- 作者: 佐藤亜紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: 文庫
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とある侯爵が養女の輿入れを図るもその恋人と侯爵夫人の妨害を受ける。その武器は誹謗文(パンフレット)。それは18世紀版twitterかはたまたフランス瓦版かさてお立会い。
書簡形式で綴られる軽やかな文体で、いつの世も変わらぬ人間模様が描かれ大部ではないこともあり、楽しく読める。しかし一見軽妙ではあっても、書簡形式のため、終盤に書き手により登場人物たちの状況が塗りかえられるというメタフィクショナルな仕掛けが面白い。さらには渡邊利道氏による明晰かつコンパクトな解説は、本作品の時代背景の持つ深い意味や著者の企みなど様々な妙味を味わう手掛かりを与えてくれる。その辺りはこちらやこちらで歴史に明るくないブログ主にも興味深い内容だった。こうした人間の生々しい欲望みたいなものがフランス革命に至るエネルギーの元となったのではないか、というのが非常に面白いなあ。ちょっとこの時代に詳しくなりたいね。