異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

2018年9月に行ったイベント、美術展、コンサートなど

まだ9月少し日にちが残ってるけど。
9月8日<「アルジャーノンに花束を」の翻訳者が語る その半生と翻訳の魅力>というイベントに参加してきた。
www.asahiculture.jp
名翻訳家である小尾先生の半生が語られるということで、期待通り大変素晴らしい内容だった。経済学部出身ながらミステリ作家志望でもあったお父様の影響で小さいころから大の本好きでらしたという。戦時中には本に飢え、結核療養中は本を許されなかったのが何よりつらかったというお話のように、とにかく本の虫だったようだ。実は英語よりも国語が得意であったが、ひょんなことから英文科へ。周囲のレベルの高さに戸惑いながら、勉強の合間に映画や芝居を沢山観た大学時代。将来の道として翻訳をやりたかったが就職口がなく、結局新聞求人でひまわり社に就職し雑誌「それいゆ」の編集仕事をする間に出会ったのが福島正実で、これが小尾先生の運命を変える。大のミステリファンでSFに興味はなかったもののいつかミステリの翻訳ができると思い、穴埋めのあまり面白くないSF短編を訳すなどしていた。その後編集業務が厳しく体調を崩されそちらの方は退職。それが翻訳専任となるきっかけだそうだ。当時はなかなか珍しいアメリカ行きの機会を得て、念願のアシモフインタビューを行うことになったものの、法的には問題がなかったが(敗戦国には特殊なルールがあったらしい)版権を得てなかったので翻訳者であることを隠さなくてはならず不本意なものになったという話(その後出版されたアシモフの日記ではその日のことについて「自分は有名になった。今日は日本から妙な女がきた」と書かれていてがっかりしたとのこと)、「アルジャーノンに花束を」を訳すときには悩み新しい漢字を作ろうかと思ったことなどは特に可笑しかった(「新しい漢字」のアイディアについては小尾先生ご自身「実際に技術的に無理だったし、そもそも愚かなアイディアだった」と発言されていたが、『文字渦』風アルジャーノン、それはそれで読みたかったぞ!(笑)。「アルジャーノンに花束を」を読んだときには「SFにもこんな面白いものがあるんですね!」とおっしゃったというのも可笑しい。日本SF第一世代の作家たちとも交流があったという小尾先生は、キイスだけではなくディックやル=グインなどの翻訳で日本のSF分野の草分けのお一人として知られるが、今となっては元々はさほど興味がなかったというのも逆に様々な出会いや運命を感じさせるもので非常に面白い。その他長年疑問に思っていた訳語libraryの意味(図書館、という意味だけではなく装飾品も売っているような貸本屋も意味もあったらしい)、昔の小説の時代背景によって訳す言葉に注意を要する(例えば家庭教師は「高慢や偏見」の時代では家庭教師は召使と同様の立場)など翻訳の奥深さを知るお話もあった。まだまだお元気で次のお仕事への意欲もあり、期待して待ちたい。
実は小尾先生とは旧知の間柄であり、これも本当に偶然で仕事の同僚が私がSF好きであることを覚えてくれていて30年ほど前に紹介してくれたのだ。お会いしたのはそれこそ四半世紀ぶりくらい。年賀状はいただいていたものの、(ご本人とは全く関係のない)当時の旧職を覚えてくださっていた。記憶力のすごさに驚かされた。もちろんサインもいただいた。

さて9月15日にはSFファン交流会に参加。海外文学特集ということで、作西崎憲さん、牧眞司さん、冬木糸一さんのお話。それぞれのSF観・文学観が伺えて、示唆に富んだ内容だった。(具体的な内容についてはいつかふれるかもしれない)

9月24日にはあちこち回った(笑)。
まず上野で東京都美術館藤田嗣治展。藤田は西洋的なものと東洋的なものが融合した画風が好きなのだが、日本という国や人々に毀誉褒貶、翻弄された人物としても興味深く感じられる。藤田の歩みは日本の病的な一面を逆転写させるように思われてならないのだ。第二次大戦後に描かれた「カフェ」は翻弄されて疲弊した諦念が感じられるかのようで特に素晴らしかった。
最終日だった上野の森美術館の「世界を変えた書物展」は内容はよかったもののさすがに人が多く、時間の余裕もなかったことからざっと眺めた程度で消化不良に終わってしまった(まあしかしこの日しか行けなかったんだよな)。
その後丸屋九兵衛さんのSoul Food Assassinnsに参加。多様な英語の話は毎度目からウロコなのだが、今回はアラビア語は現在多様化してアラブ圏同士でも話が通じなくなっているために、正則アラビア語という共通語(フスハー)はそのために復活された古語(文語)だという話に驚かされた(勝海舟西郷隆盛も音声言語が通じないため筆談だったという)。
本来はその後のQ-B continuedに参加するのがいつものコースだが、この日はCKBデビュー20周年記念コンサートの行われる新横浜へ。数年ぶりのCKBライヴだったが、今回はデビュー20周年記念で渚ようこm-flo&野宮真貴と豪華ゲスト(コハ・ラ・スマートも久しぶりなのかも?)、オーケストラの演奏まであるという実にお祭り感あふれる楽しいステージだった。ベイスターズファンには途中お遊びで「巨人の星」が歌われた時に剣さんから飛雄馬への言及があったところがハイライトだろう(一緒に食事をしたことがあるらしい)。まあ小野瀬雅生ショウの時に「筒香!」というのもあったが(笑)。
実は他にも表の顔の宴席やら秘密の宴席があって・・・。
ちょっと9月は遊びすぎたな。10月は少しペースを落として体調を整えて次に備えよう。<全く反省していない

※2018年9/30追記 その9/24のCKBライヴで剣さんとのデュエットで観客を大いに沸かせたばかりの渚ようこさんが急死されたとのこと。ラストステージだったのだろうか。わずか数日後の訃報でショックだが、昭和にワープされたのかもしれない。ご冥福をお祈りいたします。