以前ちょっと観ようかなと思っていた映画、偶然やっていたので観た。
予備知識無く観始め名画のパリの様な色合いの映像だなあと思っていたら、何とタイムスリップファンタジーだった。
主人公は脚本家で食えるだけの力がありながら小説家を志している男で、裕福な婚約者の一家のパリ行きに一緒に連れて来てもらっている。男は住もうと思うぐらいにパリが好きで、特に1920年代のパリ文化に憧れている。婚約者は小説家より手堅い脚本家に戻ることを希望していて、自分の父親との折り合いも良くない主人公に対しやきもきしている。そんな中、婚約者の知人のインテリ男がガールフレンドと偶然現れる。執筆のはかどらない主人公と婚約者の間にひびが入りはじめ、ヤケで飲み過ぎた主人公は道に迷い、不思議な車の一行に誘われパーティに向かう。その先は憧れの作家やアーティストが集う1920年代のパリのサロンだったのだ。
映像の質感はパリ文化への憧れが理由なのね。いわばパリ萌えファンタジー。ちょっとネタばれ、
1920年代で主人公は絵画モデルと恋仲になるのだが、その人はさらに昔のベルエポックの時代に憧れていて、そこに住みついちゃうんだよね。その時慌てた主人公は「ベルエポックの時代の連中はルネッサンスに憧れているかもしれなくて、切りがないかもしれないぞ」と言う。そういう現在ではない過去を理想化するノスタルジアの無限の連鎖みたいなものが皮肉に描かれていた。全体としてはストレートなパリ愛に満ちた甘味が強めの映画だったが、そういった少しの苦味のため嫌味は感じなかった。個人的には有名作家やアーティストがどの世代かあまり覚えていなかったので、1920年代(狂乱の時代)とベル・エポックの顔ぶれが覚えやすくなったので助かる(笑)。
婚約者のレイチェル・マクアダムスはデ・パルマの「パッション」の人だな。美人なんだけど性格のよろしくなさそうな(笑)不穏な感じがこの作品でも出ていて、そんな役ばかりやらされそうな気がした。