異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2022年4月に観た映画

 結局「デューン」以後はまた家で観ているだけですね。まあ仕事上注意をしなくてはいけないので、勿論映画禁止されているわけでもないけどついつい人混みを避け自重する日々なのです。
・「カラー・アウト・オブ・スペース ー遭遇ー」(2020年)
 ラヴクラフト原作「宇宙からの色」の映画化。基本的に家族の話だったりする点含め、たしかに違う点は多い。が、ショック的に観客を驚かすパターンはほとんどなく不気味さを出す路線で、B級風味ながら悪くなかった。幽霊屋敷ものをベースにしていることもあり、いわば「さほど練り上げられていない商業映画ベースの"シャイニング"」。人が変質する恐怖にはラヴクラフトらしさも出ている。また、黒人科学者が理知的に問題解決しようとするが、反発される(人種差別的にというニュアンスもなくもない)場面などは、ラヴクラフトの人種差別的な要素を現代的に反転させたセンスも感じられる。まあ表面上だという批判もあるかもしれないが。
・「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」(1983年)
 カタカナで書くとなんか長いな(笑)。Let's Spend the Night Together、ローリング・ストーンズ1981年のアメリカツアーを撮った映画。英語wikiには”It was filmed at the Brendan Byrne Arena in East Rutherford, New Jersey (5–6 November 1981) and at Sun Devil Stadium in Tempe, Arizona (13 December 1981).”とあるね。まあそれにしても聴いたことのある名曲ばかりだなあというのがまず一番の(月並みな)感想。熱心に聴いていたのは20代の頃かなあ。歌詞とかあまり考えていなかったから、今回の字幕で歌詞の内容がわかって助かった。Hang Fireなんかは生活保護とかが扱われた歌詞だったんだな。全編観たのは初めてだけど、例えば"Time Is On My Side"なんかはミュージシャンビデオになっていた。ミックが歌うシーンに、過去の白黒映像がオーバーラップする演出で、バンドのたどった道のりが重なり、まだロックが若者のものと思われてた当時大層感動したものだ。が、今思うと1981年のライヴだから、まだ38歳でしかないんだよな(苦笑)。それから、映像なんかではじっこで写らなくなることが多いビル・ワイマンとかどう思ってたのかなあとかよく気になるんだけど、中心エリアから距離を取ってることも多いことが分かった。つまり割と写ろうともしてなかった(笑)。ちなみにビル・ワイマンのベースプレイはなんか好きで、抜けてからはどうもストーンズらしさがないような気がしてしまうんだよね。リズム隊のお得意のパターンがあって、あれが一つの様式だったんだと思う。
・「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」(1984年)
 BS12で結構前にやっていたのを録画視聴。当時同級生のアニメ好きが話題にしていたので、長年どんな作品かなと思っていたが結局40年近く経ってしまった(苦笑)。こういうTVシリーズものの劇場版は長い話を押し込めているのでまず全体像がうまくつかめないことが多く、これもかなり結構入り組んだ話なのでざっくりとしたところでの感想になる。一応ジェンダーが題材で、男女それぞれの(巨人族の)帝国が戦っている状況が背景にあるが、そうした図式のSFはその頃もあった気がする。なので(具体的な作品はすぐには思い出せないが)同時代的なシンクロはあってのことだと思う。だからすごく革新的かというとそうでもなくて、一方細部では当時らしい古い価値観で物語は進行しているので、全体としてはジェンダーを早めに扱っているけど表層だけかもしれないという微妙な感じになっている。時間があればこうした男女戦争ものの同時代あるいは以前の作品を読んで検討したい。ちなみにアニメの戦闘シーンとかの評価はできないのでそこは保留だが、やたらとガジェットがゴタゴタしているのがこの頃なんだなという印象は受けた。Apple以前、ということなのだろうか。リアルタイムでどうしても観る気が起きなかったのは、アイドル文化に興味が薄いため、「<巨大ロボット+アイドル>っていったい何だよ…」という思いがどうしてもぬぐえなかったからである。で、驚かされたのは、ゴタゴタしたガジェットは時代遅れになったのにアイドル文化の方がそのまま現代に以降していることである。自分の先見性のなさを思い知らされた。でもまあ時代遅れの方にもどうしても目が向いてしまい、一番笑った<失われた未来>は昭和な感じのバーラウンジで、お店にかかってきた電話が本人の前に自動的に移動してくるのである!(携帯を想像できていなかったのだ)