殊能将之氏が亡くなられて、その出身である名古屋大SF研究会から会誌などの原稿を集めた同人誌、「Before mercy snow 田波正 原稿集」が出た。氏の若き日の様子を垣間見ることの出来る貴重なものである。
殊能将之は以前書いたように自分にとって特別な作家である。そのことは前のブログに書いた。(こちらに移動してあります。一応リンクしますがあくまでも個人的なものなので興味が無い方はスルーしてどうぞ)
で、読んでみた感想は予想以上に面白く、全く古びていない内容・センス・文章にしびれた。初期からその類稀な鋭い批評眼と切れ味鋭い文体は確立されていたものであることが良く分かり(なんと二十歳そこそこだ!)、一方若々しく伸びやかな筆致には殊能将之とはならなかったかもしれない別なレビュアーを想起させるものもある。近い世代として約30年前のSFや映画の話題は大変懐かしく、一方で時代を超越した氏の眼差しには新たに目を見開かせてくれる切り口も与えてくれる。あまりに面白いので一気に読んでしまった。
このような貴重な原稿を纏めて読めて良かった。名古屋大SF研究会と関係者の皆様に感謝したい。