異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

映画『天国の門〈デジタル修復完全版〉』

 ここ数年にしては年末あまり忙しくない。
 さて映画を観ようかなあと思ったが、どうもコレというのが無かった。いやいやよく観ると少し時間の余裕がある時しか観られないような大作の完全版が偶然まだやっているのではないか。というような感じで、横浜黄金町にある映画館<シネマ ジャック&ベティ>に初めて行って観てきた。
 で、予備知識は少なかった。映画史上屈指の予算を使い興行成績は大失敗し製作会社は倒産にまで追い込まれたことや東欧移民の悲劇的な紛争を扱いアメリカ史の影の部分を扱った重苦しい内容であることなどを知っていたことぐらい。
 で、いやーすごい映像だったなー。特に雪山に湖を背景としたスケールの大きな自然に信じられないほど手の込んだ街のセットが素晴らしく、また夥しい数のエキストラも目を引く。またクリス・クリストファーソンイザベル・ユペールクリストファー・ウォーケンジェフ・ブリッジスジョン・ハート、などなど俳優陣は好演で印象深く、脇役でミッキー・ロークも出ている(エキストラにウィレム・デフォーまでいるらしいが分からなかったな)。話は三角関係の部分がややくどくその辺ややもったりした印象があるのと、最終的に(ミステリ的な意味ではない)意外な方向に行くところに好みが分かれそうだが、誰もが敗者という苦い展開はなかなかいい。あと終盤の戦闘シーンでは頑張り過ぎたか砂埃がちょっと目立ち過ぎていた(笑)。
 好きなパートは貧しい中での移民たちのローラー・スケートによる舞踏のシーン。
 これヴァイオリンの人めちゃくちゃカッコいいんだけどデヴィッド・マンスフィールドというミュージシャンで映画音楽全体も担当したらしい。ちょっと気になるのはこれリールってやつなんじゃないかなあ。これはスコットランドやアイルランド系の音楽だよね。東欧移民だったらポルカっぽくなるんじゃないかと思うけど、その辺どれくらい作り手は意識してるのかなーと思ったり。ちなみにこの曲っぽいよね。
 他に全体に舞踏のシーンは円運動が見事に捕えられていて幸福感に満ちた美しい映像だった。

 あとクリストファー・ウォーケンが後年の人間離れしたコワい感じじゃなくて、線のやや細い美青年でむしろ目のあたりがキレイ過ぎて宝塚の男役みたいで演技は悪くなかったけど西部の男っぽくは無かったなー。この人は年取ってからの方がいいね。