細切れの夏休みで今日は雑用をすませて映画を観てからまだ時間があったので横浜美術館の蔡國強展へ。
蔡國強展:帰去来 | 横浜美術館
蔡國強は1957年生まれ。絵画などに爆薬による硝煙の跡を合わせるなどの作品で知られているようだが、花火のパフォーマンスなども行っていて、2008年の北京オリンピックでもヴィジュアルディレクターを務めている。若い頃に中国を出て最初に留学したのが日本という事もあって、日本の題材を取ることもあるようで、春画をテーマにしたものが今回あった(日本語で解説をしているVTRもあった)。またVTRのパフォーマンスを見ると花火は日本のものと多少違うようでカラフルな煙が出たり文字を出したりというものでなかなか新鮮だった。一方美術作品は爆薬を使った派手で偶然性の強い豪快な部分と対極の繊細な表現が同居しており、幅広い国々で注目をされるのも当然だなと思った。狼のはく製99体を使った作品もスケールの大きさを感じさせた。反体制的な表現は自分に合わないとVTRで自己分析していたようにそういう観点では穏当なタイプかも知れないが作品は美しかった。
特別展示では戦争をめぐるアーティストの様々な反応が興味深かった。ジョージ・グロッスの「エドガー・アラン・ポーに捧ぐ」が良かった。また横浜の風景を中心とした貴重な戦争当時の記録写真にも目をひかれたが、LIFE誌の印象的な写真はアルフレッド・アイゼンシュタットという人が撮ったのを知った。
ポール・ジャクレーという版画家の特集も面白かった。1896年生まれ日本育ちのフランス人浮世絵師で、浮世絵復興と近代化を目指した新版画の運動と一緒のグループととらえられているようだ。しかしミクロネシアや朝鮮の人々をモデルにしているだけでなくタッチというか雰囲気が大分違い、いわゆる浮世絵とは異なる独自の作風でユニーク。それから同時に展示されていた川瀬巴水はちゃんと観たのは初めてのような気がするが、ファンが多いのも分かる。夜の新川とか幻想的な光の美しさがあった。