異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。

2020年3月に読んだ本

 コロナで世界中が混迷状況にあり、個人的にもいろんな問題が生じつつあり今後への懸念も多いのだが・・・それはさておき。
「ナイトランドクォータリーvol.17ケルト幻想」
 怪奇、幻想、ほら話と国内外の幅広い短編が載り、井村君江インタビューはじめ、文学関連、そして映像作品や音楽にゲームまで網羅された論考やエッセイが並び充実した特集だった。
『イヴの末裔たちの明日』松崎有理
 一部短編を読むだけだったが面白かった。「未来への脱獄」のようなSFミステリ、数学や暗号に取り憑かれた人々を描き思わぬ展開をみせる「ひとを惹きつけてやまないもの」、時代もの風ファンタジー「まごうかたなき」など粒揃いの短編集。幅広い読者にオススメ。
『茶匠と探偵』アリエット・ド・ボダール
 東アジア化した未来の宇宙(しかもかなり奇想寄り)というユニークなアイディアのオムニバスSF。とはいえ全体のトーンはユーモアを基調とせず、抑え目でシリアスというそこもまた独特。個人的にはこうした発想に至った作家へ興味が向きつつも、作品自体はもう一つ波長が合わなかった。とはいえ宇宙船を出産する「船を造る者たち」とかなんだかすごい。
 女性に対する抑圧をテーマにした近年の話題作を遅ればせながら読んだ。ある意味対照的な作品。
『パワー』ナオミ・オルダーマン
『声の物語』クリスティーナ・ダルチャー
 『パワー』の方は電気的衝撃力を女性たちが持つようになり世界の様相が変わるという小説で、スーパーヒーローもののコミックやゾンビなどのシミュレーションものを裏返した形になっている。世界の変化にともない陰惨な出来事もおこるのだが、それを跳ね返すような活力に満ちたタイトル通りエネルギーに満ちた作品。
 『声の物語」は保守的な価値観が反動的に支配するようになってしまったアメリカという設定で、前半『一九八四年』を思わせるじわじわと閉塞感が終盤に一転してストーリーが動き出す意外性が面白い。
どちらも今日的な問題を提起している傑作だった。