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異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

丸屋九兵衛さんP-Funk関連トークまとめ(後半)

 さて後半。こちらはトークショーの話になるが、実際はBIBLIOPHILIC & bookunion 新宿(以下union)が中心で下北沢B&B(以下B&B)でのはちょっとになります(諸般の事情から)。(例によって※印はブログ主の感想、間違い等あればご指摘を)
 Bootsyの話。まず1988年のアルバム"What's Bootsy Doing"の曲を聴きながら(※当ブログ主にとってもBootsyを知った、いやP-Funkを知った思い出深いアルバムなんだよなあ)。
'Party On Plastic'
www.youtube.com

「時間がねじくれて圧縮されたような魅力」また「Shake that floppy discの歌詞が時代を感じさせる」。「初めて打ち込みに取り組んで少し音作りに少々無理がある面も」とも("The Lord giveth and the Lord taketh away"以来6年ぶりにだったのかな?当初は相当聴きまくった当ブログ主だが今では少々力が入り過ぎていたという印象があるかな)。このアルバムは結構日本でも話題になっていたと思うが、丸屋さんが苦言を呈したようにBootsyのオタク的センスへの注目は弱かったよなー。これなんか完全にゴジラのパロディでラドンまで登場するのにね。

 この一枚前1982年"The Lord giveth and the Lord taketh away"について。タイトルは聖書ヨブ記 "The Lord giveth and the Lord taketh away(主は与え、主は奪う)"からだそうで、またこのジャケットのように岩に突き刺さったベースを引き抜くというアーサー王をモチーフにしたアルバムでもある。
(といってもこの写真だけじゃわからないかも…)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/8/86/The_One_Giveth,_the_Count_Taketh_Away.jpg

 あとこのThe OneはJBがFunkの基本としたThe Oneでしょうね。
Soul Deep - James Brown - The one - YouTube
このアルバムには前記した曲Countraculaも入っている。また1曲目"Shine-O-Myte"はDynamiteのシャレ(※他にもダジャレやネタ満載らしい。音的にも評価の高いアルバムだが、ちゃんと聴き直さなければ)。
 

 さてParliamentの各アルバムについて。カッコ内の数字は発表年。当ブログ主P-funk好きにも関わらずストーリーはよくわかっていないので、トークショーの内容だけではなくbmr 2011年5月号の特集AFRO-FUTUREでの丸屋さんの親切な「読解! Pファンク・ストーリー」を一部参照しながら書いた。(※またP-funkメンバーのBlackbird Mcknightの日本語ブログも英語ネタや元ネタを紹介していて日本人にはありがたい。なぜ日本語ブログなのかというと奥様が日本人だからである)

1."Osumium"(1970) まだこの頃はコンセプトはなく、サウンドも試行錯誤の段階で話題も少ないのだが「再発の時"Rhenium"になり曲数が増えているのに原子番号が減っている」(Osmium原子番号76でRheniumは75)という丸屋さんらしい細かいツッコミに笑った。

2."Up for the Down Stroke"(1974) サウンドはかなりまとまり、タイトル曲は強力なファンク。ただ歌詞はget up for the down strokeを繰り返すのみ(※たしかに)でまだGeorgeらしいコンセプトはまだない。またタイトル曲はOhio Playersっぽいとも(ちなみに自伝ではOhio Playersに対して辛辣な記述がある)。

3."Chocolate City"(1975) ようやくコンセプトが前面に出る。Chocolate CityとはWashington D.C.が合衆国の首都であるにも関わらず、黒人の比率が高かったため(現在は50%ぐらい)。White Houseとの対比でもあり、郊外には白人が住んでいたためvanilla suburbsと呼ばれたりもしたようだ(歌詞にも出てくる)。当然ブラックミュージックも盛んで、当時はメジャーでなかったレコードを安く買って集めていたのがアトランタレコード創始者Ahmet Ertegun。外交官の息子だからWashington D.C.にいたわけで巡り合わせの妙。D.C.とC.C.のダジャレでもある(※この辺りはB&Bで詳しく話があり、人口比率については円グラフも登場。現在は変化しているようだが、白人の比率が非常に低かったことと大学が多くスポーツの盛んな大学があったことから若い白人はスポーツ推薦に違いないと思われていたという話があった。が、詳細については失念してしまいました失礼)。さてアルバムタイトル通り、ブラックカルチャーの偉人たちでホワイトハウスを乗っ取るという歌詞(※今でこそ偉人たちだが現役バリバリの20~40代の若い人たちで、オバマ大統領が登場した現代には理解しがたいぐらいの思い切ったアイディアだったと思われる)。あと2曲目"Right On"もいい(※同感)が、実はコンセプトといえるのは最初のタイトル曲だけなのが惜しい(※同感)。Screaming Jay Hawkinsみたいな曲もある(※"Let Me Be"だったかなー失念)。

4."Mothership Connection"(1975) Parliamentの代表作であるこのアルバムでGeorgeの本領が発揮。まとめ前半に触れた『アウターリミッツ』をパロった導入でchocolate milky wayからきた(いかにもドラッグを連想させる)Lollipop manことThe long haired suckerによる宇宙放送局WEFUNK(アメリカのラジオ局にありそうなネーミング)が地球のラジオ局を乗っ取ったということが示され、Starchildも登場しファンク欠乏症で危機に陥ったこの世界をファンクで救おうというメッセージが提出される(しかしこの後のアルバムからThe long haired suckerとStarchildが一緒になってしまい、The long haired suckerは出てこなくなってしまう) 。(※ちなみに1975年に"Chocolate City"と一緒に出て、サウンドもコンセプトも急進化を遂げていることに軽く衝撃を受けるね)

5."The Clones of Dr. Funkenstein"(1976) このアルバムではマッド・サイエンティストのDr. Funkensteinが登場。この曲"Dr. Funkenstein"のライヴ・アルバム"P-funk Earth Tour"(1977) のヴァージョンが凄い。丸屋さんご指摘の通り基本的には単純な曲なのだが観客の盛り上がりが尋常ではなく数あるポピュラー音楽のライヴ・アルバムの中でも特筆すべきものだろう(※個人的に最も好きな曲である)。

www.youtube.com

"Whoa!
They say the bigger the headache, the bigger the pill, baby
Call me the big pill
Dr Funkenstein..."
というこれまたいかにもドラッグを思わせる歌詞から始まり
"Microbiologically speaking
When I start churnin', burnin' and turnin'
I'll make your atoms move so fast
Expandin' your molecules
Causing a friction fire
Burnin' you on your neutron
Causing you to scream
'Hit me in the proton, BABY!'"
と(SFファン大喜びの)実にアヤしげな科学用語を使ってかつセクシャルな(しかも必ずしもビッグヒットがあったわけではないグループ)
の歌詞を観客が元々知っていて大合唱しているシチュエーションには本当に驚かされる。(この下りを空でいえる丸屋さんはGeorgeに感心されたそうだ。そりゃそうだ)。

そしてDr.Funkensteinのキャラクターを足がかりに、<フランケンシュタインの花嫁>にちなんでThe Brides of Funkensiten(ガールグループなので複数形)も結成、アルバムも出す。

6."Funkentelechy VS. The Placebo Syndrome"(1977) placebo syndromeは偽薬効果(placebo effect)からきているようなのでまあわかるが、Funkentelechyはどうやらentelechyからきているようでなかなか難しい。ともかく本アルバムでは実際のplacebo effectとは違い、ファンクを失わせるものらしい。ここで人気の悪役Sir Nose D'Voidoffunkが登場(devoid ofのシャレ、ファンクを欠いているということ)。ファンク度をアップするBop gunというStarchildの武器も出てくる。アルバムについているコミック(※紙ジャケボックスの『カサブランカ・イヤーズ』にもついていた)にはStarchildとSir Noseの決闘の場面がある(背中合わせで何歩か踏み出し振り向いて撃つという例のやつだが、Starchildは実は後ろにも目があるという全然公平じゃない戦い(笑)。そもそも代表曲の一つ素晴らしい"Flashlight"が眠りたいSir Noseを正義(のはずの)方がライトを使って眠らせないという話(まさしく「タケちゃんマンブラックデビル並」)。(※一方で曲"Bop Gun"には公民権運動のキイワードWe shall overcomeやサビにendangered species絶滅危惧種なんていうアイロニカルな言葉も忍ばせているのだからGeorgeはおそろしい。クールさとユーモアが同居してるんだよね)。

7."Motor Booty Affair"(1978) 映画ジョーズのブームにあやかったのか、George今度は海だ!となったのがこのアルバム。開くと中にキャラクターや海中都市(アトランティスらしいが 1曲目"Mr.Wiggles"には『オズ』らしいエメラルド・シティも登場している)のイラストを切り取り線に従って抜くと立ち上がるようになっている変形ジャケットで完成するとこんなになる!(再発の紙ジャケットのもののようだが、元々こうだった様子。LPでも同じような作りの画像があったので。ただLPはもったいないらしく全部切り抜いた画像がなかった。当ブログ主だって再発の紙ジャケでも切り抜かないよ(笑)

http://arbyess.tumblr.com/post/90292975877/bonkers-pop-upcut-out-artwork-to-parliaments
arbyess.tumblr.com

(※変形ジャケットが出せるようになったのは、Parliamentのポジションが社内でも認められるようになったことなのかな)
上記bmrによるとストーリーとしてはファンク・パワーによるアトランティス浮上計画というのが背景らしい(※変形部分に隠れているのだがアルバムの見開きに大きめの字で'WE GOTTA RAISE ATLANTIS TO THE TOP!'と書かれている)。泳げないSir NoseはRumpofsteelskin(ランプオブスティールスキン。ここの3枚目の赤いやつっぽい。じゃその次の写真の黄色いヤツは誰なのかな。rumpが尻で鉄の肌だから、黄色い方がそれっぽい気もしたりして・・・)と組んで、一方Starchildが組んだのはDf.Funkensteinの海中用クローンMr. Wiggles(こんな感じ。ググったらエル・マルヤッチが引っかかったというあまりに当たり前な展開(笑)。トークショーではPsychoalphadiscobetabioaquadoloop!と"Aqua Boogie"のサビを皆に合唱させる丸屋さん(笑)。水責めにされ苦しむSir Noseも最後には快感を覚えるようになり"Aqua Boogie"をちょっと踊ってしまうというかなりM的な展開(笑)。さらに泳げない黒人というのはステレオタイプのイメージを使ったのでは。またジャケットの黄色い鳥、曲の方では鳴き声はカラス。神話からきたのでは、と丸屋さん(※神話のところはちゃんと覚えていない。今ざっとググったところ八咫烏とつながりがあるらしい中国の金烏やギリシア神話アポロンのカラスが元々は金の羽を持っていたなどが引っかかってくるので東洋西洋いろいろありそうだ)

8."Gloryhallastoopid(Or Pin the Tale on the Funky)"(1979) 宇宙に回帰。それどころか最も本気に宇宙な内容。副題はpin the tail of donkeyという目隠ししてロバのしっぽをつける福笑いのような遊びからきているそうだ(※だからロバなのか)。↓
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1275865/Safety-fears-hit-sales-pin-tail-donkey.html

1曲目のPrologueに登場する
"Quarks, gluons, red giants, white dwarfs, big bang..."
giants, dwarfはファンタジーのそれではなく赤色巨星白色矮星と(※歌詞というより語りだけどこんな内容だったのか。これまた気づいていなかったSFファン失格じゃのう)。他に"The Big Bang Theory"に"Theme from the Big Hole"と宇宙ネタが続く※全然関係ないが当ブログ主が大好きなLabelleにも"Black Holes in the Sky"(アルバム"Pheonix"収録)という佳曲があるぞ!)。ただGeorgeが歴代No.1と評したGlenn Goins(※1978年にわずか34歳で悪性リンパ腫で逝去)を失って、ヴォーカルがマイクスタンド交代のSly&The Family Stoneのようになったのが弱くそのためインストの"The Big Bang Theory"がかえってよく感じられる、とも。またシンセベースとハンドクラップが使われるところで、当時のハンドクラップがまだ本当にハンドクラップをして録音されていて話も出た(※Zappだったか誰か失念してしまったが、ハンドクラップ用の録音部屋があったらしい)。一番面白かったのは中についているコミック。まだfunkyになっていないSir Noseに外部装着型の<つけ尻>をつけてfunkyにしちゃうという話(※細かい点は失念ご容赦。上記bmrによると敗北を悟ったSir Noseが身につけてもらったという展開だったようだ。またtwitterのやり取りで「尻が大きくなってfunkyのイメージなのでは」との指摘をいただいた。なるほど!ありがとうございました!)

9."Trombipulation"(1980) 今のところParliamentの最終アルバム。前作でめでたくfunk化したSir Noseがいよいよ主役の座に。「なぜSir Noseが大きな顔をしているのかわからない・・・」とその昔頓珍漢なことを書いていた有名評論家がいたとか(※当時それ読んでた・・・)。ちなみに内袋はこんな感じ。
http://hilobrow.com/wp-content/uploads/2011/07/trombipulation_sleeve_egyptian_detail8.jpg
 ジャケットとこれがあって分からないのは某音楽評論家はちゃんと見ていなかったのか、と丸屋さんから厳しい一言(※おっしゃる通り)。で1曲目"Crush It"にはより声の歪んだ踊りまくりのSir Nose Jr.(Bootsyのようだ)が登場。ジャケットの通りエジプト全開な内容。Sir Noseのルーツが古代エジプトを支配していたfunkyなCro-Nasal Sapiensであることを知る。自らのfunknessをあらためて自覚するSir Noseなのだった。タイトルはmanipulationからきたのではないか、との指摘(※象の鼻trunkをmanipulateするという話が出たような気がするがこれまた詳細は失念失礼)。(※このアルバムは評価が冴えないが、個人的には好き。このサウンドから低予算でしのぐGeorgeのソロにつながるものが感じられるんだよね。その粘りがあっての再評価だと思うので)

 ということで個々に有名な曲はあってもアルバムとしての評価は一般的に"Motor Booty Affair"辺りから芳しくない気がするんだけど、実は後半のアルバムの方がコンセプトや歌詞の面白さが増すんだね。汲めども尽きないとはまさにこのことで、もうちょっとしっかり歌詞を聞いてみなきゃと思った。丸屋さんありがとうございました。