7月はなんだか読了本が少ないな・・・。
まずは参加した読書会の話でも(笑)。
第15回怪奇幻想読書会に参加。
第1部は課題図書フィニイ『ゲイルスバーグの春を愛す』。フィニイは数年前に初めて読んだくらいで、ここのところ入手困難な状態の本が多く同書と『レベル3』とアンソロジーに入っている短編のみであまり詳しくない。ただ読み直すとオーソドックスで派手とはいえないモチーフを扱う一方で世代的には割と後の世代(なので保守的とされやすい)であることもありテクニック的にかなり洗練されているなあと思った。たとえば語り手の設定など。また小道具の使い方が非常に上手い作家だなと思った。「独房ファンタジア」甘いけど「愛の手紙」は傑作だと思う。「大胆不敵な気球乗り」も結構評判が良かった。またまた本をいただいてしまった(いただくだけでなく読まないとなー)。
第2部は自分だけのベスト10.
リンク先にあるが皆さんのチョイスが面白かった。もうちょっとそれぞれの方の解説を聞いてみたかったなー。
いろいろ予定が重なるなどあり残念ながら8月は不参加。
さて読了本。
『魔法使いの弟子』ロード・ダンセイニ
ブログ主かれこれイイ年になっているわけだが、ようやく慣れてきた正統派ファンタジーもの。影や闇の恐ろしいイメージ、魔法技術の伝承(徒弟制度)、真の言葉が持つ力などあたりが重要なポイントのような気がしている。本作に関してはスペインが舞台なのも印象的(騎士道物語の系譜と関係があるのだろうかと考えたり)。
『黄色い雨』フリオ・リャマサーレス
3編からなる。「黄色い雨」絶対的な孤独の中に置かれた人間の見る世界が幻想風味を加え描かれる。印象深い作品。
「遮断機のない踏切」怪奇小説ではないもののニューロティックな鉄道小説としてグラビンスキを思わせるものがある。
「不滅の小説」宗教的な味のあるメタ小説。
『天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険』ジャック・ヴァンス(シミルボンに投稿)
『絶望』ナボコフ
久しぶりにナボコフ。犯罪告白小説の形から、意外な方向へと流れていく。親切な解説で作者の狙いがよく分かるが、初期の作品なので全体にナボコフ の特徴が割とはっきり出ている印象もあり、そこも興味深い。以前にも書いた気がするが古典新訳文庫は解説が丁寧でありがたい。