異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2025年12月に観た映画

 ミュージカル映画マイブームは続き、なんかどっかでやっていないかなーと探していたが検索力に乏しく絶好の特集に終わりがけに気づいた。渋谷シネマヴェーラの古いミュージカル映画特集「ミュージカル ミュージカル」。
www.cinemavera.com
 ちなみにもう終了してます。なんとか滑り込みで3本観た。
・「でっかく生きる」(原題Living in a Big Way)(1947年)

https://press.moviewalker.jp/mv55044/
 復員兵のジーン・ケリーが戦時中のゴタゴタの間にノリで結婚した妻の元に帰ってきたが、妻の方はノリだったので悪気なく別の相手と結婚式を挙げている最中だったので大騒動というコメディ。時代背景が設定に盛り込まれているのは興味深いが、そもそも女性の意思はあまり考慮されておらず、書割のようでどんな人物かはっきりせず時代的な限界はやはりある。しかしジーン・ケリーのダンスは見事でダイナミック、時にアクロバティックでこの時代らしい高揚感に満ちたスウィングミュージックが実に素晴らしい。ジーン・ケリーは体格も良く整ったルックスだが、女性相手の時には相手の気持ちを考慮しない男の怖さがかえって出ていて、あまりロマンス映えしない。その一方で子どもたちとのシーンは体操のお兄さんのような明朗さで、子どもたちも実に楽しそうだ。youtubeで年長の映画解説者が「子どものころはジーン・ケリーから入って、大人になってからフレッド・アステアの魅力気づいた」という発言があったが、なるほどと思った。
・「気儘時代」(原題Carefree)(1938年)

 最近は便利なものでyoutubeで古い映画の名シーンを観ることができるのだが、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースの名コンビはなんとか劇場でもと思っていたので、(出来はともかく)非常に嬉しかった。内容は精神分析が流行した時代を反映してか、婚約したり解消したりと不安定なカップルの男性が友人の精神分析医に相談。結果、相手の女性がその精神分析医にかかることになるが、三角関係になってしまうという、やはりドタバタコメディ。精神分析医がフレッド・アステアでその女性がジンジャー・ロジャース。これまたやはり女性をコントロールしようという無邪気な父権主義がそこかしこに(当時女性の無意識をコントロールするべしといった論議があったというような話をネットで見かけたが、可能性としてはあり得なくもない)あってげんなりするし、そこのクリニックのセキュリティや倫理も論外な有様だし、とくにオチが(いくらジョークにしても、だ)最低なのだが、これまたダンスと音楽は最高。コンビの後期であまり興行成績もよくなかったらしいのだが、円熟味を見せてくれる。アステアはとにかくエレガントで恋愛映画にぴったりなのよね。さすがにこの映画の時はそんなに年でもないけど、「パリの恋人」なんか60近いのに色恋映画だからな。こんなのアステアしかできないだろう。ちなみに趣味の悪い味覚に対するジョークは当時のアメリカ富裕層の文化が現れてのかなとか細部も時代が違い過ぎてかえって見どころが多かったり。
・「ガール・クレイジー」(原題Girl Crazy)(1943年)

ja.wikipedia.org
 こちらはジュディ・ガーランド作品。相手はミッキー・ルーニー。こちらもドタバタコメディだが、地方の不人気大学を立て直そうとする経営者の孫娘と、女性たちと遊び歩いてばかりなためその大学へ転校させられた放蕩息子のコンビが活躍する話。ということで、こちらは実際に大学生くらいの年齢だった主演二人による、若さはじけるダンスが魅力。クライマックスの大人数での学祭のシーンは、人件費の高騰した現在では再現はなかなか困難だろう。この時代の映画ならではの輝きがある。なんとなくジュディ・ガーランドというと「オズの魔法使い」の少女役で当たったあとに苦闘のキャリアで早死にした悲劇の人という思い込みがあったが、何本も作品のあるミュージカルスターなんだな。もっと観てみたくなる。ただ先住民の頭飾りがファッション的に使われていたりとか気になる点はやはりなくもない(多くの役は深くは背景などは描かれないのがこの時代の映画の傾向。当然この作品もそうだが、頭飾りをつけている役Ragsはもしかしたら先住民ルーツの人物の要素が図らずも含まれているのかもしれないとは思ったが)。
ミッキー・ルーニーは小柄で明るいキャラクター。なんとなくマイケル・J・フォックスへと流れる系譜なのかなという気もした。
 さて年末休みに入り、もうちょっと観た。
・「落下の王国」(原題The Fall)(2006年)

rakkanooukoku4k.jp
予備知識ほとんど無しで観たが面白かった。前半後半でちょっとモードが変わる感じで予告の映像で想像しているのとは違ったところに着地。映像美もさることながら、全体としては虚構について、特に映画について映画でラストが大変良かった。2006年作なので、名演技の子役の少女はもう大人なんだなあ。
・「ジャグラー/ニューヨーク25時」(原題Night of the Juggler)(1980年)

eiga.com
 公開当時から気になっていたが縁がなく完全に初回視聴。猥雑なニューヨークの空気が漂い、良い意味でB級っぽさ溢れる全編ハイテンションな快作。ファンなど各方面に支えられての再上映でこれを逃したら観ることはなかっただろう。ありがたい。エンディング曲がどファンクで最高。
www.youtube.com
 ジャグラー~」を観たのは新宿シネマートで、展示コーナーが楽しい。過ぎてしまったが28日の1日のみモーターヘッドの映画が公開されたこともあって、モーターヘッドのお酒がずらりと並び、

 その隣はラモーンズ。どちらも世の中にこんなに種類があるのかと驚かされた。楽しい劇場である。

www.cinemart.co.jp