異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

『世界の涯の物語』 ロード・ダンセイニ

世界の涯の物語 (河出文庫)

世界の涯の物語 (河出文庫)

トールキンラヴクラフト稲垣足穂等に多大な影響を与えたファンタジーの源流。神々の与える残酷な運命を苛烈に美しく描き、ロンドンに世界の涯を誘う、魔法の作家の幻想短篇集2冊を完全収録。」

 ファンタジーの世界では名高い作家だが初読になる。結構前に読み始めたのだが時間がかかってしまった。コンパクトながら詳しい解説にもあるようにラヴクラフトアーサー・C・クラークにも影響を与えた偉大な作家のため、やや重めに扱われたきらいがあり、そのユーモアの面をより広く紹介したかったとの訳者の一人中野善夫氏が書いておられ、皮肉だったり意外なオチだったりそういった作品が目立つ。ただその中でも好みとしては、妄想の中に逃げていく主人公が現代的な「トーマス・シャップ氏の戴冠式」、水晶の力に頼ってチェスにはまるボンクラ3人組の「チェスの達人になった三人の水夫の話」、悪魔の3つのお願いが元と考えられる笑死のジョークについてのユーモア小説「三つの悪魔のジョーク」などより日常性の強いものの方がより好み。一方壮大な冒険譚の一部の様な「陸と海の物語」もまた魅力的だった。