異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

(超今さらながら)Black Sabbathをよく聴いている

 超(超々?)今さらながらBlack Sabbathやそのカヴァーをよく聴いている。
 やっぱり凄いグループなんだな。
 まあ個人的ロック・アルバム100選(+α)にも『Paranoid』は挙げているのだが。

funkenstein.hatenablog.com
 ただそんなにはハマったことがなかった。
 どちらかというと徐々にハマったんだけど、最初のきっかけはハウス系のネットラジオで聴いたPoolsideのPlanet Caravan。

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 かなり原曲との差は小さく感じられるぐらいで、本質的に今アンビエント的にも聴けてしまう音作りなんだよね。これ、その『Paranoid』に収録されていたんだが鈍いので良さに気づかず。
 次に突然違って感じられるようになった曲があって、そればSabbath Bloody Sabbath。
 それまではSabbathの沈むこむようなところがなかなか馴染めなかったんだけど、ありきたりのメタル(※自分がイメージしているのは80年代。その後のはあまり知らないので)ならダウナーなリフが続いた後に高まるような展開でカタルシスを演出しがちなところで、もう一度沈み込んでいく感じが良いなあと思ったんだよね。(3分20秒ぐらいのところ)

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 それでようやく面白いバンドんだんだなあと(ホントにようやく)気づくことができた。
 似た感覚は中学生時にお気に入りのバンドだったCheap TrickのDownedで味わった(1分44秒くらいのところ)。

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 ちょっと違うかな?
 でもグッと盛り上がりそうなところであえてダウナーでヘヴィなリフを入れていくあたり。
 もちろんCheap Trickの場合はポップなのに意外にヘヴィな味があるんだなという方のファンのリアクションになりそうだけど、Rick Nielsenは意識的に引用をしているのでヒントを得ていた可能性もある。
 で、以前にも書いた記憶があるけど、周囲はSabbathを結構聴いていたのだがそれでもピンと来ていなかったのだなあ(ちなみに近田春夫は日本のヒップホップ黎明期にミュージックマガジンで「ヒップホップを10年後に後追いで歴史的に評価する特集とか組むなよ!恥ずかしいぞ!(大意)」というようなことを書いていた。近田春夫には敬意を持っていて概ね同意なんだけど、当ブログ主のような一般のスクエアな音楽ファンからするとちょっとツラい要求だなという気もする。書き手が、後から歴史を歪めて「もともと理解していた」ようなふるまいをせず、誠実に振り返ればいいのだと思う。これが実際には難しいのだが)
 脱線してしまった。
 ここで書いておくと、面白いと感じているSabbathは基本Ozzie時代。
 Ronnie James Dioは歴史に残るヴォーカリストで個人的にも好きだけど、ソリッドでストレートなサウンドは初期とは別物だろう。
 で、Black Sabbathのカヴァーも聴いてみるとジャンルや地域幅広いこともわかる。
 当然ハードロック/メタル勢のカヴァーも沢山あるし、熱のこもったいい曲は多いが、むしろそれ以外にいろいろあるのがユニーク。
 結論からいうと、時代を超越した新しい音作りをしていたのがこの影響の理由だと思う。
 ロックの方法論が行き詰まって(本当に行き詰まっていたのかはともかく)、出てきたのがAlternativeというワード。
 Alternative、便利過ぎて言葉の意味が散漫に成っているのが残念だが、少なくとも80-90年代の同時代感覚があるブログ主にはAlternative Rockという呼称には一定のイメージと方向性を感じ取れる。
 Rolling StonesやThe BeatlesあるいはBob Dylanも含まれるかもしれない。
 (それらのミュージシャンの音楽そのものとは違うものの)そうしたロックの本流として受け継がれているジャンル自体に生まれた枠組みに対して、そうではないものを探った時期。
 ロックなどが変化をしていたる現在聴いても古びていないのは、Sabbathがそうした時期に手本となったことも大きいのではなかと思う。
 その影響の大きさはカヴァーされるジャンルの幅広さにもうかがえる。
 これまた恥ずかしながら知らなかったのだが、ポップロックのイメージでほとんど聴いていなかったThe Cardigansが、Sabbath Bloody SabbathやChangesなどのカヴァーをしていたこと。

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 日本語wikiを読んだら、結成の中心となったギタリストとベーシストはメタルバンドをやっていたらしいなるほど。
 気に入ってるのがテキサスのラテンファンクバントBrownout。
 なんとSabbathの丸ごとカヴァーアルバムを2枚も出している強者。

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 Dixie系のバンドもSabbathカヴァーの一員に加わってるのよ。ナッシュビルのHayseed DixieによるWar PigsフィンランドのSteve 'N' SeagullsのIron Man(後者のバンド名は、今気づいたが、スティーヴン・セガールとフロック・オブ・シーガルズを合わせた駄洒落じゃないかな(苦笑)。
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もちろんHiphop系も結構あって、Busta RhymesはThis Means War!! (feat. Ozzy Osbourne)でOzzieとやっているが、Hiphopだと元々何でもありだし、いろいろある中では普通に感じるところもあったり。本体にIce-Tが参加したりもしてるのね。
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さてThe Cardigansスウェーデン(Steve 'N' Seagullsはフィンランド)だけど、メタル系(ブラジルのは当然のこととして、それ以外でも早くからいろんな地域でカヴァーがあるのも発見だった。
 これはよく知られているだろうけど日本のフラワー・トラべリン・バンドのBlack Sabbath
 これはすごいよね。1970年のSabbathのアルバムに対して発表の同じ年に日本ロックの草分けバンドが反応している。
 しかもSabbathですよ。
 本流から外れること甚だしい。国際Alternative交歓。

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 こちらは1951年Bousov(チェコ)生まれのロッカー、Jiří SchelingerのA National Acrobat。こ
 れも1976年で同時代のカヴァー。

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 南アフリカのSuckというバンドも早そう。War Pigs(1970年のアルバムのボーナストラックだから、その時には発表されていなかったことになるがたぶん同時期のもの)。
 例えばジャズカヴァーなんかもあるんだけど、(一部微妙なものもなくはないが)企画ものっぽいものはなるべく外した。その中でどれもリスペクトが感じられるんだよね、真面目にやっているというか。
 たぶんBlack Sabbathがやってきたことが独特で他にないからだと思うんだよね。
 最後におまけ。エストニアらしいんだけどWar Pigsラテン語カヴァーらしい。
 どんな角度からアプローチしてもやはりSabbathだというのが素晴らしい。

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