異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2018年1月に観た映画

年明けてから家での観賞を含め何本か観たので感想(たぶん今月はもう観ない観られない)。

君の名は。」(2016年)
 ようやく観た(パソコン視聴)。基本的にアニメは詳しくないのだが、古典的な入れ替わりテーマを定石を適度に外しつつテンポよく見せている手つきは巧みでよくできていたと思う。特に興味がなくても耳に残ってしまった前前前世の曲が流れるまで冒頭から少し時間があるのも長いオープニングといった趣向で観客を惹きつけていくところがあったし、そもそも全体が長いオープニングのようでもあった(それ自体はストーリーの引っ張りがうまいということでもあり、手法として悪いことはではない)。しかしどうしても納得がいかないところがある(ここからネタバレなので一部文字の色を変えます。まあもう既にネタバレは多くの人がしているようですが、自分のように遅れて観るけど予備知識を入れたくない人は以下は読まないでください)。核となるアイディアは入れ替わる三葉と瀧には3年のタイムラグがあるというのに共に気づいていないというものだ。入れ替わった時には夢の中にいる感じなので記憶がおぼろげという描き方なので、気づいていないというところまではまあいいだろう。ただお互いの体が入れ替わった体験があるという設定がある上で、三葉が瀧に会いに行き偶然会ったところで「その少年が瀧であることに気づくが、それでいて3年前の瀧であることには気づかない」というのはどうだろうか。この二人には3年のズレがあるので、入れ替わった時のやり取りは同い年の17歳が喧嘩したり相談したりするという描写(に自分には感じられた)で、そうなると三葉は自身が入れ替わって体験した17歳の瀧ではなく14歳の瀧に出会っているわけである。それなのにその違和感についての描写はほとんどなかったように思われる(身長が変わっているとかそういう意見もネット上ではあるようだが、そういう間違い探し的なものについてはこの際置いておく)。3年というのはティーンエージャーにとってものすごく大きい(時に残酷な)時間のギャップでそこが青春ものの作品では重要なのではないだろうか。たとえば14歳の瀧はもっと幼くなければいけない。ならば見知らぬ高校生のお姉さん(である三葉)から声をかけられて、都会の洗練された少年であると思しき瀧が「お前」とかいうのだろうか。あるいはもし入れ替わった時の記憶がぼんやりしているのなら三葉がすぐ瀧と認識ができることがおかしいことになる。口噛み酒キモイとか、終盤の展開が説明不足とか入れ替わった時に日付も見ないのかとか、瀧が過去に三葉に会ったのを忘れているのにもらった紐は大事にしているのが変とかのとかまあいろいろあるのだが、むしろ個人的にはこの「瀧が3年前の瀧であることに三葉が気づいていないが最大の疑問点青春もののフォーマットを使用しているのに、変わっていく時間に対する視点が雑。(もしかしたら細部でつじつま合わせはあるのかもしれないが)作り手が3年という少年の成長に重きを置いていないのは明らかで、人工的に類型に押し込んで机上の論理でまとめている構図が透けてみえてしまった。だって別のエピソードでは奥寺先輩は誰か知らない人と結婚しちゃうわけでしょ。そこでは時間の変化があることを描いているってバランスが悪すぎるだろう。ちなみに学生時代に慣れ親しんだ東京のエリアが出てくるということを旧友に知らされて慌てて観たのだがそれなりにわかったもののそれほど直接的ではなかったなあ。あの階段のところも位置はわかるがほとんど行ったことがないな。雪の新宿は記憶がある。都内では珍しい大雪の日があってたまたまその日はオフ日で当時は新宿近くに住んでいて電車も動いていたので西新宿の高層ビルのエリアをわざわざ見に行ったことがある。休日でさすがにほとんど人は歩いていなくて世界が終わったかのような実に美しい光景だった。ただこの作品で出てきたのはあくまでもちょっと降っている程度の新宿だったが

「新感染 ファイナルエクスプレス」(2016年)
 特急内にゾンビが現れるパニック映画。軽くネタバレをしてしまうとずっと鉄道に乗りっ放しというわけではない。ただ無理に乗りっ放しの図式にこだわらず、適度にメリハリをつけつつ全体としては鉄道や駅が効果的に生かされ伏線もよく効いてエンターテインメント性の高いノンストップアクション作品に仕上がっている。主人公のファンドマネージャーを演じるコン・ユは大沢たかお東出昌大似のイケメンでカッコいいが、肉体派マ・ドンソクがよかった。ああいう顔と存在感が韓国俳優の好きなところ。背景には社会不安や政府など管理する側への強い不信感が人間のエゴイズムの恐ろしさといったものが垣間見えるが、下記の「ソウル・ステーション・パンデミック」と比べると間接的描写にとどまっておりその分娯楽性寄りのスタンスと感じられる。

「ソウル・ステーション・パンデミック」(2016年)
 「新感染」と同じヨン・サンホ監督で、前日譚といった内容のアニメ映画。本来はアニメ監督らしい。こちらは駅やソウルの街が舞台。貧しく裏社会とつき合いながら生きざるを得ない若者たちや一般社会から疎まれるホームレスたちがゾンビに襲われ、助けを求める国に切り捨てられるという情け容赦のない展開の上にダメ押しともいうべきキツいオチが決まるというなかなかヘヴィで社会に対する怒りがこめられた作品だった。検索した感じだと社会派的作品が多いようで、納得。他もそのうち観てみたいな。

キングスマン:ゴールデン・サークル」(2017年)
 実は1作目未見(今後はこういうことが増えそうだなあ・・・なるべく避けたいが時間がないので・・・)。なるほどこれはUK文化萌え映画なのだな。特にアルコール礼賛(スコッチ>>バーボン)、UK-USギャップものでもある。ちょっといい加減なところもあるけどまあダレ場もなかったし楽しかったから許すか。たぶん評判のよかった1作目は必見なのだろう。いつ観られるかが問題なのだが(苦笑)。