異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2022年5月に観た映画

「ハッピー・デス・デイ」シリーズ
 偶然CSでやっていたのを観出したら意外な掘り出し物だった。1作目を観たのは2月だったのだが、2作目は録画したものの消化できず、まとめて今回感想を。
「ハッピー・デス・デイ」(2017年)
 学園もので、タイム・ループとコミカルな殺人ミステリが乗っかった作品だが、いずれの要素もうまく融合しているし、ところどころにちょっとしたひねりが効いていて飽きさせない。まあ主演のジェシカ・ローテ、ちゃらんぽらん学生というよりは気ままなOLといった感じにしか見えないのだが、コミカルだけど頑張り屋なキャラクターには似合っていた。続編がつくられたのもわかる。
「ハッピー・デス・デイ 2U」(2019年)
 続編というか、SFアイディアをかませての破茶滅茶な特別バージョンといった感じ。でも前作のツボはしっかり押さえて、ファンサービス十分の楽しく仕上がり。ステレオタイプともいえるが理科系学生のオタクっぽい雰囲気もよく出ていたし、2Uの方は優しそうなママ役の人の存在感で、ややもすると荒唐無稽一辺倒になりがちな作品のバランスをうまくとっていた。全体にこのシリーズ、バラエティに富んだ配役の妙で好企画になったんじゃないかな。
地球の静止する日」(1951年)
 今更の初見だが、素晴らしかった。基本的にクラシカルな宇宙船やロボットの造形だが、宇宙船内もスタイリッシュ。ツルっと滑らかな造形は、一時古臭く見えていたかもしれないが、時代が何周かして、今や品の良い佇まいすら感じさせる。起伏に富んだストーリーも完成度が高く、白黒の陰影が後半のサスペンスの効果を高めている。また、地球人の一致協力が得られないという背景は冷戦時代らしさが感じられる。先に読んでいた原作ハリー・ベイツ「主人への告別」との落差(原作はそもそも短く、短編のコアであるオチは映画では完全にオミットされている)についてはこの『地球の静止する日 SF映画原作傑作選』の解説にあるような複雑な制作背景、つまり「企画意図が先にあり、それに合ったアイディアを求めて原作を探す」ことにあったようだ。