『郝景芳短篇集』 郝景芳
「折りたたみ北京」の著者の短篇集が登場。1984年生まれで若い頃から文才に恵まれ物理学部に入学、経済学の研究者になったという万能型の天才といった印象の人だが、作風はその科学的な側面と温かな情緒を感じさせる面と両面がある。また病院を舞台にした作品には自身よりも旧世代っぽい香りもあったりする。作品はどれも高水準でさらなる紹介を期待したい。
『折りたたみ北京』現代中国SFアンソロジー
こちらも読んでみた。表題作や翻訳が控えている『三体』の一部「円」以外では「鼠年」「童童(トントン)の夏」「沈黙都市」「蛍火の墓」あたりがよかった。ウェットな味わい、あるいはマジックリアリズムといった作品があるのが印象に残った。またエッセイから中国SFの現状が伝わってきたのも良かった。
『くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女』ホフマン
語りの重層性があるのが面白かった。
「ナイトランドクォータリー vol.16 化外の科学、悪魔の発明」
マッドサイエンティストものは好きなので通しで読んでみた。新しい作家がいろいろ紹介されているのがありがたい。一方でホーソーン「ハイデガー博士の実験」が軽妙なショートショートで可笑しかった。クラーク・アシュトン・スミス「悪の信奉者」、キム・ニューマン「秘薬狂騒曲」も面白かった。
文芸誌など雑誌、それからアンソロジーなどつまみ読みしたのは結構あったんだけど、冊数としてはいまいちだったな。