まだ丸屋さんのQ-B-CONTINUED vol.5スペクター転覆計画のまとめができていないんだけど(そのうちやるつもり)、とりあえずスペクターは観てきた。
劇場ではダニエル・クレイグ版007は初めて。というか007自体劇場で観たことがないかもしれなくて、まああまり思い入れがないのがバレバレだな(ファンの方失礼)。中学生の頃周囲でロジャー・ムーアのコミカル路線支持されていなかったし、既にかなりのオジさんだったこともハマれない理由だった。ティモシー・ダルトンは印象が薄くて、(ファンの間では必ずしも人気が高くないらしいものの)ルックス的には割と好きだったピアーズ・ブロスナンも観るのは地上波放送でといった感じだ。観直してみるとどれも楽しいんだけどね。結局一番好きなのはショーン・コネリーかな。ちょっとエゴイスティックな存在感と昔のノワール映画の流れを感じさせるところがあるしね(少なくとも初期は)。
ただダニエル・クレイグは現代的なブラッシュアップとしては大成功と思われる(今更だけど)。現代の観客の求めているスピード感緊迫感を取り入れてシリーズの持ち味であるユルさ(話のいい加減さであったりユーモアであったり。ただこのシリーズの持ち味でもあるので必ずしも悪いとばかりは言い切れない)も抑えられ一方節目節目ではシリーズのお約束事が守られていて特に『スカイフォール』は非常に完成度が高かった。ただ敵の基地に乗り込むのではなく迎撃戦となる展開はややらしからぬ印象があった。
さて今回はみんな大好き悪の秘密結社スペクターを敵役にした本筋らしいストーリーで脇役に『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツに『シャーロック』のアンドリュー・スコットを迎えるといういかにも中2の夢的な要素が事前から満載だった。果たして条件が揃い過ぎるとえてして大成功というわけにはいかず、さすがに『スカイフォール』比べると多少精度が甘い感じがあった。前半折角のモニカ・ベルッチを登場させながら後半に出番がないとか、終盤マドレーヌがいったんボンドと離れるくだりとか(いかにも展開がばればれ)。まあ007らしくするとどうしてもユルいことになるフォーマット自体の宿命ともいえるのだが。秘密兵器だとかチェスのところとかくすぐりもファンサービスはたっぷりでそこはよかった。ただヴァルツやスコットの存在感が予想の範疇に収まっているなど割合と惜しいところが気になる出来ではあった。しかしシリーズらしさはあるのでその辺りは好みによるかもしれない。(なおボンドの衝撃の過去、については個人的には可もなく不可もなく。最近ありがちな展開だなーという気はしたが、別にいいんじゃないという程度)とにかく楽しかったよ。シリーズお得意の要素を盛り込んだ今回を経て、もう1本契約があるらしいダニエル・クレイグの次と後任が気になってくるところだな。