異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。

2019年8月に読んだ本

相変わらず低調(あっちこっち断片的に読んでるパターンが続いてる)。
『雪降る夏空にきみと眠る』ジャスパー・フォード
 冬眠を中心にした社会というのをこれほど真正面から扱ったSFというのもなかなかないのではないか。ディストピア社会の状況、個性的な登場人物たちの造型や関係性など面白い点は多々あるが、なかなか豪快なアイディアなので多少つくりものっぽい感じと死者が多く出る割には淡々と進行する感じでもう一つ趣味に合わなかった。
『異形の愛』キャサリン・ダン
 自身の子どもをデザインして見世物小屋ファミリーを形成するという衝撃的な小説。1989年発表ということで本人のユニークなキャリアと共に作品の発表が事件となったことはよくわかる。読む者のの常識を揺さぶる作品だが、一方でアメリカらしい家族の物語なのだなあとも感じられた。

2019年8月の旅行

今月上旬に奈良旅行に行ってきたよ。

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やっぱり大仏は大きかった。

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鹿のみなさん。

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そして夢殿!厩戸王子!日出処の天子!テンション上がりまくり!気温も上がりまくり!(暑かった・・・)

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春日大社の鹿のおみくじも可愛い❤️

興福寺の阿修羅像、生まれて初めて見たんだけど素晴らしかったな・・・。あの細い腕の長さに少年の非日常性が現れているんだなー。

 

おしまい。

2019年7月に読んだ本

7月はいろんなつまみ読みが多くて、雑感としても書けるのはこの程度
『愛なんてセックスの書き間違い』ハーラン・エリスン
 SFアイディアがない分、エリスンのエモーショナルな面がわかりやすく出ていて面白い。自信満々に見えたエリスンだが、解説にある「自分がインチキではないかという疑念」につきまとわれていたというのは非常に興味深く、たしかに一部の作品には作家の不安が描かれている。
『霊応ゲーム』パトリック・レドモンド
 抑えめに不安を高めていく前半と、畳みかけてくる後半のコントラストが効果を上げていて、それなりの長さを感じさせない。ポイントとなる登場人物が、巧みに予想とずらされていてそれも良かった。ただストーリーやエピソードはかなりキツめなところが多く、未読でそういうのが苦手な方はご注意を。
『ドイツのロック音楽―またはカン、ファウストクラフトワーク』明石政紀
 最近ドイツのロックいわゆるクラウト・ロックをよく聴いている。Brian EnoがらみでDavid Bowieのベルリン三部作だとかEno & C;lusterだとかKraftwerkHiphopの関係性だとかそういえばいろいろ面白いかもと思ったのだが、一番のきっかけはHolger Czukayが早期からワールドミュージック的なアプローチをしていたのとDubにも取り組んでいたことに気づいたのである。
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Holger CzukayのCool in the PoolはParliamentのCrush Itに妙に似ていたりするのも面白いと思った(Holgerの方がより混とんとしていて少し早い)。
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さて本の方は20年前でちょっと情報としては古いのだが、名の知られたバンドにしぼられていて初心者としてはわかりやすくまとまっていた。曲が秒数表示なのはわざとかもしれないがちょっと一般的ではなくあまりいいとは思えない。
ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書』ジェフ・ヴァンダミア
 ファンタジーやSFの創作方法をユニークに解説した本。

2019年7月に観た美術館、ライヴ、TVドラマなど

 ちょっと早いがそれなりにいろいろあったので今月まとめ。いつにもまして身辺雑記風。
学会で岡山に行ったので観光もしてきた。岡山ははじめて(実は母方の祖父祖母が岡山出身でルーツの一つなのだが、二人とも結婚してすぐ神奈川県の川崎市に引っ越したのでほとんどの親戚が東京にいて岡山に行く機会がなかった)。不勉強ながら岡山城のすぐ後ろにあるので後楽園と知った。庭園は基本的に好きなので行けただけでも満足だったが、水田や茶畑があるのが面白かった。
さらに倉敷にも行ってきた。美しい古い街並みが素晴らしかったが、驚かされたのは大原美術館。明治生まれの画家、児島虎次郎が親しかった倉敷の実業家大原孫三郎の後押しで1930年に創設された美術館で、印象派からポップアートまで国内外の有名な作品や美術家がずらりと並んでいた。彼らのセレクションが日本で紹介される芸術家の傾向に相当影響を与えていて、そのため知ってるものばかりに見えるのではないか。そういう意味で非常に日本美術史で重要なコンビのように感じられる。あと工芸館で知ったのは東京高等工業学校(東工大の前身)には図案科や窯業科があったこと(職工の育成も創設の目的だったから当然か)。
星野仙一記念館は少し迷ったが入らなかった(笑)。
Twitterのお告げで古京文庫(土地名でふるぎょうと読むようだ)にも足を運び記念の数冊を・・・(いつものことであった)。
そうそう岡山で食べたままかりは美味であった。また行きたい。
Twitterで偶然気づいたジャネール・モネイZepp Diverⅽity Tokyo)のライヴに慌ててチケットを取り行ってきた。
ジェネール・モネイこそP-funkのアフロフューチャリズムを受け継ぐまさしく後継者といえる存在だからである。とはいえ最近情報に疎いため、いろいろなことを取りこぼしているようなのだ・・・・とはいえ気づいたし行ける日(しかもどうしても行けないフェスを除けばワンデイライヴ!)という幸運の重なりに感謝しつつ参加したライヴは、濃密な隙のないパフォーマンスと徹底したファンサービスの中に差別と戦うストレートなメッセージ性があふれ最高だった。キャブ・キャロウェイ、JB、マイケルにジャネット、プリンス(一瞬見せた猫ポーズは犬文化アウトローであるプリンスの系譜からだろうか)、P-Funkなどの先達の影響や公民権運動など歴史意識といったブラックカルチャーの歩みを強く意識させるところも多くあった。一瞬見せた猫ポーズは犬文化アウトロー、プリンスの系譜からだろうか(笑)。今回のライヴについてはオジサン客が多いことに端を発したTwitterでの小騒ぎがライヴ後にあり(某音楽評論家が若い女性がもっと参加すべきだとTweetし批判が多かったためかそれを削除)、いちおうオジサンの一人として言及しておこう。ジャネールの曲はポストヒューマン的な意匠をまとっているが、近い世代の女性の視点からLGBTの様な社会的弱者へと広がっていくという要素がある(性的な内容もある)。そのため、抑圧する側の年長男性がジャネールの良さを伝えるといった図式に違和感を覚える向きもあるだろうし、自分自身が場違いな存在だと全く疑わなかったわけでもない。ただ臆せずストレートなメッセージを発し非常に高度なショウとして完成させているジャネールの姿はオジサンである自分にも勇気づけられるものがあったのは事実であり、記載しておきたい。

AXNミステリーの「犯人はこの中にいる」録画していたのを観た。原題はOne of Us、60分4話完結。スコットランドの田舎町を舞台にした、タイトル通りの本格ミステリで荒いところもなくはなかったが、スコットランド雄大な自然が謎解きとマッチしていてなかなか良かった。

おまけ。今月の録画消化スタトレ。S9シーズン4の24話 「星に死の満つる時(The Quickening)」、ある星の病の治療法を見つけようとするという点では先日観た宇宙大作戦の「400歳の少女(Miri)」と同じ話なんだけど、後者がシンプルな問題解決ストーリーなのに対し、病の苦しみへのアプローチの問題とか扱われ30年の時代の違いを感じた。

※追記 そうそうホテルのオンデマンドで映画「search/サーチ」も観た。SNSスマホやTV画面の中のみでストーリーが展開するいかにも現代らしい映像表現のサスペンス。それもそのはず監督のアニーシュ・チャガンティはまだ20代らしい。リブート・スタートレックのスールー役のジョン・チョーが失踪した娘を探す、アジア系が主人公なのも親しみやすい。非常に完成度が高かった。以前劇場で予告編を観た時から気になっていたが、劇場よりも家やPCなどの方が向いているタイプの作品だと思う。

2019年6月に読んだ本

kazuouさん主催の第22回怪奇幻想読書会に参加、kazuouさんも書いておられる通り怪奇幻想色が特に強い会でいろいろ知ることができ楽しかった。
ということでまずは課題図書から。
『イギリス怪談集』
 正攻法の怪奇幻想集だったので、個人的には異色作家短篇集などに比べると少々胃にもたれる感じがあったが、個々の作品は粒揃い。あとで再読だったことに気づいたが(笑)音楽をテーマに幻想的な描写が素晴らしい「悪魔の歌声」がベスト。他に善意ながら人を惑わす亡霊「霧の中での遭遇」、ウェルズらしい理屈の「赤の間」、ストレートな幽霊屋敷もの「判事の家」、見えない恐怖を鮮やかに切った「目隠し遊び」、子どもテーマでダントツに怖かった「ハリー」、妙にリアルな解決にいたって奇妙な味に寄る「ハマースミス「スペイン館」事件」、海洋怪奇ものが複数にあるなかに不気味さが心に残る「上段寝台」などもよかったかな。
『いにしえの魔術』アルジャーノン・ブラックウッド
 いろんなモチーフを使い、幅広いタイプの恐怖を描こうとしてきた作家なのかなという印象。そうした意味では怪奇にこだわった怪奇作家の代表的な存在といえるのかもしれない(まだまだ一部しか読んでいないが)。コスミックなセンスも特徴といえそう。集中では、表題作が異邦人の不安を背景にストーリーの起伏もあってやはり一番かな。故郷へ出戻った人間の孤独を反映した「獣の谷」、終盤の強迫ともいえるほどの観念的な描写に評価は分かれるもののエジプトへの憧憬が伝わる「「エジプトの奥底へ」も面白かった。「秘宝伝授」や下記『ウェンディゴ』の「アーニィ卿の再生」にボンクラな二代目をどう教育するかといったテーマが出てきて当時の社会を偲ばせる。
ウェンディゴ』 こちらも読んでみた。森、砂、風と火、それぞれをテーマにしたような3作。一番怖いのは表題作かな。「アーニィ卿の再生」のコスミックな感じも印象に残った。
『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』木犀あこ
 シリーズ最終巻で連作らしいつながりを持つ流れがより明確に打ち出され、大団円を迎える。登場人物たちにもう会えないのは少々残念だが、全体に著者の怪奇小説論としての側面があるメタフィクショナルな構造を持つシリーズで、新鮮だった。
『アーダ』ウラジミール・ナボコフ
 ナボコフ晩年の、自身の遊び心が炸裂したという作品らしく、言語遊戯・自伝的要素・改変歴史ものの枠組みなどなどかなりはっちゃけた内容になっていて普段にもまして全体像がとらえづらい印象。後年の作品ということもあり、書かれた年代的に細部の面白さがわかりやすいところもあるが。
『方形の円』『ギャルゲ・ササルマン
 SFマガジン掲載時に名前のインパクトで忘れがたい印象を残した作者だがなんとカルヴィーノ『見えない都市』と重なる奇想都市カタログといった趣向(書かれたのは同時代でカルヴィーノに追随したわけではないようだ)。各編につけられたマークも内容を反映していて洒落ている。著者の日本文化への関心、ル=グインが本書を高く評価していたこと(そのあたりの経緯を書いた分も載っている)、なかなか意外な話があり、日本文化への巻末の酉島伝法氏の解説もまた内容と呼応した体裁になっているなど遊楽しい一冊となっている。
『エコープラクシア』ピーター・ワッツ
 『ブラインドサイト』の続編。ワッツについては意識に対する高い関心が特徴となっているが、個人的には最先端の宇宙SFにヴァンパイアが登場する怪奇趣味のミスマッチがユニークだと思っている。渡邊利道氏の解説が大変素晴らしく、作者の描こうとしているものをわかりやすく伝えてくれてありがたい。

TVシリーズもろもろ備忘録

最近昔のTVドラマシリーズばかり観ている。
理由はスーパー!ドラマTVでやっているスタートレックを片っ端から録画しているのと、夏にオスマン帝国外伝シーズン3が放送されるらしく、HDDの空きをつくらなきゃいけないので(HDDを複数にするのは面倒だから避けたいのよねえ)。
とまあかなりしょぼい理由なのだが、とにかく観ているのはスタートレックTOSTNGDS9)、座頭市刑事コロンボ
スタートレック
TOS 第9話Dagger of the mind悪魔島から来た狂人。ヘレン・ノエル博士はカークの元カノ。スポックの心霊術治療、神秘主義的な側面が。
第11、12話The Menagerieタロス星の幻怪人10数年前の事件ということでその時の制服や小道具がちょっとレトロ調を意識してるのが可笑しい。だって10年ぐらいしか経ってないのに。ポリティカル的にいろいろアウトな回だが任務にともなうシビアな後遺症とか軍法会議とか基本的にミリタリものなのだなという気も。
・ランダム視聴だが基本的にはそれぞれのシリーズについては順番通りに観ている。ただエリスンの名作ということでこれは先に観てみた。TOS 第28話「危険な過去への旅」(The City on the Edge of Forever)。近過去を舞台にしてメロドラマっぼいフォーマットを敷き、各キャラクターも生かされ、エリスンさすがのセンス。さらには制作時のTVドラマらしさにも時代が感じられそこも味になっているところもなかなかのマジック。
ds9 のオブライエンの妻は日系のようだ。あとシスコ艦長の父親ニューオリンズクレオール料理屋をやってる。
座頭市
・『座頭市物語』 第14話「赤ン坊喧嘩旅」大谷直子岸田森が出てるが、悪役の中山仁村上弘明に似ている。不気味な岸田森も良かった。第23話「心中あいや節」松平健(新人)浅丘ルリ子石橋蓮司吉沢京子が出る雪深い村の瞽女もの。雪の中の撮影も多く、勝新太郎監督の力作。
刑事コロンボ
 長年消化してきたがあと残り少し。64話「死を呼ぶジグソー」(Undercover)は倒叙ではなく殺人も登場するもののメインは宝探しミステリ。ファッションとかハードボイルドの変形としての側面が感じられるコロンボが先祖返りしたような作品で、銃が苦手なはずのコロンボが銃で相手を脅したり、匿名で捜査をしたり。登場人物も多くが恵まれない生活を送っている人々でセレブ中心の通常と違う。バディものっぽい感じにもなっている。ファンの一部が首をひねるだろう内容だが、個人的には楽しめた。吹き替えで観たのでいろいろ変身するコロンボの生の台詞を聞き直したいと思っている。

2019年5月に読んだ本

『郝景芳短篇集』 郝景芳
 「折りたたみ北京」の著者の短篇集が登場。1984年生まれで若い頃から文才に恵まれ物理学部に入学、経済学の研究者になったという万能型の天才といった印象の人だが、作風はその科学的な側面と温かな情緒を感じさせる面と両面がある。また病院を舞台にした作品には自身よりも旧世代っぽい香りもあったりする。作品はどれも高水準でさらなる紹介を期待したい。
『折りたたみ北京』現代中国SFアンソロジー
 こちらも読んでみた。表題作や翻訳が控えている『三体』の一部「円」以外では「鼠年」「童童(トントン)の夏」「沈黙都市」「蛍火の墓」あたりがよかった。ウェットな味わい、あるいはマジックリアリズムといった作品があるのが印象に残った。またエッセイから中国SFの現状が伝わってきたのも良かった。
くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女』ホフマン
 語りの重層性があるのが面白かった。
「ナイトランドクォータリー vol.16 化外の科学、悪魔の発明
 マッドサイエンティストものは好きなので通しで読んでみた。新しい作家がいろいろ紹介されているのがありがたい。一方でホーソーンハイデガー博士の実験」が軽妙なショートショートで可笑しかった。クラーク・アシュトン・スミス「悪の信奉者」、キム・ニューマン「秘薬狂騒曲」も面白かった。
 文芸誌など雑誌、それからアンソロジーなどつまみ読みしたのは結構あったんだけど、冊数としてはいまいちだったな。