異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん。いつか鎌倉の老人になる日まで。

2019年3月に観た映画・美術展

『恐怖の報酬』(Sorcerer)(1977年)
 William Friedkinのサスペンス映画ということで観に行ったが、実は1953年の作品Le Salaire de la peurのリメイクなのね。わけいありの男たちが高い報酬目当てにニトログリセリンの運搬を行うという筋立て自体がよい。現在からするとやや暑苦しいくらい汗と血と泥にまみれた映像の質感と逃げ場のないストーリーでいかにも70年代らしい映画で素晴らしかった。やはりRoy Scheiderって70年代映画の顔といった存在だよなあ。
『ブラック・クランズマン』(BlacKkKlansman)(2018年)
 軽妙で痛快また苦さも絶妙に混じりあったフィクションパートで楽しませ、人種差別が現在も続いている問題であることが迫ってくるパートも加わり、メッセージがよく伝わってくる。「国民の創生」の集団鑑賞のシーンが嫌怖ろしかったなあ。全体の70年代文化趣味も見どころ。黒人英語に関するものだけでなく言葉がネタになっているところが多く(KKKのメンバーFelixがキング牧師の演説を不気味にパロったところあったよね?)、面白いと思いつつもいろいろ分かってない部分がありそう。カイロ・レンのAdam Driver今回はいい人。主演のJohn David Washingtonは元フットボール選手でDenzel Washingtonの息子なのか!(同じくSpike LeeのMalcolm Xにも子役でちょっと出ていたらしい)。
『愛人関係』(Les seins de glace)(1973年)(TV録画視聴)
 なんで録画したのかと観終わって思い出したらマシスン原作だったから(最近すっと思い出せないことがいろいろ・・・(苦笑)。主演女優ミレーユ・ダルクと当時愛人関係にあったということでこのタイトルになったというのがいかにも時代を感じさせる。話にさほど目新しさはなくサイコあたりを意識したような大仰な効果音に違和感があるなど平凡な出来。マシスンだから原作の方は面白いのかもしれないなあ。
アンドロメダ...」(The Andromeda Strain)(1971年)
 初見。Michael Crichton原作未読。生真面目なシミュレーションによるパニックもので、終盤緊迫するもののそこまでは幾分単調。むしろ使われてる科学技術の描写がベーシックなものを中心としていて時代を感じさせるところなどに関心を持ってしまう。が、面白くしようとして雑に科学的な整合性を乗り越えて結局失敗してるようなものの方が多いだろうから、この真面目さは好感が持てる。
「空の羊」(1997年)(TVドラマ)
 BS12でやっていた向田邦子原案のドラマを録画して観てみた。1997年ということで没後になるがよくいわれるように小道具の使い方がうまい。向田邦子の民放ドラマのシリーズはほとんど観たことがなくてそっちの方にあまり興味がわかないのだが、昔NHKでやっていた「阿修羅のごとく」や「あ・うん」などの印象は強く時々観たくなる。
以下美術展2つ。
「奇想の系譜展」@東京都美術館
 そうそうたるラインナップが並ぶ様子は壮観。若冲の動物の愛らしさ、曾我蕭白の歪み(ほとんど全ての人物や生き物が変顔なことに気づいて一人で笑ってしまっていた)、長沢芦雪の構図の面白さ、岩佐又兵衛「山中常盤物語絵巻」の残酷、狩野山雪幾何学美、白隠慧鶴の知性的な大胆さ、鈴木其一の洗練された色彩、歌川国芳の物語性、ほんとうは一回では不十分なのだが混雑していたので会期末になってしまったので(より混雑しそうで混雑負けするたちなので)あと一回は無理だなあ・・・。
岡上淑子 フォトコラージュ沈黙の奇蹟」@東京都庭園美術館
 このアーティストのことは全く知らなかったのだが、シュルレアリスムのことは知らずに創作していてその後瀧口修造に出会ったという流れが面白い。シュルレアリスムの発想になんらかの時代を超えた思考法の核みたいなものがあったりするのだろうか(シュルレアリスム運動よりやや下の世代なので本人が無意識のうちにそういったものを選び取っていた可能性もあるが)。やはりシュルレアリスム系の作品は楽しいね。時間があれば庭園の方も回りたかったのだが。