異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2018年7月に観た映画

まだ7月終わってないけどね(笑)
「宇宙からの脱出(原題:Marooned)」(1969)(TV視聴)
 随分前に録画したもの。事故で宇宙船に取り残されたクルーたちの帰還を描くリアリスティックな宇宙もので「ゼロ・グラビティ(Gravity)」の先行作品といえる。こちら技術系に明るくないのだが当時の設備が丁寧に表現されている感じで、見応えがあった。さすがに50年近く前の作品なので古めかしい人物配置のストーリーではあるが。本作では生き残りの条件などをめぐり3人のクルー間の感情の動きが重要な要素となるのが「ゼロ・グラビティ」との違いで、ちょっと冷たい方程式めいたドラマが展開される。実際の宇宙からの危機一髪の帰還というとアポロ13の事故が思い浮かぶのだが、なんとこの映画の方が少し先で予見したことになったのもなかなかすごい。関係ないが、クルーの一人の妻Celiaを演じていたのはLee Grant、刑事コロンボ「死者の身代金」の人だった。

「ソイレント・グリーン」(1973)(TV視聴)
 超有名作品だが録画して初めて観た。実はブレードランナーが結構参考にしているのではないかと思った。基本ミステリ(ハードボイルド)っぽい筋立てで、警察の上司の部屋とかアングルそっくりだし、過密都市で狭い住宅に荒廃した地上の描写、最後のアクションシーンの一部、刺客の人の顔つきもRutger Hauerっぽく見えてくる(笑)。まあそもそもディストピアものというフォーマットが同じで似てくるのは当然かもしれず、詳しい方の意見を聞かないとわからないが。お金持ちのところにある最新のTVゲームがでっかいのに画面が超初期のレベルだったり調査の資料が紙ベースだったりするのは否が応もなく時代を感じさせるが、シンプルで完成度も高く名作とされるのも納得。

「女と男の観覧車(原題:Wonder Wheel)」(2017)(劇場)
 いろいろとよろしくない話題となっているWoody Allen監督ではあるが。最近Coney Islandになんとなく興味があつて、舞台になっていると聞いたので観てみた。作品そのものは良かった。こちらの期待通りほとんどConey Island周辺で進行する。落ち目の観光地という背景が、やるせない日常でちょっとした期待や大きな失望に揺れる人々の姿とが、よくマッチしていた。

渋谷シネマヴェーラで7/21-8/17の間Fritz Lang特集をやっているので出かけてきた。出来れば沢山観たいのだがなかなか日程が合わないやつもあるな・・・。Fritz Langは旧ブログを参照すると今はもう無い新橋文化劇場で2013年に観た辺りから劇場で観るようになったのかな。初めて観たのはやっぱり「メトロポリス」だけどいつだったかは忘れてしまった。
とりあえず、旧ブログの感想はこちら。今のブログのはこれ
思っていたよりお客さん入っていたねえ(ほとんどは高年齢層の男性、まあ自分もその類なんだが)。2本観た。
「西部魂(原題:Western Union)」(1941)(劇場)
 西部劇は基本のフォーマット自体が現代の視点から観ると差別的な要素を含んでしまうので、さすがにFritz Langでもこんなものかーとがっかりするところが各所に見られる。先住民は未開の民族で素朴で騙されやすい人々という描き方になっているところなど。ただ電信事業の話で主人公の一人が技師だったりコメディリリーフ役が気の弱いコックだったり、視点があくまでもインドア派のものなのはヨーロッパの都会育ち(詳しくはないのだがウィーン生まれらしい)でアメリカ人の感覚とは少々違うのではないか。まあマカロニ・ウェスタンとかもあるから細かくいえばいろいろ難しそうだが・・・。アウトローの苦悩をにじませたRandolph Scottは渋い二枚目でカッコよく、全体として話はよく出来ている。

「死滅の谷(原題:Destiny)」(1921)(劇場)
 こちらはまた随分古い作品でサイレント。死神から恋人を返してもらおうとする娘の話が時代や地域を超えてオムニバス形式で綴られるユニークな作品。舞台がアラブ、イタリア、中国と移り変わるが、こちらの作品でもアラブや中国への理解がさすがに大雑把で誤解に満ちている感じ。まあ90年以上前なのでやむを得ないかな。死神のベルンハルト・ゲッケ(Bernhard Goetzke)の顔がすごく死神ですごい(<語彙w)のだが、一方で無邪気なバカップルがえらい目にあってさあ大変というコメディのようにも見えたり(笑)。作品の見どころは特殊効果で、時代を考えるとかなり斬新で驚かされる。