異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

オスマン帝国外伝観終わった

 これも年末の宿題。チャンネル銀河でやっていたのを録画して観ていて、ようやく正月に消化できた。最初に当ブログで言及していたのが、思えば約2年前。なにしろ4シーズンで、wikiだと本国放送分で1回90-150分で139回。日本放送分だと1回分が短いから、回数はもっと多くなり・・・いやはや長距離走完走の気分ですわ(長距離走したことないけども)。
 全体を通しての感想は2019年1月に書いた通り。まず西欧視点じゃない歴絵巻というのが新鮮だった。しかも西欧を組み伏せるような強さがあるしプライドがあるというところ。そしてドラマとしてはとにかくエゴイストばかりな上に、ちょっといい気になっているとすぐ突き落とされ、ほとんどが畳の上で死ねないというヤツで(畳じゃなくて絨毯の上かしらん)。一番面白かったのは、ヒュッレムとイブラヒムが強烈に闘うシーズン1の終盤からシーズン2あたりかなあ。ただ急遽交代(妊娠したらしい)でヒュッレムを務めたVahide Perçin(ヴァーヒデ・ペルチン)はよく頑張っていて、自らの老いや子どもたちの対立に苦悩する姿を見事に演じていて素晴らしかった。若いヒュッレムのMeryem Uzerli (メルイェム・ウゼルリ)ではあの雰囲気は難しく、そのままのキャスティングだと異なるドラマになっていただろう。
 どんどん主役が退場していくので、シーズン4で数少ない最初から出ていたギュルフェム(演じたのはSelen Öztürk セレン・オズテゥルク)とスンビュル(演じたのはSelim Bayraktar セリム・バイラクタルが老けメークで会話するシーンは感慨深いものがあった。特にスレイマンを除けば一番出ずっぱりだったスンビュルは波乱の宮廷を目撃してきた人物、語り手の役割だったことがしっかり描かれていた。そうこのドラマ、血生臭いのだが男たちの多くは詩人でロマンティックに愛を囁くのだよね。その振れ幅がドラマ性を成り立たせているし、全体にブッキッシュなカラーがある。最終盤の回でスレイマンの歴史が描かれた本Süleymannâmeのことが出てくるところとか、本好きにはグッとくるんだよね。(君主論を読んでいるシーンとかヨーロッパとトルコの歴史の重なりが描かれていてこれも良かった)
 王族は大宰相はともかくとして意外な人物が実在なのも面白かった。宮廷一の美丈夫(として描かれていた) Malkoçoğlu Bali Bey(マルコチョール・バリ・ベイ) 、有能なお人好し(で描かれ過ぎていた)Matrakçı Nasuh(マトラークチュ・ナスーフ)、ちょっと頼りない感じ(に見えた)軍人で詩人のTaşlıcalı Yahya(タシュルジャル・ヤフヤ)、海賊から海軍提督になった4 Barbaros Hayreddin Paşa(バルバロス・ハイレッディン・パシャ)、シーズン4で宮廷を混乱させた美貌の商人Gracia Mendes Nasi(グラツィア・メンデス)(ドラマにも描かれていたがユダヤ人で同胞の救済にあたった人物)など(医師のヤフヤも実在したんだねえYahya Efendiヤフヤ・エフェンディ) 。(トルコ語はわからないので、日本語表記は全て日本語版wikiそのままです)
 少し時間がたった時期を描いたKösemもあるらしい。観たいが、これもそれなりの長さなので覚悟が・・・(苦笑)。