さて昨年から続く冬の丸屋九兵衛さんイベント。今回も聞いたよ~。 シーベリー・クインの「道」は、新人物往来社の「怪奇幻想の文学」で読んだ。新装版の方。
・【Q-B-CONTINUED vol.65】外伝『ゲーム・オブ・スローンズ』。素晴らしき裏設定の世界!
未だ原作・ドラマどちらもノータッチの世界だが、実際の歴史や民族との交錯、ドラマと原作の落差、フィクションの無理な設定を科学的解説に無理矢理結びつけようとするオタクの情熱(笑)など、やはり面白かった。
・【Q-B-CONTINUED vol.66】サンタクロースと荒ぶる聖人軍団! キリスト教ヒストリーを彩った脇役紹介
日本人にはどうも馴染みの薄い聖人について解説する回。意外に一致しない使徒の12人、イエスには直接にはケファなどと呼ばれていたがそれが知られなくなって名前が定着しているペテロ、蛇と聖パトリック、実はサンフランシスコの名の元だったザビエル(そしてXavierやJavierの名前話)などなど、不勉強ながら知らないことが多く驚かされた。ただ個人的ハイライトはシーベリー・クイン「道」について、中野善夫さんのツイートが引用されていたことだ(笑)。
・【Q-B-CONTINUED vol.67】史上最強の黒字映画たち。驚いて、やがて愛しきハリウッド良作リスト
以前の赤字映画特集の続き回。かけた予算に対する売上、つまり回収率での評価といった感じだが、実質1位はリンダ・ラブレイスのあれか(苦笑)。しかし、対象外扱いながら「カメラを止めるな!」の回収率は記録的なものなんだな。宗教の信者とか固定層を狙うといいというのはなるほど。ホラーはチャンスがあるが、アクションは金がかかる(特にカーアクション)とかも納得。
・【Soul Food Assassins vol.25】奴隷制&人身売買防止月間に振り返るスレイヴ・ヒストリー。イソップ、クンタ・キンテ、そして今
一般的に(漠然とした形でしかないことが多いが)認知の高いアメリカの奴隷制度を切り口に、古から現代までの奴隷制度(それにはいろいろな程度と形式がある)につき解説していく。「オスマン帝国外伝」のシリーズを観てきているので、やはりオスマン帝国の制度には特に興味を覚える。それから、人数の割合としてはアフリカから北アメリカへ渡った奴隷は決して多くないのだねえ(たしか数%のレベル?)。農地では、蓄財を許さない奴隷制度では奴隷側のモチベーションが上がらないというのはどこかで聞いたことがあった気がするが、それがアジア(日本など)と南米の運命をわけたこととかもなるほど。全く関係ないが、松尾潔氏と丸屋氏には微妙な距離感があるのね(愛憎半ばということらしい)。まあたしかに共にブラックミュージックをベースにし、ブラック・ミュージック・リヴューから活動を広げていった二人だが、アーバンでメロウを持ち味としてヒットメイカーとなった松尾潔、そのメロウの裏にあるブラックミュージックの奥底を多様な側面からつきつめる丸屋九兵衛、とその活動には違いがある。しかし一方でブラックミュージックへの思いには両者認め合うものもあるのだろう。
・【Q-B-CONTINUED vol.68】プラネット・アースを考える。環境問題のジレンマと口先だけのSDGs
さて奴隷問題も深刻なテーマだが、引き続きこちらも気が重くなる回だ。未来予測は大変難しく(長年SFを読んでいるとよくわかる。いかに人類が未来を正確に予測する力を欠いていることが)、地球や世界がどうなって、どの問題が優先順位が高いのか。そんな中で、さすが丸屋さんらしい独自の切り口で、環境問題における欺瞞と偽善の正体をくっきりと浮かび上がらせる。正確な認識こそが唯一の道である。丸屋九兵衛は知の力を最後まで信じている人なのだ。