異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。

2021年8月に読んだ本

 調子はまあ同じですかね。
 他にランダムにいろいろ読んではいるんですが、読了本数としては低調ですね。今月はちょっとクラークを読んでました。
『太陽系最後の日』(ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 1)
 いわゆる<方程式もの>の先駆、「破断の限界」が面白かった。他「幼年期の終わり」「都市と星」などの作品に直接間接に連なっていく作品が並び、クラークの着想や視点を垣間見ることができる。ただ、表題作の<人類スゲー小説>(©️瀬名秀明)のノリはさっぱりわからない(当方のSF原体験が敗戦の屈折した感情から生まれた日本SFだからだろう)。あと、クラークは現代SFの源流といえる作家なので、そこにいたる英米のSFのルーツ・影響をコンパクトに振り返る中村融氏の解説も素晴らしかった。SF史がすっきり頭に入る内容。
『白鹿亭綺譚』アーサー・C・クラーク
 クラーク版ほら話=バー・ストーリー(ダンセイニのジョーキンズに直接の言及も作品中にある)。いかにもクラークらしく荒唐無稽な話をハードSFに落とし込んでいく短編集。こちらも安田均氏の解説が素晴らしく、トール・テイルのあらましとSFジャンルにおけるトール・テイルものの紹介が記されていて、参考になる。以下印象的だった2作について。
「隣の人は何する人ぞ」日本人科学者が登場するが、文明と核、人類全体への悲観など日本SFの本質を捉えていることに驚かされる。実作にあたっているとは思えないので本質を見抜くことができるということなのだろう。さすがである。
「尻ごみする蘭」ウェルズの短編みたいだなと思いながら読んでたら「めずらしい蘭の花が咲く」の作品名まで言及されていた。そんな大らかさが(オチなど含め)時代を感じさせる。
 『太陽系最後の日』と合わせ、いわゆるSFアイディアは余さず扱っていたのではないかというくらい様々なアイディアに挑戦している(まあ翻訳されているものでも未読は沢山あるのだが)。最もSF作家らしいSF作家といえる人だろう。ただ、全体に大らかなセンスにはどこか合わないところを感じてしまう。この辺は相性の問題としかいいようがないのだが。