異色もん。

ドラえもん、もやしもん、くまもんに続く第四のもん

映画『この世界の片隅に』

 11月に劇場で観たのはこれだけ(今後劇場で観られるのは減りそうだなあ。なかなか時間がなくて)
原作漫画未読でなるべく前情報を入れずに観たが、かなりびっくりした。1944年戦局が悪化した呉市で一般の人が暮らす日常が描かれる。何度となくしかも小説・漫画・映画・TVドラマなどなど様々な表現形式で描かれた題材だが、細部のディテールを積み重ねる一方で非現実的な要素をまぎれさせることによってこれまでにない表現をしていて圧倒的だった(ライムスター宇多丸氏は定評のあるラジオ映画評のコーナー「ムーヴィーウォッチメン」でアラン・ムーアの様であると評していた)。緩急のある多彩な表現はアニメーションに疎い自分には、ここまで表現が進化していたのかと感心させられっぱなしだった。柔らかな質感がある絵柄と過酷な日常に現れる小さな幸せが描かれる部分については、ともすれば戦争責任者への批判追求を鈍らせるように感じる人がいても不思議はないが、直線的な表現を回避することによりかえって時代を超えて長く非人間的な戦争という災厄とそれに対する批判を表現する力を持ったように思う。戦争が背景なので、ちょっと映画『アンダーグラウンド』を連想した(観たのはもう5年位前になるのか・・・)。あんなに祝祭的ではないけど、現実離れした要素を盛り込むことによってしか描けない戦争の重い現実を浮かび上がらせる手触りということで。原作漫画の連載では日付を同時進行に合わせていたらしく、とんでもないレヴェルの表現の追求が行われていたことになる。そちらもちゃんと読まないとなあ。