読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

「ポピュラー音楽の世紀 中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」展を観てきた

ポピュラー音楽

 武蔵野美術大学で行われている「ポピュラー音楽の世紀 中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」展を観てきた。mauml.musabi.ac.jp

 以前のブログで書いたことがあるが、当ブログ主は中村とうようミュージックマガジンに影響を受けてきた(特に80~90年代)。ちょっと偏った物言いの多い人ではあったが、圧倒的に厚みのある音楽知識と一貫性のある批評眼で常に変化する同時代の音楽を現役の評論家として切り続け編集者としてレポートの場をつくってきたことは聴き手としてはありがたかった。またいわゆるロック世代の評論家より世代が上だったのもロックを中心にポピュラー音楽を聴いてきた身としては大変刺激的だった。いずれにしてもいち音楽ファンとしてはその影響から逃れようとしても強烈なインプリントをされた存在で、なかなか相対化できない人物である。代わりとなる人はいないんじゃないかなあ。
 2011年にもそのコレクションによる展覧会が同じ武蔵野美術大学で行われていたが、当時は忙しく結構遠いこともあって行きそびれた(会期中の自殺をどうとらえたらいいかわからなかったというのも多少は影響した)。今回は面白そうなイベントが並んでおり最低でも一回は足を運びたいと思ったが、ワールドミュージック系はご無沙汰で一番聴いているのが古いアメリカの音楽で、ぴったり当てはまったのがこの日のイベント「アナログ・レコードに聞くアメリカ音楽黄金期
ロック以後のアメリカ音楽とは違う、初期アメリカ音楽のゴージャスでリッチな世界をとことん楽しむ」。出演は展覧会のモデレーターを務めるラテン音楽など幅広いワールドミュージックの評論家田中勝則さんとアメリカ音楽に精通したこちらもお馴染み萩原健太さん。中村とうようがも持っていたという蓄音機でSPレコードを10曲余りもフルで正面近くで聴くことができたよ!ぜんまい仕掛けなんだけど結構音が大きい。SPレコードの全盛時代は1920年代後半辺りらしくパティ・ペイジやダイナ・ワシントンやフランク・シナトラの音楽を聴いたんだけど、当時らしい優雅さと(生まれてもいないのに)なぜか郷愁を感じさせるものがあって大変素晴らしかった。ヤバいぞ蓄音機(笑)そしてこの時代のヴォーカル音楽に蓄音機が合うらしい。また蓄音機研究家のマック杉崎さんが修理して音が良くなっているそうだ。クラシックとポピュラー音楽、白人音楽と黒人音楽といった分類が行われる以前の相互の影響関係も感じることができた。田中勝則さんは「蓄音機は(当時の音楽を聴いていたものをそのまま届けてくれるので)タイムマシーンのようなものだ」ともおっしゃってたなあ。いつもながらの萩原健太さんのユーモアたっぷりの解説も楽しかった(生で見るのははじめてだけど)。あと萩原健太さんは「新譜をあんまり聴かないようだったら、Apple Musicは昔の音源ならいくらでもあるからいいぞー。音源が並んでいるだけだから情報は自分で調べたりしないといけないけど」とおしゃっていたので早速無料体験3カ月の登録申請した(笑)
 実はスケジュールを見ればお分かりいただけるように蓄音機のデモンストレーションはイベントじゃなくても、展覧会の会期中展示会場で1日複数回行われている。面白いのは蓄音機の種類で、レコード型のメディアを再生するものだけじゃなくてエジソンが開発した円筒型のものを再生するタイプもある。レコード型のものがよく知られているが実は針をこまめに変えないとSPレコードがすぐボロボロになってしまうらしくよくない面もいろいろあるようなのだが、レコード型の方が大量生産がきいて保存場所もコンパクトで済むことなどからエジソン側が敗北したらしい(エジソンは元々音楽再生を考えていなかったこともあるようだ)。
 中村とうようの珍しいレコードや楽器のコレクションも見ていて楽しい。様々な種類の親指ピアノが並ぶ壁は壮観。
 (あと意外に著作が少ないことや貴重な研究が海外に発信されていないというコメントはなるほどと思った)
 おすすめは図録。田中勝則さんがイベントの出席者と対談を行い、様々な面から中村とうようや彼の紹介してきた音楽を振り返っていて非常に面白いしコレクションの写真も貴重。田中勝則さんがコレクションの整理をしているそうで頭が下がる。
 もう一度行けるかな・・・。遠いんだよな・・・(苦笑)

※追記 かかった曲のメモ
・南京豆売り(アーティスト名聞きとれず)
・Annette Hanshaw 'You'll always be the same sweetheart to me'
・Helen Morgan 'Bill'
・Bing Crosby and the Mills Brothers 'Shine'
・John Mccormack 'Silver threads among the gold'
・カペー弦楽四重奏団 ベートーヴェン弦楽四重奏曲 第15番 第2楽章(たぶん)
・Mildred Bailey 'That ain't right'
・Ethel Waters 'Miss Otis regrets'
・Lee Wiley 'You took advantage of me'
・Billy Holiday(with Teddy Wilson and his orchestra) 'Miss Brown to you'
Frank Sinatra 'Nancy'
・Les Paul and Mary Ford 'Bye bye blues'
・Doris Day 'Again'
・Patti Page 'You belong to me'
・Dinah Washington 'Stormy Weather'
・Stan Freberg 'C'est Si Bon'