異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

葉山を散歩

ブログ更新が滞ってしまつた・・・。
(止めたわけではありません)
鈍ったブログ勘(<なんじゃそりゃ)のリハビリを兼ねて、今日行った葉山の散歩を軽~く記録。

逗子からバスで葉山方面へ行ってちょっと山登り。

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いつも見ている鎌倉が別角度から幅広くとらえることができて楽しい。

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結構急な山道を小一時間(ぜえぜえ)。その後森戸海岸に。平日でもう9月最終日となれば静か。
珍しくChristopher Crossなぞ聴きながら散歩をしていると・・・

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何やらいわくありそげな古い蔵が。AORムードが一転古典探偵小説モードに!<続きはありません(笑)

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最後は神奈川県立近代美術館葉山のクエイ兄弟展。アメリカ出身の一卵性双生児の兄弟でなぜか東欧の人形アニメーションに影響を受けた作風。ヤン・シュヴァンクマイエルを敬愛していて、Peter Gabrielの"Sledgehammer"はこの人達なので、当ブログ主はよく知らなかったがご存知の方も多いのではないかと思う。

Peter Gabriel - Sledgehammer (HD version)

カフカ「変身」やレム「仮面」もあったぞ(いずれも短いが)。慌てて未読の「仮面」を読み始める(笑)
不気味なタッチで面白かった。10/10までなので興味のある方はお早めに。
美術館の近所にあった山口蓬春記念館も行った。元々本人の住んでいたところが記念館になっているようで、葉山の素敵なお宅にお邪魔した感じがあってこれもなかなかよかった。

『ファンクはつらいよ バーバーショップからマザーシップまで旅した男の回顧録』        ジョージ・クリントン+ベン・グリーンマン

ファンクはつらいよ ジョージ・クリントン自伝 バーバーショップからマザーシップまで旅した男の回顧録
“ドゥワップ・シンガー兼ソングライターとしてキャリアをスタートしたジョージは、リズム・アンド・ブルースからモータウンビートルズストーンズサイケデリック・ロック、ファンクに至るまで、ポップ・ミュージックのあらゆるトレンドを吸収した。70年代には、パーラメントファンカデリックという2バンドを中心に構成された、音楽ムーヴメントのリーダーとして台頭。そして、70年代半ば、クリントン統帥が率いるPファンク帝国は、ソウル・チャートのみならず、ポップ・チャートをも席巻していた。先進的なアーティスト、元祖ヴィジュアル系、クレイジーな哲学者、敏腕なビジネスマン。全てが合わさりひとつになったのが、クリントンだ。彼のような人物は、ポップ・ミュージックにおいて、先例がない。その物語は、セックスやドラッグのたしなみ方はもちろん、スーパースターの名言集、フラッシュライトの演出法、バップ・ガンの使い方、キャラクタービジネス、宇宙論、超古代史、各種の陰謀説、法廷論争(音楽著作権に詳しくなろう)を内包し、想像を絶するほどの創造的エネルギーで展開される。誇張された話のようだが、これは現実である。”(amazonの紹介より)

 ついに出た。我らがP-funkファン待望、総帥の自伝の登場である。10代にロックを始めいろんなポピュラー音楽を聴いたが、高校の頃に知ったP-funkほど自分の志向に合うものはなかった(もちろんPrinceという導入があってのことだが)。煎じ詰めると「頭と腰の両方にくる音楽」ということだ。強固なリズム隊で躍らせ強烈なギターでエモーションを掻き立て肉体に働きかけ、それと同時に異様な宇宙趣味と語呂合わせの聖俗一体となった歌詞世界で脳を刺激する、こんな音楽は他にない。しかしあまりにメンバーが多く、自分が聴き始めたころには既にコアのメンバーが離散状態にあり、低迷期ながら個々の活動は途切れず楽しませてくれさらにその後は人気も回復したものの、結局のところ全体像は後追い世代としては非常につかみづらいものがあった。本書はその穴埋めを十二分に果たしてくれるものだ。
 まず印象的だったのはかなり早い段階からG.Clintonは音楽のプロフェッショナルだったこと。ぼんやりと床屋さんが店に集まってた若者を率いてデビューしたみたいな図を想像していたのだが、床屋もやっていた音楽のプロだったようだ。楽譜も読めず歌もけっして上手いとはいえない人だが、曲を作れるクリエイターなのだという自負がそこかしこに感じられる。振り返ってみるとどんなに状況の悪い時でも彼の活動の中心は音楽でありあまり他のジャンルへ手を出すイメージはなく、相当な年齢だが(先月75歳になった)ステージに立ち続けている。まあ楽器を弾いたりする人ではないということもあるのだが。メンバーへの金払いの悪さからBootsyやBernie(R.I.P.)のど古株の主要メンバーが離れたため、どうにも守銭奴のイメージがついて回るが、音楽のことばかり考えていた騙されたというような発言もあながち嘘ではないのかもしれない。
 音楽への自信からかそれぞれのミュージシャンへの発言も率直だ。新しい音楽を作ってきたという自負があるためJBを古い音楽と位置づける部分もあるし、ZappのRogerも小さい成功で満足してしまった人物と評している。特に印象深いのはBob Marleyの政治への傾倒に強い疑念を抱いている部分で、政治と常に距離を置きながら諷刺をする姿勢を自覚的に取っていたことがよくわかる。またロックへ影響が大きいことも認めており、当ブログ主も自分の音楽体験をとらえ直す非常に良い機会となった。そう、音楽ファンとして自分が帰っていく場所は常にここなんだ!
 ドラッグについての言及にも大きくスペースが割かれているのも本書の特徴だろう。具体的に(あからさまに)記され、公的行事の裏でやっていて見つからないように慌てて隠したなんていうエピソードまで披露している。悪びれないところも実に彼らしい。いずれにしても音楽業界につきまとうドラッグ関連状況の貴重な記録になっている。
 契約問題はかなり複雑怪奇。ポピュラー音楽の成功と挫折でマネージャーとの金銭問題がしばしば挙げられ、『ストレイト・アウタ・コンプトン』もまさにそんな話だったが、いつの時代もどんなジャンルでもなかなか上手くいくのは難しいのかもしれない。
 非日常的なエピソードがところどころに登場するのも彼ならではだ。売れていない若い頃に出会い音楽のヒントを得たという謎のマジシャン(『歩道橋の魔術師』を思わせる)、ツアー移動中道に迷ったらゾンビが出てきて驚いたら『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の撮影中だったとか、コンサートを見守る宇宙人(?)などなど。
 もちろん丸屋九兵衛さんの解説にあるように「信頼できない語り手」であるGeorgeのこと、全てをそのまま受け取っていいのかわからない。しかし巧みな言葉遊びに乗って語られるこの一代記、まさしくG.Clintonにしかできない作品であろう。どんな状況でもクールにそしてユーモアを忘れず、戦い生き抜いたサバイバルの書でもある。自らのバイブルとしたい(ドラッグはやらないけど)。

遅いまとめ丸屋九兵衛トークライヴQ-B-CONTINUED vol.8&9今回のテーマはN.W.A.とPrince!

 またまた遅すぎるまとめ。さる6月7日のQ-B-CONTINUEDはようやく(笑)音楽テーマが登場。しかも2本立てだ!『丸屋九兵衛が選ぶ、ストレイト・アウタ・コンプトンの決めゼリフ』刊行記念!それからPrince追悼・・・。(以下いつものように話題順不同、断片的な個人備忘録用まとめ。※はブログ主の補足 間違いなどありましたらご指摘いただければ幸いです)(8/5追記 丸屋さんのご本人からのご指摘で多々あった間違いを訂正しました。丸屋さん今回もありがとうございました)
 
 ということで第1部は「著書爆誕 N.W.A.祭り」with サンキュータツオ。ということでサンキュータツオさんの司会でN.W.A.がテーマ。映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」の字幕監修を担当した丸屋さんが、字幕に収まりきらないもろもろを詰め込んだ『丸屋九兵衛が選ぶ、ストレイト・アウタ・コンプトンの決めゼリフ』を刊行!著者爆誕というわけでN.W.A.特集。著作に出ている内容もあるので印象に残ったことを箇条書き。
・cruising down the street in my 64という歌詞("Boyz-n-the-Hood" N.W.A.)の64とは64年式インパラのことで「64年式でかっ飛ばせ!」と訳されたりするが、ゆっくり走るスタイルで正しい訳ではない。「64年式でストリートを行く」とした。インパラはびょんぴょん跳ねる(インパラの動画も登場(笑)。
※インパラ

Jumping Impala kids and a Jackal

※車はこんな感じ

Chevrolet Impala 64 hopping lowrider

 

・黒人文化のNegativeなものをPositiveに変える力。N-wordを変化させて自らの仲間内を呼び合う言葉にしたように、台湾系のワン・リーホン(王力宏 Wang Leehon)が使ったのがChinked Out

chinked-out
この人自身はバークリー音楽院を出ているいわば音楽エリート(※その辺はN.W.A.とちょっと違う)。
・アジア系の蔑称にもいろいろある(略)
・Straight Outtaどこどこに代表されるようにhip hopには出身地を誇る文化がある。ルイ・ヴィトンのマスクを持つhip hop好きレスラーのレイ・ミステリオ(Rey Mysterio)は腕に619のタトゥー。出身地のサンディエゴの市外局番で上から見ても下から見ても619になるのがミソ。ニューオーリンズのhip hopグループの504Boyzも市外局番から。
・OGはOriginal Gangstaの意。ベテラン、古強者といった意味。
・西海岸と東海岸のhip hopの大まかな特徴。東はジャズがベース、ファッションは地味。西はファンクがベース、ファッションは長髪・派手(カラーギャングとの関連もある)。西のジーンズに折り目があるのに要注意!(笑)自転車も派手
(派手な自転車こんな感じかな) 

Meet the Godfather of the Lowrider Bicycle
・"Fuck the Police"の歌詞Searching my car, looking for the product Thinking every nigga is selling narcoticsには警察による人種偏見による捜査(racial profiling)への批判がある
・Q-B-CONTINUEDお馴染み長い登場曲の冒頭は曲の方のStraight Outta Comptonから取られているが "You are now about to witness the strength of street knowledge"のstreetの部分がbookに変えられている(何度も参加してきたが気づいていなかった・・・)。

さて休憩をはさんで第2部。まずロサンゼルス・レイカーズのユニフォームに着替えた丸屋さんからHello Tokyo!、Prince初来日横浜スタジアムの第一声がこれだったというエピソード(第一声だったかどうかは忘れていたがオールドファンにはよく知られているものである)。パレードツアーのTシャツもご持参。この日はまだ亡くなってから日が浅く、追悼しんみり気分で参加したのだが丸屋さんから「(周囲の人々に殿下の死に対するショックを心配されているが)まだ信じていない。2Pac生存説もある」と。これは意表をつかれた!そして急にPrinceを語り始めた音楽評論家たちへの違和感に触れる。そしてPrinceが丸屋さんの原点であったこと、憧れ鏡を見ながらイメージトレーニングを行い濃くなかった顔が濃くなった第二次性徴期へ言及。また一番近く接近したのがアルバムEmancipationのプロモーション来日の時で、顔が驚くほど細かったこと、質問をできなかった(指してもらえなかった)無念さについても。それからやたらといい面ばかりが語られるようになってしまったが、聖人君子というわけではなくむしろツッコミどころが多々ある人物であったことを強調。(以下羅列で)

・映画Purple Rainに登場するクラブFirst Avenueの写真
・(各種の例を挙げて)歌詞にみられる女性に対するゴーマンさ。
・結果的には優秀なギタリストだったThe TimeのJesse Johnson、風貌が似ているだけでPrinceファミリーに入れてもらったっぽい。しかしソロでSly Stoneとの共作曲が入ったアルバムShockadelicaを発表した時、同名の曲Shockadelicaを出してちょっとセコイ嫌がらせ(※詳細は忘れたが要はファミリーから自立しようとしているところが気に入らなかったという話だったと思う)。Jesseは訃報後Princeについてインタビューを受けていない(答えない)。
・実はユーモアのある人だった。映画監督Spike Leeはa funny catだったといっている。hiphopやfunkではdogが歌詞やタイトルで出てくるが、Princeの場合はcatがしっくりくると丸屋さん。
・Princeネタのコメディは多い。
・映画Jay and Silent Bob Strike Back主人公はThe Timeの大ファン。(※これかな 

Jay and Silent Bob Strike Back - Morris Day & The Time (End Credits) - HD )
・会場で流されたコメディアンDave Chappelleのプリンスネタ。「作戦、コンピュータブルー!」とかやっている(笑)。Micki Freeは元ShalamarのメンバーでThe Revolutionではない(※Micki Freeはネイティヴアメリカンの血が入っていて、ロック寄りの仕事をしていて当ブログ主的にも興味深い人だなあ)

True HollyWood Stories - Prince | Chappelle's Show
 (※これEddieのお兄さんCharlie Murphyが話しているというかたちなのね。俳優やコメディアンとして活躍しているらしい。Eddieにこんなお兄さんがいたとは知らなかった。ちなみにPrinceがこのネタに対しての感想を聞かれているのもyoutubeにあった。ネタに対して「あれはよかったねー。しかもあれはホントのことなんだよ(笑)」といっていて、(詳細は聞き取れないけど)ユーモアに理解のある人だったことが分かる。 

What Prince thought of Dave Chappelle Skit... )
・Dave Chappelleは顔はまあ近いが歌が歌えない。歌マネならJamie Foxx (※これっぽい 
youtu.be 他の物まねも面白いし、特に歌の上手さがハンパない。繰り返し観てしまう(笑)
・Jamie FoxxはPrinceに会った時の印象として「小鹿のように可愛かった」といい一瞬ゲイだったと腐女子歓喜ネタを投入したことがあるようだ。
Eddie Murphyも「Princeにならなりたかった」といったことがある。
・Missie ElliottのMVなどに登場する似ていないPrince多発問題(※まあこれは多そう) 
youtu.be
・Batdanceは曲というよりParliamentのThe Landingに近い(※コラージュのようなということだろう)。
・音楽的には黒人音楽と一線画するとされるが、Princeはところどころで黒人英語を使っている。映画Under the Cherry MoonにもWrecka Stow = Record Storeの様な言葉遊びがある。(※Muppet ShowのPrince登場回も見つけたがそれも黒人コメディアンの笑いに近い感じがあるね。詳しくないんだが。関連ネタは1分18秒あたりから 
www.youtube.com )
バットマンの映画でStop the pressが「息を止めろ」とひどい間違いがあった(pressとbreathの間違い)。
Quincy Jonesチュッパチャップス事件(どこかのスペシャルライブの映像で舞台上でPrinceが自分がくわえていたチュッパチャップスをQuincyに差出し、一瞬の間がありつつもそれをQuincyがくわえようとしたという出来事。壇上なので雰囲気を察知しくわえようとした器の大きさが光る。※当日GIFがあったので検索したが見つからず。QuincyはPrinceがドタキャンしたUSA For Africaのプロデューサー。ドタキャンについては西寺郷太氏『プリンス論』に詳しい。またQuincyはBadでMichaelとPrinceの競演を画策したが不成功に終わった)
・アルバムDirty Mindの頃は全く踊れていないが、1999では急に踊れるようになっていた。バスケが上手く運動神経がよかったPrinceは猛練習でダンスもできるようになったのではないか。
・曲Do Me Babyを初めて聴いたとき童貞だった人に挙手を迫る丸屋さん(^^;。何故かというと曲の後半殿下の喘ぎ声を聴いて、男性がこういう声を出すものなのかと思った童貞の人ががいたのではないかという・・・ (爆笑)。単なるセックスをロマンティックに歌う黒人音楽の流れがある。またDo Me Babyなどバラードにしてはスネアドラムが重いパターンはReady For The Worldなどに影響を与えた。
・弟子、特に女性を見る目に疑問。VanityやApolloniaはシンガーとしてどうだったか。Carmen Electra, Ingrid Chavez, The Family・・・。
・ここで丸屋さんの好きな曲やアルバムについて。まず好きな曲としてLittle Red Corvette、ベースのブーストされたバージョンが特にとのこと。非常にセクシャルな歌詞で女性の体について歌ったとされるが誰が誰に向かっている歌か考えると面白いそうだ(※いやーこの辺りは歌詞を見直したがかなり難しい)。性別を超えた歌詞としてはGinuwineのPonyという曲がそうらしい。以下アルバム別に羅列。
 Prince。原点の輝き。Stevie Wonderの様に様々な楽器を操り、Smokeyの様に歌うと評された。
 1999。JillとLisaが鞭でPrinceを責めるAutomaticのビデオ(※これは中学生の頃見てひっくり返った。その頃TV神奈川でMTVなど洋楽番組があって、ロングバージョンの曲でもしばしば平気でノーカットで放送されていた。もちろん結構な内容のものでも。さらに驚いたのはSexualityのビデオで一人で歌いまくった最後にカメラ目線で脱ぎ始めるというやつで大変イケないものを見てしまった気分でいっぱいになったのを今でも思い出す(笑)。ただAutomatic自体は曲としては落ちるとの評価で、アルバムが長過ぎるために一部の国(※失念)ではまんまカットされてしまったD.M.S.R.の方がよいとのこと。
 Purple Rain。funkではないのにfunkを感じさせる曲が好きとのことでこのアルバムではI Would Die 4 U。一方あまり力の入っていないfunk曲は好きではないとのこと(※これはなんとなくわかるんだが、実は個人的にはそういうユルめのfunk曲も割と嫌いじゃないんだよね)
 Around The World In A Day。Americaが好き。某カラオケ(※失念)でなぜかRaspberry Beretの珍しいバージョンがあったらしい。
 Parade。アルバムでは最も好き。中でもMountainsが一番好き。New PositionはJB流funkの再解釈。
 Sign 'O' The Times。さほど(※うーんこれは当ブログ主はParadeと並んで好きなので少々残念)。
 Black Album。これは好き(※うっかり手放したんだが再高騰してしまったんだよなあ、失敗。ただ随分遅れて正式発売されてから聴いたのでちょっと時代遅れに感じたんだよな。Bootleg時代に聴くべきだった)
 Lovesexy。好きなアルバムで特にEye No。
 (※時間が押していたので後のアルバムへの言及は少なかった。曲やアルバムについてはもっと聞きたかったなあ)
・最後はPrinceの歌詞から。
 But life is just a party, and parties weren't meant to last(1999から)が引用された。パーティにも終わりがあることを自身が歌っていた。さらに
What's the use of bein' young if you ain't gonna get old(Goldから)も。最後まで老いを感じさせなかったPrinceを思うと何だか不思議な歌詞である。

 あと今回の特集のツボを見事についたバスケのユニフォームを着た方がいらして丸屋さんが絶賛されていたが、当ブログ主はバスケに全く明るくないのでその話題は今回のまとめに入れらなかった。こちらももっと修行せねば。(これも丸屋さんからわざわざ解説をいただいた。その方はミネソタ・ヴァイキングスのユニフォームを着ていて、これはPrinceの出身地にちなんでミネソタのチームでありまたそのカラーがパープル&イエローでロサンゼルス・レイカーズ(こちらはN.W.A.に近い)との類似性を感じさせるという両方の特集を象徴した着こなし。うーんなるほど洒落ている。丸屋さん重ね重ねありがとうございました)
 ということで、特にPrinceのユーモア面というところにスポットを当てるのは丸屋さんらしく他の誰もが真似出来ないところだろう。しかしまずは音楽面でもまだまだ聞き足りないところも多く、是非Prince第2弾を実現して欲しい。お願いします!
 

 

 



 

山尾悠子トークショー

備忘録。

2016年7月16日に『新編 日本幻想文学集成』刊行記念トークイベント《澁澤龍彦のいる文学史 『新編 日本幻想文学集成』の刊行を記念して》 でスペシャルゲストとして山尾悠子さんが登場。(出演:諏訪哲史   聞き手:礒崎純一)

  

https://honyade.com/?p=24858 

比類なき文体で超然と揺るぎない異世界を構築し幻想文学の世界で唯一無二の評価を得ている山尾悠子さん。トークショーと聞いて滅多にない機会なので行ってきた。諏訪哲史さんの飄々とした語り口もあって和やかに進行、作品世界からは背景にいる人物が想像できなかったが意外に気さくに回答をしておられた(例えばフィギュアスケートはお好きらしいが、男子には興味がなく浅田真央選手がご贔屓らしい)。前日は澁澤関連の集まりがあったらしい。筆が遅いことを気にされいる様子もあり、あのような現実とは切り離されたような作品も人の手をへているのだなあとしみじみ思ったり。諏訪哲史さんが種村季弘の弟子であることもはじめて知った(基本、幻想文学系の知識が薄いので)り、有意義なイベントであった。

(その後2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花文学賞を受賞されている。今後も活動が途絶えないことを祈っている)

 

 

 

『クレオール語』 ロベール・ショルダンソン

クレオール語 (文庫クセジュ)

“ヨーロッパの植民地社会で育まれ、特別な歴史を体現するにいたったクレオール語は、どのように発生したのか?本書は、ピジン語との比較検討やこれまでの理論的研究を手際よく紹介したうえで、社会言語学にもとづきながら独自の説を提唱している。クレオール文化にも、音楽・料理の観点から迫る。”(amazonの紹介より)

 パトリック・シャモワゾーを読んでいるとクレオール語やクレオール文化に興味がわいてくる。パトリック・シャモワゾーは西インド諸島にあるフランスの海外県マルティニークの出身でフランス語圏の作家ということになるが、ヨーロッパに支配された歴史とその結果生まれたクレオール語が大きなテーマになっている。そもそもこのクレオール語の定義であるが、本書では「古くからヨーロッパ人が入植した植民地で出会うヨーロッパ語らしきことば、そして、ヨーロッパ人入植者の言語に由来するのが明らかであるにもかかわらず、独自の自立した言語体系をなしていることば」(P8)と書かれており、元の言語・地域の制約はない幅広くさまざまな言語を包括した概念である。ただその中で、フランス語から発生したクレオール語がカリブ海の諸地域に加えアフリカのレユニオンなど大きく地理的・歴史的条件の異なる複数の言語が存在し、また厳密にはクレオール語ではないがカナダのケベックのようなまた別の条件のフランス語地域もあり、比較により研究しやすいというところがあるようだ。そうした関係から漠然とカリブ海地域の言語が連想されるやすい印象がある。スペインも世界中に植民地があったが、宗教教育が熱心で言葉もきちんと教えていたために、クレール語化しなかったというのはなるほどと思った(P95)。
 さてブログ主は当然ぼんやりとクレオール語という言葉をなんか面白そうな世界だなーと思っていただけなので、本書の内容はいろいろ勉強になった。たとえばピジン語という言葉があって、ナイジェリアのFela Kutiの曲の歌詞はピジン英語だというような話を聞いたことがあったが(例:thinkがtinkのように聞こえる)、このピジン語は少なくとも初期の段階は「ほとんどの場合は商業用の、限定され臨時の関係をむすぶための言語」だったということだ。つまり他に母語があるが、母語で通じない相手とコミュニケーションを図るために生まれた言語ということだ。著者はクレオール語とピジン語がしばしば混同されることについて厳しく批判をしている(ピジン語がクレオール語化する例を完全に否定しているわけではなく、あるが極めてまれだということらしい)。また著者はクレオール語に普遍的に適用できる(たとえば子供の言語発達の研究から推論を加えていくような)理論については懐疑的なようで、個別の歴史的背景を丁寧に追うことの方が重要としている。そのため基本的なアプローチがフランス語からということになるので、アフリカ言語の関与を軽視する視点だと批判されているようだ。ただ植民地では仮に同じアフリカからの奴隷といっても言語が全く異なり奴隷同士でコミュニケーションが取れなかったというエピソードが紹介され、その地域の支配階層の母語をベースとせざるを得なかったというのは説得力があった。
 ではどのようにクレオール語が生まれたかについて本書では、まずヨーロッパ人がやってくるが男性中心で原住民や奴隷女性を妻として混血児が生まれてくる。その段階ではまだ物資が十分ではないのでヨーロッパ人もさほど豊かではなく支配はしているが一緒に生活している状態。奴隷も高価で人数も少ないため小農園社会で言語もヨーロッパ人のものからあまり離れない。その後インフラが整い経済的に成長すると奴隷の数も増えプランテーション社会が形成され、現場の指揮は現地生まれのクレオール奴隷が取るようになる。そこで現地固有の言語に変化していく、ということらしい。もちろん植民地支配で行っていることは非道いことこの上ないが、話の流れとしては理屈が通っている。ただいろんな理論があって意見が分かれているようなのでまた別の論も読んでみたい。またクレオール言語は「文字に書かれないことば」なのでなかなか研究は大変そう。本書ではクレオール語が文字表記で比較検討されいているが、要は当て字とのことだ(あとがきで触れられているが、先に書いておいてよ(笑)。
 上記の紹介では「音楽・料理の観点から迫る」とあるが、巻末にちょっとだけ。基本的に言語についての本(当たり前だが)。ただ音楽や料理の話は楽しそうで、訳者あとがき含め、著者も訳者もトータルとしてのクレオール文化に惹かれているのだなあということが伝わってくる。