異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。(単なる読書系ブログです)

読書(海外文学)

2022年3月に読んだ本と100分で名著ポー・スペシャル

◆『ニュー・ゴシック―ポーの末裔たち』鈴木晶・森田義信編訳 1992年刊行の日本で編訳された本。「偉大なアメリカ小説(グレート・アメリカン・ノヴェル」の伝統から長編を中心としてきたアメリカ文学の歴史が、1960年代以降変質して短編小説が大きな潮流とな…

2022年2月に読んだ本

諸般の事情でまた低調気味。 まあ仕方ありませんな ◆『HHhH』ローラン・ビネ 実際にあった、ナチス高官ハイドリヒ襲撃事件を題材にした小説。とはいえ通常の歴史小説とはやや趣が異なり、語り手が事件の取材を進めていく過程と実在の人物の歩みが重なるユニ…

第2回みんなのつぶやき文学賞に投票しました。あとこれまでのTwitter文学賞~みんなのつぶやき文学賞の投票内容

ベストブック選びとかをしていると、過去のベスト投票のこととかを振り返ってみたくなる。 当ブログ主だと森下一仁さんのSFガイドに毎年投票しているが、そういえばTwitter文学賞にも投票をしていた。 現在は「みんなのつぶやき文学賞」に移行している。 twi…

2022年1月に読んだ本と聴いたトークイベント

古い雑誌ばかり読んでましたね。 あとちょうど先ほどオンラインイベントを聞いたのでまずそれから。 ・【月刊ALL REVIEWS】牧 眞司 × 豊崎 由美、アドルフォ・ビオイ=カサーレス『英雄たちの夢』(水声社)を読む 小説の紹介者として大変信頼すべき(しかも息…

2021年12月に読んだ本と参加したトークショー

あけましておめでとうございます。今年もボチボチですが、ブログ継続しますのでよろしくお願いいたします。 さて新年一発目は12月に読んだ本と読書関係で参加したトークショー。 まずはトークショーの方から。 最近訳書が連続して刊行されたシルビナ・オカン…

2021年ベストブックス

SFベストは森下一仁さんのところに毎年参加させていただいているけど、今後は年末までにベストブックを列挙しようかな。 ◎新刊 ・『中国・アメリカ 謎SF』柴田元幸編 ・『人之彼岸【ひとのひがん】』郝景芳 ・『三体Ⅲ 死神永生』劉慈欣(2020年刊行の『三体Ⅱ…

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」に挑戦!(短篇集10選!新しめで)

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」はてなブログ10周年か。 hatenablog.com ブログ自体は2006年で15年前からやっているけど、前のブログからこちらに引っ越したのが2013年11/23。 funkenstein.hatenablog.com おお、引っ越しは11月だったんだな。と…

2021年10月に読んだ本など

そうそう、まずは読書会とイベント参加について。 まずは名古屋SF読書会。 www.ne.jp お題は劉慈欣『三体Ⅲ』。何度かお邪魔しているが、このご時世にオンラインでやっていただけるのはありがたい! 大長編のあらすじがまとまっている労作のレジュメに従って…

2021年9月に読んだ本と読書会など

なんとなく数年来(苦笑)たまっていた雑誌などを消化することが多いです。雑誌は全部読むのは大変なので、創作などそこそこ読んだものという感じ(それから、感想も随分前に読んだものが結構含まれてる)。 ◇群像 2019年1月号 ○フィクション 「命日」瀬戸内…

2021年6月に読んだ本

まあなんとかかんとかやっていて、本も読んでいます。 『博物館の裏庭で』ケイト・アトキンソン ケイト・アトキンソンの処女長編。『ライフ・アフター・ライフ』と共通する、イングランドの平凡な家族の日々を戦争の影を映しながら苦いユーモアを交えて描い…

2021年5月に読んだ本

体調の方は横ばいですね。 正直いろいろ困ったことになりました。 それはともかく読んだ本について。 『変愛小説集2』 1の方は未読。まあ野生のチアリーダーの作品が読みたくて購入(笑)。 「彼氏島」ステイシー・リクター いい男をとっかえひっかえできる…

山野浩一「小説世界の小説」を読んだ(療養中、備忘録)

. 正直体調はあまりよくないのだが(苦笑)、特にすることもないので、読み終えた山野浩一のNW-SFの評論連載「小説世界の小説」各回の感想を書いておくか。第一回 (掲載 NW-SF Vol.8) どのような批評を行っていくかの宣言。1973年にして既に、SF作家やSFフ…

2021年4月に読んだ本、と近況報告

現在体調を崩し、連休中ということもあり自宅療養中です。 まあ以前にもかかった病気で、いわゆる重篤なものではないのですが、経過がいまひとつ芳しくないので、ちょっと生活を見直すことになりそうです。 とりあえず備忘録的に4月の記録だけ書きます。 『…

2021年3月に読んだ本

相変わらず低調ですなあ。 『1984年に生まれて』郝景芳 一人称で著者自身を連想させるタイトルながら、語り手の軽雲は(多彩なキャリアの著書とは違い)より平凡な人物として設定されているなど、あくまで。様々な手法がとられ、著者の文学的センスが色濃く現…

THNo.85にレビューを書きました。あと2021年1月に読んだ本

TH No.85 特集:目と眼差しのオブセッション 特選品レビューでマイケル・ドズワース・クック 『図書室の怪 四編の奇怪な物語』のレビューを書きました!よろしかったら読んでみてください! athird.cart.fc2.com さてTH、私のレビューなんかは置いておいて、…

2020年11月と12月に読んだ本

諸般の事情でやはり読書は停滞気味。まあ例によってあれこれつまみ読みはしているのですが。 今年観た再放送のTV番組に、ナイトランド・クォータリーvol.23特集「怪談(KWAIDAN)」、それから急にハマってきているクンビアなどラテン音楽経由で中村とうようの…

TH No.84「悪の方程式~善を疑え!」にレビューが載りました。あと2020年9月と10月に読んだ本(と近況)(長い)

9月下旬に突発性難聴になりました。 が、幸いにも早期発見での治療が奏効、後遺症なく治癒しました。まあプライベート含め、多少無理がたたったのかなという自覚があります。皆様もお体に気をつけてお過ごしください。 というわけでバタバタしていたのですが…

ハリーハウゼン映画をいろいろ観てみた

CSでやっていた人形アニメーションの巨匠ハリーハウゼン映画特集を録画して少しずつ観たので感想を年代順で書いておく。 「水爆と深海の怪物」(1955年) カラー化したものを観たが、なかなかきれいに着色できるんだなあというのが第一の感想(アマゾン評を読む…

TH No.83にレビューが掲載されます! あと2020年7月に読んだ本

発売中のTH No.83 『音楽、なんてストレンジな!〜音楽を通して垣間見る文化の前衛、または裏側』で、特集で韓国ロック黎明期を描いたイ・ジン『ギター、ブギー、シャッフル』、特選品レビューで陳楸帆『荒潮』を紹介しました。今回は音楽特集ですよ~♪よろ…

2020年6月に読んだ本

なかなか世の中が落ち着きませんなあ。 『となりのヨンヒさん』チョン・ソヨン 訳者あとがきにあるように、本短編集は一部(となりのヨンヒさん)と二部(カドゥケスの物語)にわかれ、一部の方は独立したSF(やや奇想系っぽいものを含む)作品が並び、二部…

2020年5月に読んだ本

『ペストの記憶』ダニエル・デフォー コロナウィルス蔓延の前から少しずつ読んでいたのだが、なかなか読み終わらず。ようやく読了。1665年にロンドンで発生したペストの被害について、その後数十年してデフォーが架空の語り手で記述した作品である(刊行は17…

2020年2月に読んだ本

『息吹』テッド・チャン 前代未聞の<呼吸>SFのタイトル作をはじめ、期待通り傑作揃いだった。恒例の森下一仁さんのSFガイド、昨年ベストに挙げた。(24時まで投票できますよ!) 『病短編小説集』 「病」をテーマにした小説の歴史を短編で俯瞰できる丁寧な…

2020年1月に読んだ本、読書関係イベント

≪火星三部作≫ キム・スタンリー・ロビンスン 長い時間かかったが1月にようやく読了。あらゆる科学・社会学・人間学もろもろを総動員して、シミュレーションを行った大作。非常に難易度の高い創作法ではあるが、そうした手法自体は初期のSFにも存在している。…

2019年11月に読んだ本、参加した読書イベント、観たドラマも

諸般の事情で読書は相変わらず低空飛行(映画も全く観ていない) 『カメラ・オブ・スクーラ』ナボコフ ナボコフの初期作品で、古典新訳文庫なので、解説が充実していて、本作の背景がよくわかるのだが、まだシンプルなつくりになっていて、ナボコフの好むモ…

2019年10月に読んだ本

まだまだ低調だな・・・(好調になるときはくるのだろうか)。 『三体』劉慈欣 現代中国社会を反映した部分とある意味今時珍しいほど大風呂敷なファーストコンタクトSFが融合してユニークな作品になっている。ただ訳すのが大変だった事情はよくわかるところ…

2019年8月に読んだ本

相変わらず低調(あっちこっち断片的に読んでるパターンが続いてる)。 『雪降る夏空にきみと眠る』ジャスパー・フォード 冬眠を中心にした社会というのをこれほど真正面から扱ったSFというのもなかなかないのではないか。ディストピア社会の状況、個性的な…

2019年7月に読んだ本

7月はいろんなつまみ読みが多くて、雑感としても書けるのはこの程度 『愛なんてセックスの書き間違い』ハーラン・エリスン SFアイディアがない分、エリスンのエモーショナルな面がわかりやすく出ていて面白い。自信満々に見えたエリスンだが、解説にある「自…

2019年6月に読んだ本

kazuouさん主催の第22回怪奇幻想読書会に参加、kazuouさんも書いておられる通り怪奇幻想色が特に強い会でいろいろ知ることができ楽しかった。 ということでまずは課題図書から。 『イギリス怪談集』 正攻法の怪奇幻想集だったので、個人的には異色作家短篇集…

2019年5月に読んだ本

『郝景芳短篇集』 郝景芳 「折りたたみ北京」の著者の短篇集が登場。1984年生まれで若い頃から文才に恵まれ物理学部に入学、経済学の研究者になったという万能型の天才といった印象の人だが、作風はその科学的な側面と温かな情緒を感じさせる面と両面がある…

12月に読んだ本、怪奇幻想ベストと映画ベスト

『奪われた家/天国の扉』コルタサル コルタサルの「真の処女作」といわれる初期短編集。 「奪われた家」内面的には充足している兄妹で暮らす家に忍び寄る影。不安の描出が巧みで多様な解釈ができるわずか数頁の傑作。 「パリへ発った婦人宛ての手紙」『悪魔…