異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

『おおかみこどもの雨と雪』TV視聴

 さきほど日本テレビでやっていたので観てみた。

 大学で知り合った「彼」が実は狼人間と分かった主人公の花。しかし二人は深く愛するようになり、やがて二人の子どもも生まれる。そんなある日その「彼」が交通事故で亡くなってしまう。誰にも相談できない中で花は懸命に二人の子、雨と雪を育てる

 話題の作品だったので観る前から評価の分かれる作品だなあとぼんやり認識をしていたが、なるほどこういう内容だったか。

 元々アニメには疎く特に最近のものは全く詳しくないのだが、映像的に非常に美しく良質なファンタジー作品だったと思う。一応狼人間(狼男)の系譜の話だと思うが、これまでの狼人間ものというと、ゴシック調の話や都会の孤独を描いた様なハードボイルド風味の話などが連想されるが、この作品は日本的抒情の中に子どもの狼人間の成長と母親の苦悩を描いたというのがなかなか新しい。狼人間っていかにも西洋的なモチーフだと思うんだけど、それを和風ファンタジーに取り込んじゃったわけね。これは上手い。
 一方、問題となるのが自然志向強めかつ母性信仰的な側面が目立つところ。これは違和感を感じる人の気持ちは分からなくもない。現実に小さい子ども抱えていると、花のように常に強く優しくあることなんか不可能に近いのは当たり前だし、女性の場合にはそういった母性を期待する世間の目が常に重荷になってるしね・・・。そんな難題が作品内では(いろいろありながらも)結局解決しちゃうのを観るとフィクションとはいえ、ちょっと待てよとなるわな。

 まあ子どもたちが赤ちゃんだった頃のパートは、都市部を舞台にした時に細々とした息苦しい描写が増えてしまいファンタジーが成り立たなくなるために舞台を地方に移した一つの演出として割り切って、二人の小学校時代の部分が主要パートと見ると、二人の道が別れていくのはむしろ過度な文明批判に陥らず人間と自然をバランスを取って描写しているとも受け取れる。おそらく全体としては日本的な風景の中で自然回帰の夢をアニメという抽象化した表現で美しく描こうとしたのではないだろうか。理想化された子どもたちの純粋な心の触れ合いもアニメなので不自然にならず美しく表現されていた。
 狼人間の変身シーンにばかり力が入り、結局B級っぽくなってしまいがちな実写映画の罠に陥らず(笑)、毛深くない狼男を平然と打ち出してくるセンスが非常に現代的で、暑苦しくない狼人間像を提示し幅広い支持層を獲得した製作者の手腕はお見事。アニメの特性をよく活かした作品で非常に完成度が高いと思う。