異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

2017年3月に観た映画

まだ3月も1週間あるが、たぶんこの2本で劇場で観た分は終わりそう。

『ショコラ』実在の19世紀末の黒人道化師を元にした作品。白人の芸人とのコンビで一世を風靡する中で周囲の差別や二人の葛藤などが描かれる。ショコラを演じるオマール・シーは人懐っこい笑顔と素晴らしいスタイルで魅力があった。俳優としても近年活躍しているようだが、元々白人とのコメディ・ユニットを組んでいるというのもはまり役といえるだろう。また映画でコンビを組むフティットも同性愛者で周囲に打ち解けることができないことが暗示されるなどマイノリティの苦悩がテーマになっている。この難しい役を好演しているジェームス‣ティエレはチャップリンの孫だそうでそういえばなんとなく面差しが似ている。全体としては少々甘めな内容だが、時代背景などは興味をそそられ元となったノンフィクションは是非読みたいところだ。
ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯

『哭声(コクソン』 韓国のうらびれた村に謎の日本人がやってきてから奇妙な病気や血腥い事件が起こる。というホラー映画。國村隼が裸で奮闘していると聞いて楽しみにしていたが、想像以上に裸で出ている割合が多かった(笑)。少々コミカルな前半で油断をさせておいて後半韓国映画らしい激しい描写と情念、ツイストに次ぐツイストで畳みかけてくる。大変面白かった。主人公の情けない警察官を演じるクァク・ドウォンをはじめイケメンとはいえない顔が揃うのも好み(個人的にはソン・ガンホとかこういった方面が韓国映画の顔なのよ笑)。子役も見事な演技だった。一方で謎も多く、その辺り気になったので町山さんの映画ムダ話の解説を聞いてみた。ここで出てきた合わないパズルのピースをはめていく手法にはこの映画に限ったことではなく若干疑問を感じなくもないのだが、ともかくさすが町山さんという鮮やかな分析だった。『エクソシスト』似てるというのは観ている間に自分も感じていたな。個人的には近代化から取り残された村というのが非日常的な世界に人々が引きずりこまれるこの映画の重要な背景なのではないかと思う。切り立った山々とひなびた村の風景がストーリーを支えているのだ。だからこそ終盤の異様なテンションが観客をぐいぐいひきつける。こんな怖ろしい役の國村隼が大人気となり賞を手にした韓国映画界やるねえ。