究ー『現代世界の呪術』岡和田晃
 近年再考されている「呪術・宗教・科学」の区分に対する揺らぎについて。たしかに現代では<合理的>な思考法が生み出す社会の軋み(としかいえないもの)が多々存在しているように思われ、そうした領域の再解釈が必要になっているのかもしれない。ちにみにこの号は2017年のものだが、本号掲載のインタビューの柳下毅一郎氏が現代の魔術師アラン・ムーアの邦訳に力を注いでいるのは面白いシンクロと思える。
・[アンソロジーに花束を]第五回 年間傑作選のはじまり 安田均
 1920年代の「イギリス短編傑作選』とアメリカの同時代の短編との比較など。たしかに当時のイギリス短編傑作選のメンバーはすごいね。

第2回みんなのつぶやき文学賞に投票しました。あとこれまでのTwitter文学賞~みんなのつぶやき文学賞の投票内容

 ベストブック選びとかをしていると、過去のベスト投票のこととかを振り返ってみたくなる。
 当ブログ主だと森下一仁さんのSFガイドに毎年投票しているが、そういえばTwitter文学賞にも投票をしていた。
 現在は「みんなのつぶやき文学賞」に移行している。

twitter.comtbaward.jp
 前身であるTwitter文学賞は書評家の豊崎由美さんが発起人となって、2010年から2019年まで続いた。
 国内、海外共に1作を選んで投票、もちろん自由参加の企画。
 1作だからハードルが高くないのがいいよね。

ja.wikipedia.org
 今回も投票しました。マイクル・ビショップ『時の他に敵なし』、国内作品は棄権。
 

 たぶん初めから投票をしていたんじゃないかなと思うが、その時のアカウントがフォロワーの方々にスパムメールを送ったりするようなことになったので、すぐ変えてしまったんだよな。なので自分の記録が残念ながら第3回からのしかなく、そこは少々痛いのだが。
 まあとにかく、自ちょっと振り返ってみる(年は刊行年。つまり投票したのはその翌年2月ごろ。2020年作品つまり2021年投票分からは<みんなのつぶやき文学賞>)
2020年(第1回<みんなのつぶやき文学賞>)
投票 海外『ライフ・アフター・ライフ』ケイト・アトキンソン
   国内 投票せず
※受賞作 海外『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ
     国内『百年と一日』柴崎 友香
2019年(第10回)
投票 海外『息吹』テッド・チャン
   国内『黄金列車』佐藤亜紀
※受賞作 海外『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン
     国内『黄金列車』佐藤亜紀
2018年(第9回)
投票 海外『竜のグリオールに絵を描いた男』ルーシャス・シェパード
   国内『飛ぶ孔雀』山尾悠子
※受賞作 海外『最初の悪い男』ミランダ・ジュライ
     国内『ベルリンは晴れているか』深緑野分
2017年(第8回)
投票 海外『アンチクリストの誕生』レオ・ペルッツ
   国内『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀
※受賞作 海外『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド
     国内『チュベローズで待ってる』加藤シゲアキ
2016年(第7回)
投票 海外『ロデリック』ジョン・スラデック
   国内『 吸血鬼』佐藤亜紀
※受賞作 海外『すべての見えない光』アンソニー・ドーア
     国内『吸血鬼』佐藤亜紀
2015年(第6回)
投票 海外『クロックワーク・ロケット』グレッグ・イーガン
   国内 投票せず
※受賞作 海外『紙の動物園』ケン・リュウ
     国内『淵の王』舞城王太郎
2014年(第5回)
投票 海外『ピース』ジーン・ウルフ
   国内『新生』瀬名秀明
※受賞作 海外『愉楽』閻連科
     国内『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』 木下古栗
2013年(第4回)
投票 海外『夢幻諸島から』クリストファー・プリースト
   国内『皆勤の徒』酉島伝法
※受賞作 海外『HHhH――プラハ、1942年』ローラン・ビネ
     国内『スタッキング可能』松田青子
2012年(第3回)
投票 海外『青い脂』ウラジミール・ソローキン
   国内『屍者の帝国伊藤計劃×円城塔
※受賞作 海外『青い脂』ウラジーミル・ソローキン
     国内『本にだって雄と雌があります』小田雅久仁
2011年(第2回)
※受賞作 海外『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』ジュノ・ディアス
     国内『11 eleven』津原泰水
2010年(第1回)
※受賞作 海外『いちばんここに似合う人ミランダ・ジュライ
     国内『二人静盛田隆二

まあ読書数が少ないので、どうしても国内作品の棄権率が多くなってしまったな(今回もだが)。『地下鉄道』が受賞作だったのはなかなか意外だったな。ここには出ていないが、不勉強ながら割と最近知ってはまったケイト・アトキンソンが前から上位に入っていたり、自由参加なのに投票者のセンスが良いのが面白いよね。