異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2022年どこよりもアレな!プロ野球順位予想!

 もうね、クライマックスシリーズすら終わっていないけどね。
 やっちゃうよ来季順位予想。
 大体さー、プロの解説者でも当たんないじゃん、順位予想。
 そもそも6×5×4×3×2通りもあるわけで、全順位とかだと当たんないに決まってるよ(まあ同率で並ぶケースとかややこしいことはさておいても)。
 もちろん概ね強い弱いはあるのは事実で、優勝予想ぐらいになれば6分の1にはなったりはする。
 それでもまあ割と当たってないよね。
 補強とかがひと段落した時に予想順位出すのが普通なんだが。
 こちらはド素人、どうせ当たらんのなら思いついたところでやっちまおうというわけです。
(早速やっているサイトはあるみたいなので「どこよりも早い」とは書かないことにした(笑)
 それでは発表!
まずはセリーグから。
1.阪神
2.広島
3.横浜
4.巨人
5.ヤクルト
6.中日

1.阪神
 終盤の失速とクライマックスシリーズ敗退で、印象が悪くなっているけど、若手がいい感じだし来年こそはいけるんじゃないすか。
2.広島
 後半の若手の成長にインパクトがありました。かなり来年は勝つんじゃないですか。え、主力投手のFA流出?まあよくわかんないけどなんとかするんじゃないすか。
3.横浜
 ええもちろん願望ですよ当然じゃないすか。え、オースティンがいないかもって?ふうんそうですかまあそのぶん牧が打つんじゃないんですかね。どっちでもいいんですよ願望なんですから(半ギレ気味)。
4.巨人
 菅野、坂本、岡本がいて他に投手もそれなりに揃っていて4位はないかなー。いや指揮官の過渡期で混乱していただいてなんとか4位にとどまっていただいて。
5.ヤクルト
 今年頑張った分、来年は少しおやすみいただいて。
6.中日
 中日ファンの方ゴメンナサイ。新監督で少し迷走していただいて<そんなのばっか

次にパリーグ
1.ソフトバンク
2.新庄
3.オリックス
4.西武
5.ロッテ
6.楽天

1.ソフトバンク
 工藤監督退任は西武~ダイエーソフトバンクの流れをつくりだしてきた根本睦夫による人脈が牽引してきた時代の終わりを象徴している。とはいえ、今年の指標はさほど悪くなさそうで、来年は反撃するのではないか。ただ徐々に次世代のチームに移行していくのではないか。
2.新庄
 北の大地に出現した謎の新球団。もちろんこれも願望です。これくらい暴れれば、盛り上がりも相当なものになるだろうし、そうした刺激がプロ野球には必要なのでは。
3.オリックス
 メンバー的には若いし連覇が十分できる印象だけど、今年の疲れが出るんじゃないかなあ。1999年ベイスターズあたりをイメージ。ベイスターズと比較されたくないですよね失礼。
4.西武
 指標的には苦しそうだが、辻監督はある程度巻き返してくるのでは。
5.ロッテ
 なんとなく今年が目一杯かなという気がする。
6.楽天
 楽天ファンの方ゴメンナサイ。今年勝てる要素が揃っていたところを逃したので、なかなか来年は厳しいかなという気がする、ただそれだけなので本気にしないでくださいね。

 ということで、どこよりも「テキトー」な2022年プロ野球順位予想でした。
 でも少し当たったら自慢しようかな<テキトーとか逃げておいてそれは卑怯だぞ

 

2021年10月に読んだ本など

 そうそう、まずは読書会とイベント参加について。
 まずは名古屋SF読書会。
www.ne.jp
お題は劉慈欣『三体Ⅲ』。何度かお邪魔しているが、このご時世にオンラインでやっていただけるのはありがたい!
大長編のあらすじがまとまっている労作のレジュメに従って、アイディアの謎の部分やキャラクターの話、米英SFとの落差などいろいろ興味深い話題が出た。正直、『Ⅲ』はかなりハードコアなSFアイディア満載のぶっ飛んだ話なので、一読ではよく把握できていないことも個人的には思い知らされた感じでもあったが…。あと例によって恋愛シーン、女性描写の難が指摘される、SFあるあるもあったな(苦笑)。
とにかく今回も楽しかったです。スタッフの皆様ほんとうにありがとうございました!
 京都SFフェスティバルも参加。
kyofes.kusfa.jp
もちろんこちらもオンライン。橋本輝幸さんの最新SF情報、円城塔作品分析の話、いずれも知らないことが多く参考になった(円城塔の数学的解析は自分には難しいが、解析的に大いに重要な発見が得られそうで有望な分野なのではないかと感じられた)。スタッフの皆様ほんとうにありがとうございました。

さてその他。
◆『エシュティ・コルネール もう一人の私』コストラーニ・デジェー(出版社:未知谷)
 1885年生まれの作家コストラーニ・デジェーによる、エシュティ・コルネールという作家が遭遇した出来事が描かれる作品。断章で、様々なエピソードがつづられる形式。それおぞれ長いタイトルがついていて、そのままの話なのでいわばネタバレタイトルなんだが、別にオチがどうのというタイプの小説でもないので特に気にならない。第11章の歴史上の人物に似てるスタッフばかりのホテルとか、第12章でどんなシチュエーションでも上手に居眠りをする恩師を擁護したり、第16章では命の恩人に便宜を図っていたらどんどん頼ってくるようになり鬱陶しくなる話とか不思議な空気やユーモアがあって面白かった。
◆『独裁者のブーツ: イラストは抵抗する』ヨゼフ・チャペック(出版社:共和国)
 カレル・チャペックの兄ヨゼフの反ナチス・反ファシズム諷刺イラスト集。作者50歳の記念で連載が行われたもののようだが、折しもナチズムがヨーロッパを脅かす時代、現代の諷刺画・コミックにも通ずるような太い線を中心としヴィヴィッドなスタイルで鋭く世相をとらえる。やがて強制収容所で生涯を終える、個の視点で激動のプラハを見つめた不器用にも思える歩みを追ったノンフィクション部分も大いに充実。大変良い本だった。
 たまたま2冊小出版社の本を読んだが、ダイレクトに本を出したい情熱が伝わってくる温かみがあるのが大きな魅力だと感じた。『独裁者のブーツ』の方は職場の近くでやっていたブックフェアで見かけた本で、偶然の出会いだったんだよね。今後もこうした出版社に注目していきたい。
◆『コインロッカー・ベイビーズ村上龍
 刊行から数年程度で購入していたが、結局随分経って先日読み始め読了。コインロッカーに捨てられた少年二人の辿る数奇な運命を描く作品。奥付が1984年だから読み終えるのにいちおう40年は経っていないな(苦笑)。ということで、ちょっと時代のモードのずれみたいなものはある。例えば音楽業界のビジネスの在り様など、戦後の影を引きずっている要素があり、昭和な作品なのだなと感じられる。
 ただし、この小説は完全な現代小説ではなく、当時から見ての近未来が舞台となっていて、そうした異化作用のため、全体としては時代の落差を感じる部分は細部にとどまる。それからこの作品は、社会全体をシミュレーションするような視点が中心になるSFというわけではない。近未来を舞台にしているのは、少し違った(当時の)現代日本を作品世界の背景にすることにより想像力を膨らませることが目的で、あくまでも同時代の現代社会を描く作品だ。そういう意味では、暴力と人間、文明の発達による変質する人間といったテーマを持つ、J.G.バラード後期の長編群(『コカイン・ナイト』以降)と共通する部分が感じられる。洗脳、テロリズムといった切り口も有しており、先駆性という意味でもバラードと相通ずるのではないだろうか。
 しかし全体のトーンはバラードと異なり、寓話性が強く、より物語性とパッションが前面に出ている。展開も起伏に富んで、次々に思いもかけないことがおこる小説でもある。必ずしも端正な小説ではなく、暴力的な描写が多いことを除いても、多様なエピソードに多くの個性的な登場人物がからむ、どことなくゴツゴツした手触り作品である。いまだに多くの支持を集めるのはそうした多面的な顔を持つこと、暴力的な面を多く含むが寓話的で非日常的なタイプの作品であることが要因の一部だろう。
◆『中性子星』ラリイ・ニーヴン
 ニーヴンは良くない意味でのアメリカンのライトなノリが感じられて、長いこと敬遠気味だったが、(まあこちらもいろんな小説に慣れてきて)なるほど宇宙冒険SFの科学的・(当時の)現代的に洗練されたスタイルだったのだなあと高い評価を得ていた理由がよく分かった(今更ではあるが)。一種の巻き込まれ型主人公であるベーオウルフ・シェイファーの登場する、表題作や「銀河の<核>へ」などが面白かったかな。ただ、未来人があくまでも現代人の延長戦でしかないのが多くのSFのツラいところ…いやそれどころか、その<現代人>の価値観が、(たとえば主人公の一人が子どもを持ちたがっているところとか)既に時代のずれを感じさせて、いっそうツラかったりしてしまうのも否めない(何せ翻訳は1980年、原書は1968年発表の短編集なので)。

2021年10月に観た映画やTV番組

 ということで、久しぶりに映画館で映画「DUNE」を観ました
その他TV録画関連です。
勝手にしやがれ À bout de souffle(1960年)
 ヌーヴェルヴァーグについてはよく知らないのだが、本作は即興的につくられたギクシャクとしたところは独特の効果を生み、斬新なセンスは今観てもカッコ良さにあふれ、完成度といった基準とは別のところで映像を見る面白さを感じさせる。社会からはみ出た犯罪者を題材にしているのも、既存の価値観へのアンチテーゼなのだろう。パリの街並み、ファッションなど、影響を与えたのはよくわかる。まとまりという意味では疑問が残り変わった手法などが含まれる作品を強く意識せず楽しむことをできるようにしているのは、主演の二人の魅力だろう。ジャン・ポール・ベルモンドの人懐っこく憎めない悪党ぶりもさることながら、何より最初のシーンからキュートなショートカットで観る者の目をとらえて離さないジーン・セバーグが作品のコアだろう(ジーン・セバーグはその後若くして亡くなってしまうんだな。あまりに鮮烈で時代の顔になり過ぎたのかな。アイコニックな存在になるのも大変だという気がする)。ふと犯罪を起こし逃亡するカップルという事で「俺たちに明日はない」を思い出したが、この作品の影響でできたみたいね。先行の作品の方がバランスが悪かったり歪なところがあったりする(そして逆にそこが面白かったりする)のもまたよくあるパターンね。
ウルトラQ
 第26話 燃えろ栄光 ボクサーの変な生き物との深い結びつきを描いた一見<奇妙な味>系の話かなと思ったら、どこかシリアスなところもあったりオチもはっきりしなかったりする正直よくわからない回。紙を切ったり、破ったりするような画面の演出など面白い映像効果が使われていて、クライマックスの火のシーンなどは結構力が入ってる。穂積隆信も出ているね。
 第27話 206便消滅す 当初怪獣のシーンはなく、後から追加されたらしい。そのためかストーリー展開に(最低限の)ロジカルさが感じられず、もう一つ。初回放送時はこれが最後の回だったらしいが、パッとしないラストのような。小泉博が出ているが、ググってから思い出すに、クイズグランプリの司会者が一番記憶にあるかなあ。ゴジラシリーズやマタンゴにも出てたみたいね。鎌倉生まれ、政治家の息子らしいが、小泉純一郎の一家とはまた別みたい。
 第28話 あけてくれ 最終回。どうやら本放送では放送されず、再放送から。柳谷寛さんはどこかで見た事があるなと思ったら、19話の刑事役か。事件の鍵を握るSF作家は天本英世で、おおっとなった(いやあオタクの基本知識を欠いておるのですよ)。アンプル入りのビタミン剤を渡すところが現代だと変に印象に残るよね(笑)。オープンエンディングだが、意外と今の時代だと違和感は少ないのでは。歪んだ映像効果も良かった。
 で、一つ見逃したがそれ以外は全部観た。そうだな、全体としての感想としては、一話毎の出来には差があるものの、当時の実験精神が感じられる作品も多くあり、さすがに評価が高いのも当然だなと思った。流れを継ぐ、後のウルトラマンシリーズよりも怪奇幻想寄りのエピソードも目立ち、また別の路線として今後も繰り返しスポットを浴びそうな番組だと思う(熱心なファンの方には今更この程度の感想かと思われそうだが)。
日曜美術館横尾忠則 ART IS LIFE」残念ながらコロナ禍で展覧会は見合わせたのだが、今年の番組。東京都現代美術館で以前に行われた展覧会で横尾忠則のエネルギーに圧倒されてファンになったんだよな。これかな。 ↓
www.mot-art-museum.jp
これからある大分のに行きたくなってしまうなー(まあ無理なんだけど)。番組はどんな状況でも好奇心を失わないパワフルな姿に心を動かされる。同時代に生まれて良かった思えるアーティストだ。

久しぶりに映画館に行きました

 久しぶりに映画館に行きました。『DUNE/デューン 砂の惑星』。
 その前は『パラサイト』かもしれないな。1年9か月ぶりかな。
 他にもいろいろ自粛してるので(仕事柄でもある)、外出しての娯楽そのものが久々な感じ。
 目当ての美術展も大分スルーした。
 てなわけで、出来不出来の感想もない。
 なんだかほっとして、楽しかっただけだ。
 このまま世の中が落ち着きを取り戻すことを願うばかりだ。
 (この間で多少健康を損ねてしまったが)
 まあとはいえ少しは感想も書いておくか。
 とはいえ原作の『砂の惑星』は読んだことがあるものの、記憶のはるか彼方。原作との比較はできないな。
 よく話題になるリンチ版は未見。たぶんこの2000年のTVドラマは観たような。結構面白かったと思う(それでも筋があまり思い出せない(苦笑)。
 さて監督はドゥニ・ヴィルヌーブ。
 『メッセージ』や『ブレードランナー2049』。
 共通するのは映像のセンスの良さ。
 独特の官能性があると思う。
 それに比べると驚くようなストーリーや仕掛けで見せるタイプではないようだ。
 そもそもの原作も随分昔なので、西洋中心主義的な粗も目につくようになってきているのだろう。
 ただ『メッセージ』における宇宙人、『2049』における先行作品を忠実にかつ豪華にアップデートさせた未来世界とキイになるコアイメージを外さないのがこの監督の優れた資質だ。
 デューンではやはり<砂>がそれだろう。スパイスという富を湛えながら荒れ狂う砂漠。
 そこに比較的シンプルなストーリーを当てはめていく。
 そういうことに長けた監督なのではないかと思う。
 いわばヴィルヌーブ監督は華麗な映像センスを有する職人といったタイプなのではないか。
 それは得難い才能にも思え、個人的には次回作にも楽しみになる作品だった。※追記 Twitterに次回作はあ10/20/23というのが流れたけど、割と先じゃない?(笑)

2021年9月に読んだ本と読書会など

 なんとなく数年来(苦笑)たまっていた雑誌などを消化することが多いです。雑誌は全部読むのは大変なので、創作などそこそこ読んだものという感じ(それから、感想も随分前に読んだものが結構含まれてる)。
◇群像 2019年1月号
 ○フィクション
「命日」瀬戸内寂聴
 無論著名な作家だが、小説を読むのは初めて。明らかに自伝的な内容で、それを別な人物の視点で書かれている形式。短いこともあるが、意外とすんなり読ませる。とても100歳近い人の作品とは思えないね。ちょっと羨ましい。
「返信を、待っていた」笙野頼子
 身近な日常をベースに、現代をリアルタイムで描写していく形式。社会の背景に潜む欺瞞を余さずとらえる眼差し、そして舌鋒は鋭い。
「鏡」日和聡子
 日常的なシチュエーションだが、不安と期待が交錯している心理描写が巧みに描かれている。
「21ピース日曜日の人々<付録と補遺>」高橋弘希
 断章形式で、少女の不穏な日々の冒頭から、どんな結末になるのかと思いきや、意外とそちらがエスカレートしていくわけでもなく。うーむ何か読み落としているのかな。
「夜神楽の子供」小山田浩子
 地方と都市部の落差、純和的な伝統文化から過去への回帰とともにシームレスに非日常的な世界に入る。
「星に仄めかされて」(新連載)多和田葉子
 やはり独特な言語感覚のある人で、エッセイ含め、ユニークな作家であることがよくわかる。非日常的な設定の作品が多いらしいこともSF好きとしては惹かれる。
 ○ノンフィクション
『献灯使』全米図書賞翻訳部門受賞記念のエッセイ3本。英文学者や翻訳家が並ぶのは当然かもしれないが、多和田葉子のテキストをとらえるには重要なことであろう。
・檻の中のライオン 阿部公彦
 多和田自身に言及しながら、多和田文学の一筋縄ではいかない魅力を解説。つれしょんに訳語があったとは!
・死より詩をー多和田葉子の文章 都甲幸治
 言葉の<意味>が偏重され、直線的な論理に傾倒していく危うさを指摘し、抵抗する多和田文学の評価をする。
・パフォームする言葉たち 小澤英実
 多和田文学の持つ身体性を解説し、翻訳者の訳業についても触れている。
 ◎野間文芸賞野間文芸新人賞関連
・随筆 『草薙の剣』ー六人の主人公と七番目の男 橋本治
 受賞記念随筆。時代を分析する論考には陰りの見えていた橋本治だが、小説は読んでみてもいいのかなと思った。桃尻娘や源氏・平家(の一部)ぐらいしか読んでいないので。
・対談 小説世界をつくり出す架空の言葉たち 金子薫✖️高橋源一郎
 金子薫のことは全く知らなかったが、本人からディック、高橋源一郎から作品との比較で『この狂乱するサーカス』の話が出てて興味が出てくる。
他 大澤真幸の連載ドストエフスキー作品と資本主義などの分析があり興味深かった(作品自体ほとんど読んでないが)。
・ミステリマガジン 2015年 11 月号
 冒険・スパイ小説特集。様々な作家が思いのたけを披露していて、全くうといジャンルだったがなかなか面白かった。あと積んである『戦場のコックたち』深緑野分のインタビューが載っていて、読まなくてはと思ったり。
○フィクション
ガリンペイロ」船戸与一
 ブラジルで一攫千金を夢見る日本人の男。運命をかけ大きな影にでるが。初めて読むがやはり人気作家、面白かった。
「ベンツに乗った商人」ジョン・ル・カレ
 東独で亡くなった父を西側で埋葬して欲しいという遺言があったと連絡を受けた息子。遺体を引き取りに長い道のりを向かう。良質なミステリだか、いわゆる冒険小説に入るのかなこれ。
「夜の追撃戦」C・S・フォレスター
 第二次大戦を舞台にした海洋軍略もの。これはイメージする典型的な冒険小説だな。
SFマガジン 2004年5月号
 コニー・ウィリス特集。
「最後のウィネベーゴ」コニー・ウィリス
 同名の短編集も長年読み途中で、表題作までたどり着いていなかったが、本作を今回読んでみて、なるほどこんな話だったのか。ウィリスの犬愛が泣けるね。ウィルス感染による第二波、第三波といった用語が既に取り入られて、感性の鋭さを感じさせる。
白亜紀後期にて」コニー・ウィリス
 学園コメディ。恐竜の研究をしている古生物学科が、合理化の対象でひと騒ぎが起こるといういかにも現代的でここにもウィリスのセンスの確かさをみる。
・インタビュウ 死の真実を語る作家
<ローカス>誌2003年1月号初出
 死に対してのウィリスの考え方などがわかる。不死を買える財力を手にした金持ちの話というハクスリーAfter a Summer Dies the Swanは面白そうだな。
「生家の裏庭」ジェイムズ・P・ブレイロック
 訳者中村融による解説で、スチームパンクの作家とされてしまった不幸が指摘されている。本編はカリフォルニアを舞台にしたファンタシーを得意とする一面を現した作品というとのこと。やや願望充足的な側面はあるが、ディテールの書き込みが深みを与えている心地よい作品。父子の物語であるところがアメリカらしいかな。
文學界 2021年9月号
 ○フィクション
「少々を埋める」桜庭一樹
 作者が本作にたいする鴻巣友季子氏の文芸時評での言及に強い意を唱えたため騒動になった一作。まあそれはともかく、現在の中年女性を取り巻くあれこれがうまく表現されているように思う。レズニック「キリンヤガ」が引用されていろのは、共同体と女性抑圧といったものかテーマになっているためのようだ。(「キリンヤガ」探したけど見つかんねええ(苦笑)
武装市民」筒井康隆
 作者の従来の文体からあまり変わっていない印象の作品。小品でとりあえずの感想としては可もなく不可もなく。
「忸怩たる神」絲山秋子
 神が人の姿になって旅をしている短編。架空の土地名とかのんびりとした交流とか温かな空気感がある。
 ○ノンフィクション
・リレーエッセイ 私の身体を生きる 
連載第七回 私は小さくない 千早茜
 身長が高くないことによる世の中での扱いについての苛立ちが記されている。自分も身長が低い方なので、内容に共感するし、ましてや女性ではなおのことだろうと思う。近年著者は多少なりとも解放されたようで、素直に喜ばしく感じた。
阿部和重『ブラック・チェンバー・ミュージック』の謎 蓮實重彦/樋口恭介
 2つの評論が載っている。阿部和重はほとんど未読なのだが、ちょうど文學界2019年10月号の阿部和重小特集を読んでいたのもあって、読みたくなってきた。現代を様々な語りと重層的な構成による虚構でとらえ直すというのが面白そうだなと。
・「アルフレッド・ヒッチコック試論」阿部和重
 若い頃の評論をなるべくそのまま発表したということだが、『ブラック・チェンバー・ミュージック』とも関わるという一筋縄ではいかないところがある。階段とヒッチコックという切り口の評論としても多くの作品を解析したそれなりにボリュームのあるもので、読み応え十分(元々の映画の方も大分忘れてしまってるが)。
・新芥川賞作家関連
 新芥川賞作家、石沢麻衣・李琴峰のエッセイおよび作品に対する評論が載っている(倉本さおり、鴻巣友季子)。作品は未読だが、エッセイがいずれも外国文学が言及されていて興味がそそられる。特に李琴峰の台湾でも文学賞はとったものの成功にまではいたらず、日本語では初の単著が刊行できたという経歴や漢詩の部分とか、文学の持つ多面的な魅力を感じさせる。
文學界 2021年9月号
○フィクション
「少々を埋める」桜庭一樹
 作者が本作にたいする鴻巣友季子氏の文芸時評での言及に強い意を唱えたため騒動になった一作。まあそれはともかく、現在の中年女性を取り巻くあれこれがうまく表現されているように思う。レズニック「キリンヤガ」が引用されていろのは、共同体と女性抑圧といったものかテーマになっているためのようだ。
武装市民」筒井康隆
 作者の従来の文体からあまり変わっていない印象の作品。小品でとりあえずの感想としては可もなく不可もなく。
「忸怩たる神」絲山秋子
 神が人の姿になって旅をしている短編。架空の土地名とかのんびりとした交流とか温かな空気感がある。
○ノンフィクション
・リレーエッセイ 私の身体を生きる 
連載第七回 私は小さくない 千早茜
 身長が高くないことによる世の中での扱いについての苛立ちが記されている。自分も身長が低い方なので、内容に共感するし、ましてや女性ではなおのことだろうと思う。近年著者は多少なりとも解放されたようで、素直に喜ばしく感じた。
阿部和重『ブラック・チェンバー・ミュージック』の謎 蓮實重彦/樋口恭介
 2つの評論が載っている。阿部和重はほとんど未読なのだが、ちょうど文學界2019年10月号の阿部和重小特集を読んでいたのもあって、読みたくなってきた。現代を様々な語りと重層的な構成による虚構でとらえ直すというのが面白そうだなと。
・「アルフレッド・ヒッチコック試論」阿部和重
 若い頃の評論をなるべくそのまま発表したということだが、『ブラック・チェンバー・ミュージック』とも関わるという一筋縄ではいかないところがある。階段とヒッチコックという切り口の評論としても多くの作品を解析したそれなりにボリュームのあるもので、読み応え十分(元々の映画の方も大分忘れてしまってるが)。
・新芥川賞作家関連
 新芥川賞作家、石沢麻衣・李琴峰のエッセイおよび作品に対する評論が載っている(倉本さおり、鴻巣友季子)。作品は未読だが、エッセイがいずれも外国文学が言及されていて興味がそそられる。特に李琴峰の台湾でも文学賞はとったものの成功にまではいたらず、日本語では初の単著が刊行できたという経歴や漢詩の部分とか、文学の持つ多面的な魅力を感じさせる。
◆『三体Ⅲ 死神永生』上・下 劉慈欣
 最初どんな話だったっけ??となるぐらい次々と思いがけない方向に展開する第三部。そしてスケールが極大なところまで広がる。全体に、壮大なスケールの世界とごくごく小さな個人の運命や思いを対比が実にうまい。その対比の妙を演出するためによく考えると無茶な話になっているのだが、そこを膨大な情報量とイメージ喚起力でなんとなく納得させてしまう劉慈欣恐るべし。そして極大と極小が出会うダイナミズムがSFの魅力であり、そのツボを押さえていることが最大の魅力だろう。で、この本がお題の名古屋読書会にも参加予定です。

 さて読書会といえば、若島正先生の読書会にお邪魔している。ナボコフ短篇読書会「移動祝祭日」で、日本語テキストの作品社『ナボコフ全短篇』 が下敷き。翻訳読みで参加できるのだ。たしか元々は大学でのゼミといった形がベース。それを2018年から全国に拡大し、巡回していったもの。若島先生の大ファンとしては、なかなか近所に来ないのでもどかしく思っていたが、ついに第6回目の読書会が東京に来たので参加。各回でお題の短篇を選ぶ発題者がいて、概要やポイントを説明してくれるのだが、なんとこの回は佐藤亜紀先生。終了後の「金魚坂」での懇親会含め、実に楽しかった。本格的な文学関連の読書会はほぼ初めて、またメンバーもプロの方が大勢というものだったが、そこは昔からの習性で(笑)、好奇心に任せて突撃しました。いやそんな大げさな話ではなく、一般読者もまた普通に参加していて、プロの方もフランクにいろいろ教えてくれるのですよ。しかしこのコロナ禍。どうなるかと思いきや、オンライン読書会に変貌。逆に参加しやすくなり、以後も参加。ということなのだが、本来触れなければならない濃い中身に関するまとめは・・・少々難題なのでとりあえず、備忘録的に日程と印象に残った視点をちょっとだけ。
・2019年11/16 第6回「レオナルド」(東京) 亡命人社会での体験が反映か。冒頭徐々に舞台や小道具が組み立てられるような表現の面白さ。
・2020年9/12 第7回「北の果ての国」(オンライン) オルフェイスもの。魂の抜けた、骨抜きのファルテル。
・2020年12/5 第8回「ランス」(オンライン) 火星が舞台?(二のところだったと朧げな記憶)。望遠鏡小説。登山とナボコフ。若島先生から「ナボコフ としては『こっちに帰ってくる』珍しいもの。『透明な対象』との重なり。ロマンティックサイエンスで、ラヴクラフトとの共通性」
・2021年3/20 第9回「けんか」(オンライン) 19世紀の小説とは違う、モダニズム的な側面。人間を機械のようなものとしてみる(素材として扱う)。
・2021年9/18 第11回「フィアルタの春」(オンライン) 湿潤な空気感のフィアルタとニーナの共通性。サーカスのイメージが次第に迫ってきてラストにつながる。チェーホフ「犬を連れた奥さん」との関連。
実は調子に乗って、原文を扱う読書会にも参加したのだった(苦笑)。
・2021年3/21 Gene Wolfe読書会 課題作品"The Tree Is My Hat" 翻訳の「木はわが帽子」のタイトルの意味がわからなかったもので。これも自分で読んだだけではわからないほどに奥行きのある作品だったなあ。正直なところ筋を確認するのがやっとといった体たらくだったが、いろいろ得るところは大きかった。タイトルの意味もつかめたし。オンラインありがたい。