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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

映画『スター・ウォーズ フォースの覚醒』『ストレイト・アウタ・コンプトン』

 あんまり関連のない2本だけど、同じ日に観たので。

スター・ウォーズ フォースの覚醒』
 これが7作目ということだが、ファンには御存知の通り一応元から9部作の構想で、公開順と話の時系列が違っていて、1977年に最初に公開された3作分が全体の4番目から6番目(エピソード4~6)ということでそこでひと段落し、1999年に再開されて続いた3作(エピソード1~3)は最初の3作の前日譚つまり全体の1番目から3番目ということになっている。とはいえ初公開から40年弱といえば時も経っている。熱心なファンではないもののまだ大作SF映画が多くはなかった1980年当時『帝国の逆襲』に大興奮した世代としては、構想通りの9部作は難しいと何度も危ぶまれていたことも記憶にあるだけに(9作あるいは6作という数字についてルーカスの発言は二転三転しているが自分の記憶では早い段階に9作という発言はあったという認識)、ここまでたどり着けたことにまずは感慨を覚えてしまう。特に再開初っ端エピソード1『ファントム・メナス』はなんだかコレジャナイ感もあってシリーズの先行きに不安を覚えたこともあったし・・・。
 結論からいうと個人的には大満足の出来だった。結局上記のコレジャナイ感の最たるものは映像の質感だった。妙にきらびやかな宮殿や派手なテクノロジーが目立ったような気がしたのだ。公開第1作エピソード4『新たなる希望』で新鮮とされていたのは汚れた宇宙船という表現だった。SFといえばいかに最先端の出来たてのピカピカの機械を出すかだと作る側も観る側も思いこんでいた時代にルーカスが提示したのが「はるか遠い昔話」という設定と日常化し埃にまみれた機械だったのだ。『フォースの覚醒』では序盤から見捨てられたような砂漠の星に破壊されたAT-ATが倒れ、ジャンク部品を売ってわずかな金を稼ぐレイの姿が登場する。もうこれで十分。シリーズのコアの部分は何といってもそこだ(自分にとっては)。あと付け加えればドロイドBB-8の愛らしさにもシリーズらしさがあり、全体に製作者がシリーズに対し深い理解を示していることがよく分かる。エピソードとしては1983年公開『ジェダイの帰還』(公開時は『ジェダイの復讐』)から続く内容で、つまりは32年リアルの年数が経過しているのを考えると継承というのはそれ自体大変な事で良い仕事をしているなあと感心せざるをえない。また新キャラクターに女性や黒人を迎えているのも正しい選択でレイのデイジー・リドリーはキリッとしたルックスで、寝返った帝国兵士で逃れたい一心の凡人キャラなんだけど頑張るフィンのジョン・ボイエガはユーモラスなキャラクターで、いずれも世代交代のイメージを出すのに成功している。監督のJ・J・エイブラムススター・トレックのリブートでも分かるように良くも悪くも手堅い人で、無難な選択に走る(既存の枠組みに乗る安直なチョイスをする)ところに好みは分かれるとは思うが自分としては楽しく観られた。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』
 治安最悪といわれるカリフォルニア州コンプトンから登場し、黒人たちの現実を生々しく切り取りヒップホップを新しい世界に導いたグループN.W.A.の伝記映画。P-funk好きだがG-funkをちょっと聴いた程度というブログ主はN.W.A.の存在は知っていたものの位置づけがよく分かっていなかった。アメリカで大ヒットしているというこの映画(黒人映画監督作品の興行収入を塗り替えたという)の公開にあたり、丸屋九兵衛さんのツイキャスなどで多少予備知識を得、CDを購入し準備した。
 N.W.A.はおそらく今ではスヌープ・ドッグエミネムのプロデューサーとして知られるDr.Dreと音楽・俳優業の両方で成功を収めたIce Cubeを輩出したグループとして認識されているのではないか。しかしそこにはドラッグディーラーあがりでグループの資金源であり音楽を足を洗うきっかけとしていたEazy-Eという重要なキーマンがいた。ラッパーとしては上手いとはいえないがリアルな彼らの歌詞(主にIce Cubeによる)を真に体現していたのはEazy-EでN.W.A.をDr.Dreと立ち上げた人物でありまさしく顔というべき存在だった。映画はこのEazy-Eの栄光と挫折の軌跡を辿っているといってよいだろう。もちろんある程度の脚色はあるだろうがかなり突っ込んだエピソードが描かれ、当時のヒップホップの歴史とLA暴動などの時代背景がよく分かるようになっている。かなり多くの登場人物が盛り込まれているものの実に手際よく表現されていて初心者にはありがたい。それでもエンドクレジットには観ている時には気づかなかったChuck DやWarren Gの名があり、これはDVDが出たら確認したくなる。あとメンバーと俳優のルックスは結構似てたんじゃないかと思う。特にIce Cube役。<あれは実の息子
 何はともあれ時代の節目に暴れ回った若者たちの青春群像としても面白くヒップホップに詳しくない人にも十分楽しめる内容だろう。